今回は、ロックの踊り子、灘ジュンさんについて「ジュン・ワールドに浸れて」という題名で観劇レポートしてみます。

 

 

 H26年12月19日(土)、大阪東洋に遠征。東日本は寒波に見舞われ、それを避けるように南下したせいか大阪は東京より暖かく感じた。これからの季節は仙台に行くよりは大阪に行く方がいい。

 今週の東洋のメンバーは次の通り。①坂上友香(東洋)、②秋月穂乃果(ロック)、③上野綾(東洋)、④叶咲ゆめ(ロック)、⑤灘ジュン(ロック)〔敬称略〕。

 

 ジュンさんは今月後半12/16-30というロング出演。

 二個出し。どちらも初めて拝見する作品だったので、顔見知りのジュンさんファンに演目名を教えてもらう。今年の夏に出した『ネバーエンディング・ストーリー』と今年の春頃に出した『GTJ』の二つ。なお前者は10周年作品ではないと言っていた。(7月頭の10周年は浅草公演だったので)

 

 1,3回目ステージは演目名『ネバーエンディング・ストーリー』。

 最初の場面、強いインパクトがあった。タキシード姿で男装をびしっと決める。燕尾服ぽい黒い背広。中は白いワイシャツで、襟元に紫のリボンをクロス状に締める。腹部に同じく紫色の布を巻く。頭髪は後ろ一本結び。白い手袋。黒いシューズを履いて華麗に踊る。

 途中から、左側の顔半分に白い仮面をする。合わせて、腹部の紫の布を解くとスカートになって右側に垂れる。そのため、左側から見ると白い仮面をした男性、右側から見ると紫のスカートをはいた女性となる。くるくる回ると男女の営みのように見える。

 徐々に衣服を脱いでいく。背広から、ワイシャツも、全て脱いで、緑のドレスを着る。肩からクロスして足元まで流れる。乳房を露出したまま。ドレスの布は透け透けで薄いが、黄緑から濃緑までの布が重なり合う。そのままベッドへ。

 盆周りの近くで拝見して、髪の毛がサイドに編まれていて、それを含め後ろに一つ結んでいるのが分かる。オシャレに決めている。

 ベッドショーが終わり、一旦ステージが終わったと思った。

 次に、ピンクの衣装を着た若々しい女の子の様相で再登場。私はこれがオープンショーかと思った。が、すぐに違うと分かる。

 最後に、白い天使の羽根を付けてベッドショーへ。羽根はとても斬新なデザインで、ハートマークになっていて周りをふわふわの羽毛で縁取り、そしてハートから白い長い布が下に流れる。髪は結びを解いてストレートヘアへ。そして二回目のベッドショーが始まる。

 以上のあらましである。さて、これを演目名『ネバーエンディング・ストーリー』にどうつなげていけばいいのか・・・

 最後に、終わりそうでなかなか終わらなかったところかな、と頭を過った。(笑)

 もう少し、まじめに考えてみよう。

 最初の場面が、男と女の営みを意味するとしたら、次の緑の衣装は地球を表しているのではないか。人類は地球に抱かれて子孫をもつ。ピンクの女の子は男女の子供として人類を引き継ぐ。一方、男女は死んでも天使になって人類を見守る。地球上の人類の営みは壮大なネバーエンディング・ストーリーである、と解釈できそう。

 また、地球を二つの面から捉えることもできそう。表の世界として、ピンクから太陽(神)をイメージ。また陰の世界である天使の存在。この二つに護られてこそ地球=人類は継続できるのである。我々人類はこの二つの存在に感謝し、もっと謙虚な態度をとらなければならない。そんなことを考えさせられる。

 これは、五年前に拝見したジュンさんの作品「ガイア」に通じるのでないかな。ジュンさんが表現するものは私のもつ宗教観・宇宙観とよく呼応するから観ていてとても気持ちがいい。

 

 2,4回目ステージは演目名『GTJ』。

 この作品は長谷川凛さんの『GTR』をジュンさん風にリメイクしたものと聞いた。私は長谷川凛さんの『GTR』をH25年GWに仙台ロックで拝見している。「今回の演目は、女教師がGTRです。GTRはグレートティーチャーりん、そのまんま(笑)」

 ジュンさんの女教師は凛さんより凛々しい印象を受けたよー(笑)

 なんといっても、教育ママ風のインテリ眼鏡がいいねぇ~とても似合っているよ。

 白いブラウスの上に黒い上着(背広)を着る。黒いミニのスカート。黒いパンスト、そして黒いハイヒールを履く。びっしりと女教師に決める。

 青いファイリングと、黒板を差す棒、その先端が赤い。その二つをもって颯爽と登場。

 背もたれが丸いアンティーク調な焦げ茶色の椅子に座る。衣装が乱れると、赤いパンティがちらりと見える♡ たまらなくエロい♡

 途中、青いファイリングと黒板を差す棒を持って盆前に来る。青いファイルが開いたと思いきや、そこにはお笑い芸能人の裸の写真が挟まっていた・・・棒で差そうとしてジュンさんが慌てる場面がある。固いストーリーの中でウケ狙い(笑)。

 舞台で白いブラウスと黒いミニスカートのみになり、椅子をもって盆に移動。

 衣装が白黒のモノトーンの中にあって、上下の下着、差し棒の先端、そして口紅の赤が映える。色のコントラストが素敵。椅子をからませたベッドショーが妖艶。近くで見ると、白粉(おしろい)を塗ったような化粧顔に、女教師ばりの眼鏡がキラリ☆ 「太郎さん、なにかイヤらしいことを考えていたでしょ!?」と見抜くような鋭い洞察眼にドキリ☆

 最後は、オールヌードへ。ジュンさんの白い肌と、着残した黒いストッキングと黒いハイヒールのコントラストがいい感じ。

 

 二つの作品を通して、ジュン・ワールドをたっぷり堪能できた。幸せな遠征になった。

 

平成26年12月                          大阪東洋ショーにて  

 

 

【事後談】

 今回の私の感想は的外れだった。ジュンさんから丁寧に『ネバーエンディング・ストーリー』の長い解説を頂いた。

「ダンスの先生から、いつも作品が重たいからたまには何も考えずできるものをやってみては、とアドバイスされて出来たものです。やりたいダンスを三つ入れてみました。タキシードの男女。「地球に乾杯」という曲でダンス。かわいくて元気なダンス。今回の選曲や構成は先生によるもので40代→30代→20代→10代 だんだん若返っていくように作ってくれました。そのアイディアを踏まえて、私が付けたタイトルがNeverending Story」

 いつもメッセージ性の強い作品が多いジュンさんにしては珍しい作品作りだね。ただジュンさんとしては丁度10周年を迎えたときなので「10年経っても灘ジュンまだまだ終わりません。そしてストリップよ永遠なれという想いも込めて・・・2曲目のダンスが不死鳥のように見えたのもタイトルに由来しています。と、自分的思いは少しありますが、」との説明。10年くらいで引退なんかさせませんよ。これまで通りストリップの女王として君臨してもらわないと・・・

 最後に「かっこいい、きれい、かわいい、頑張っているな~と見てもらえることを目指しています。1個1個のシーンを丁寧に完成させることが目標です♪」

 私の感想は少し考えすぎだったかなと思ったら「ステージの感想もありがとうございました。見たものからストーリーを考えて、それを教えてもらうのも楽しいです。」とフォローして頂き嬉しかったです。

 

 今回、ジュンさんと同じ世代の、最近会ったロックの10年選手たちの活躍レポートをたくさん渡した。ジュンさんの10周年を合わせて祝うつもりだった。「普段あまり会う機会のない踊り子さんのお話・・・自分がお会いしたかのような気持ちになれて楽しく読ませてもらいました!」

 ジュンさんのことを太郎チルドレンと呼ぶのは失礼かなと思いきや「太郎チルドレンと呼んでもらって嬉しいですよ」と言ってもらえて天にも昇る気分。

 私はクリスマス・プレゼントとして童話を書きたくなり、もう一日かけて「ストリップの学校」を書き上げた。ジュンさんを女教師にも太郎チルドレンにも掛けている。「今日はプレゼントありがとうございます。今日はのんびり太郎さんのプレゼントに浸ります。」

 お互いのワールドに共鳴でき最高に幸せな時間を過ごせました。心から感謝。

 

 

 

童話『ストリップの学校』

            ~灘ジュンさんの作品「GTJ」を記念して~

 

 

 

  ストリップの学校がありました。

 そこでは、踊り子を養成して、全国の劇場に送り出します。

 

 そこの校長先生には、‘ストリップの父’と言われるストリップ界のGod Fatherが君臨していました。

 彼にはストリップにおける哲学がありました。踊り子が追求しなければならないものは「美」と「愛」だと説きました。ストリップなのだから美しさを追求するのは当然ですが、単に美しければ良いかというとそうではなく、ストリップを通じて客に感動や楽しさや癒しを与える慈愛の精神が大切だと語ります。美と愛はストリップの両輪であり、そのためにも、踊り子は心ある貴品を持たなければならないというのが彼の教えでした。

 彼の哲学は、たくさんの文章にまとめられました。それを日々、踊り子さんに‘ストリップの父からの手紙’として渡します。それらはストリップの教科書になり、踊り子はストリップのバイブルとして大切に扱いました。

 父からの手紙には、一人一人の踊り子に対する手書きのコメントが書き加えられ、踊り子はそれを励みにしていました。

 

 その学校には、彼の教えを厳しく指導する美しい女教師が二人いました。

 一人はGreat Teather ジュン、略して「GTJ」と呼ばれていました。

 きりっとした美貌に、メガネがよく似合いました。生徒から尊敬の眼差しで見られていました。

 彼女の持ち歩くファイルには、活字たくさんのバイブルの他に、写真が入っていました。ストリップだから女性の裸体かと思いきや、男性ヌード写真が入っていたのには驚きです(笑)。

 

 もう一人はGreat Teather 凛、略して「GTR」と呼ばれていました。

 彼女はまさに字のごとく、すらりとした凛々しい風貌をしていましたが、cool Beauty with hot heartな方で優しく親身に接してくれるので生徒からとても慕われていました。

 GTJが生徒の高い目標であれば、GTRは一緒に相談にのってくれる身近な目標といったところでしょうか。

 

 ストリップで学ぶことは多岐に渡ります。

初期コース。踊り子としての心構え、マナー、エチケットを学ぶ。ストリップの世界は昔ほどの縦社会ではなくなったが、それでも他の姐さんとの接し方は大事だし、袖や楽屋での役割分担も教えられる。十日間という缶詰状態になるので、最低限のことを覚えておかないとこの仕事は続かない。

 化粧の仕方も丁寧に教えてくれます。マニュキュアやアクセサリーなど、オシャレ感覚は大切です。

 ポラの撮り方、客との接し方も指導される。踊り子は客から学ぶ部分が大きく、ストリップは人間観察の場でもある。いい客が多いが、ときに変な客もいて、ストーカーされることもあるから気を付けなければならない。リスク管理が大切なのである。

服飾デザイン科。ステージの第一印象は衣装に左右されます。衣装の選択や着こなしだけでなく、自分でデザインして仕上げていくプロセスまで学べます。

 これに関連して美的センスを鍛えます。美しくなければストリップではありません。以前は本番まな板ショーなどエログロ路線を追求していた時期もありましたが、今のストリップはショーとしての存在意義が大きい。だから、美術・芸術の基礎的な素養をもつことが必須になります。

音楽科。テーマに合った選曲がステージ作りの基本。とくに「ベッドは選曲が命」とも言われます。踊り子というのは街角で音楽を聴いた瞬間に「この曲、私のステージで使えないかしら」と思えるくらいの職業病にならなければならない。また、ここでは音楽だけでなく映画の知識も学べます。映画をテーマにすることも多いし、映画音楽も使える。

ダンス科。伝統的な踊りから最近のポップなダンスまで学べます。この習得が一番難しいね。短期養成コースでは最初のさわりだけで、ベテランになっても通い続けている人はたくさんいる。なにせベリーダンスやフラメンコひとつ取っても、それなりの形になるまで最低一年はかかる。いい踊り子は必ずダンスの習得に努力する。ひとつひとつの踊りを身につけることで自分の成長を求めたいもの。

 ここのダンスの先生たちは振付もするので、一旦卒業しても踊り子たちに重宝される。

個人指導科。踊り子というのは健康管理がとても大切であり、個人ごとに身体のケア、メンタルなケアが必要になる。先生たちが親身に相談にのってくれる。

 

 ストリップ劇場は人生劇場でもある。生きるうえで大切なことを全てストリップから学ぶことができる。

 女性として、人間として、幅が広がれば、それは、そのままステージに出てくる。観客はしっかりそれを感じる。踊り子と客が一緒に成長できるのがストリップの醍醐味である。

 

 GTJとGTRの二人がストリップの父の両腕として活躍してくれたお蔭で、たくさんの踊り子チルドレンたちがこの学校から巣立ちました。

 今や、この学校の卒業生たちが十年選手となってストリップ業界で大活躍。

 ストリップの父は、子だくさんになったことを心から喜びました。

 

                                    おしまい