東洋の踊り子・伊吹千夏さんについて、「感動的な引退」と題して語ります。

 

 

 伊吹千夏さんが突然に引退を表明。GW前に聞いて腰を抜かすほど驚いた。首を痛めていて騙し騙しやっているのは知っていたが、もう限界とのこと。事情を知っているだけに納得するしかない。

  千夏さんはH22(2010)年12月1日に東洋デビューしているが、すぐに休業、それから一年半後に復帰してH24(2012)年7月6日に私は初めて初顔合わせ。あれから本日楽日で144日会っている。私の100日超なので太郎チルドレンとして殿堂入りの踊り子さん。その間、首を痛めて休業したり大変な時期もあったが、私のストリップ歴を一時期、渚あおいさんと一緒に彩ってくれた大切な大切な踊り子さんである。感謝に耐えない。

  いつでも会える気がしていたが、こうして引退を迎えると淋しさでいっぱいになる。

  引退週はできる限り顔を出そうと思って、5月23~25日の三日間と30~31日のラスト二日間の計五日間大阪遠征することにした。

  H29年5月結の大阪東洋ショー公演の香盤は次の通り。①渚あおい(東洋)、②北川れん(道劇)、③伊吹千夏(東洋)、④榎本らん(東洋)、⑤せいの彩葉(ロック) 〔敬称略〕。

 

  千夏さんの演目は圧巻の八個出し。前半4個は①2周年作、②アーミーガール、③麗しの桜、④バイオハザード、後半4個は⑤Vivid、⑥4周年作、⑦石猿、⑧Im sexy。

  他にも、いい作品はあるのだが、首への負担などを考えると、これがベストの選択肢なのだろう。いやぁ~身体の不調を全く感じさせない素晴らしい演技だが、相当無理して演じているのが痛いほど伝わる。ありがたく拝見するだけ。

  どの作品を観ても懐かしさでいっぱいになる。華麗なダンス、鍛えられた肉体美、なんといっても彼女のステージには「究極のかっこよさ」がある。

  また、OPショーでの、小股の切れ上がった見事なヒップラインでの立ちバックポーズ、I字に近い垂直なY字バランスは今更ながら感動もの。

 

 

 今週は仲良しの千夏ファンと会えるのも楽しみ。千夏さんからも「お友達と会えて良かったね」と言われる(笑)。Hさんのことを指す。

 久しぶりに、Hさんと会う。彼は今週皆勤中。彼に会うことを確信し、私はこれまで書き綴ってきた千夏観劇レポートを一式差し上げようと準備していた。けっこうの枚数である。今週演じているかなりの作品が含まれる。周年作については殆ど観劇レポートとしてフォローしていたが、今更ながら直近の6周年作「石猿」と「五右衛門」の観劇レポートをさぼってしまったことが悔やまれる。ちなみに彼は見逃していた仙台ロックでの剃毛ショー企画のレポートに感激していた(笑)。

 もう一人、関東からの遠征客で皆勤しているのがリボンのLさん。11日間無理やり有給をとって駆け付けている。関東では千夏さんが出演していれば必ず会っていた。しかし話したことがなく、今回「(私のスト仲間の)Kさんからよろしく」とのメッセージを伝えて、初めて話した。Kさんとはロックの板野舞さんつながりらしく、自転車の趣味で意気投合したとのこと。とても気さくな方だった。

 楽日前日に、朝から並んでいた千夏ファンとも話す。彼も皆勤中と言う。ラスト週に皆勤した千夏ファンは他にも何人かいるようだ。

 また、楽日当日の朝は、平日ではあるも会社を休んでやってきた多くの千夏ファンが場内を満杯にした。彼らは全国から駆け付けていた。

 こうした熱心な千夏ファンに囲まれて、千夏さんは本当に幸せな踊り子だったと感じた。デビューからずっと応援している人もいるだろうし、途中から応援をしている人もいるだろう。いずれにせよ、最後に、お別れを惜しんでくれる温かいファンがこれだけ居ることは踊り子冥利に尽きる。

 千夏さんはポラ時に「会いに来てくれて本当にありがとう」と丁寧に挨拶していた。ちなみに、このラストレポートの途中段階を楽日前日に差し入れた時に、千夏さんから「お客様の名前は伏せ字にするか書かないでね」とコメントされた。もちろん、他の人に見せる時はそうするつもりでいたが、改めてファンのことを気遣う千夏さんにますます感心させられた。

 千夏さんが最後の挨拶で「私はファンに恵まれました」と話していた。私はそれを聞いていて色々感ずるものがあった。決して千夏さんだけがお客に恵まれたわけではないだろう。千夏さんがファンを大切にして愛してくれたからこそ、ファンも安心して千夏さんを愛し応援してきたのだ。だからこそ、たくさんのファンが皆勤し、これだけのファンが最後のラストステージに集まったのだ。

 やはり何事も最後が大切だ。何も言わずに突然に消えていく踊り子もたくさんいる。しかし、自分が踊り子をやったという証を残したい人は最後を大切にする。これまで応援してくれたファンにしっかりお別れをいうのが礼儀だと思える。ファンの応援あっての踊り子人生だったことは言うまでもない。

 お客さんだけでなく、お姐さん達も最後のお別れにやってきた。既に引退された立花さやさん、周防ゆきこさんがオークション・イベントに参加してくれた。ロックの友坂麗さんの顔も見つけた。いかに、同僚からも愛されていたか分かる。

 

  楽日の状況を話す。

  当日は朝から立ち見も出るほどの大入り。

  楽日は二回目までは通常進行で少し押し気味。ポラサインは一回目のみ。三回目ぐらいから会社帰りの常連客がどんどん入ってくる。三回目は伊吹千夏さんのみポラ撮影をロビーでやることで時間調整する。驚いたことに、三回目三番手の千夏さんのステージが終わった時点で、四回目のステージに向けて客がロビーに並びだす。ラストはいい席で千夏さんのステージを見納めしたい想いだろう。

  三回目ステージが終了した時点で、ロビーでオークション・イベントが始まる。なんと、引退した立花さやさんと周防ゆきこさんが応援に駆け付ける。この二人を見れただけでも今日は来た甲斐がある。オークションは最初は写真集の4~5千円から始まったが、最後は伊吹千夏さんと渚あおいさんのチーム「イブナギオン」ペア衣装に最高値五万円という値が付くほどの大盛り上り。

 

 最後に、楽日ラストステージの模様を話して、引退レポートを締めくくる。

 四回目も最後まで満席で立ち見がずらり。異様な盛り上がりである。

 ラスト四回目は香盤順を変更し、渚あおいさん、北川れんさん、榎本らんさん、せいの彩葉さんの四人を先にやり、四人でポラ撮影をやった後に、最後に伊吹千夏さんのステージになった。

 ラストステージが始まる前に、一旦幕を閉め照明を落とす。暗い場内の中、JUNさん、園田しほりさん、北川れんさん、渚あおいさん、立花さやさん、周防ゆきこさんから次々と贈る言葉が放送され、最後に伊吹千夏さんの挨拶が流れる。みんながしんみり聴いていた。とても効果的な演出である。

 千夏さんが挨拶の最後に「ラストステージにIm sexyを選びました。私はこの作品により自分のスタイルを確立することができました。思い出の作品なんです。最後のわがままですが、拍手も手拍子もいらないので、ただ私のステージを目に焼き付けて下さい。」と述べる。

 ラストステージが始まった。誰もが真剣な眼差しで彼女の演技を見詰めていた。拍手も手拍子もしないことが単なる受け身の応援とはならない。黙って集中して観ることが、心地よい波動となって踊り子に返されるのだ。

 気持のこもった最高のステージだった。終わると、「千夏さん、最高だったよー」と叫ぶ声が上がり、万感の拍手が鳴り止まなかった。

 ステージが終わって、ポラ行列が場内ぐるりとコの字になり延々40分続く。その後、OPショーでは渚あおいさんや立花さやさん等残っている踊り子さんも客席に来て盛り上がる。チップの嵐。一曲目が終わると、渚あおいさんがアンコールを求め結局三曲やることになる。かなりのお客さんが帰りの終電を無視して残っていた。最終的に終わったのが12時直前で終電に間に合わなかった客もたくさんいた。

 千夏さんは最後まで泣くことなく、最高の肉体美をみんなの瞼に残してくれた。彼女は伊吹千夏を立派に演じきった。伊吹千夏は本物の踊り子だった。

 

 

平成29年5月結楽日                          大阪東洋にて