灘ジュンさん(ロック所属)のステージを観劇しての感想文「この世はうたかた」を語ります。

 

 

 無性にジュンさんに会いたかった。

 私は4月29日、GWの真っただ中に仙台に向かった。

 今週の香盤は次の通り。①大友輝、②はるか悠、③吉野サリー、④灘ジュン〔敬称略〕。全員ロック。

 GW週だというのに、驚いたことに四人香盤。最初は前半4/21-25が四人で、後半26-30は五人にするとのことだったが、結局ずっと四人香盤になった。浅草本部の仙台ロック軽視も甚だしいな。私はジュンさんの香盤が決まった時点から仙台行きを決めていたが、香盤の様子を見ながら最終的に楽日前日と楽日の二日間になった。

 

 ジュンさんは私のストリップの母。ただただ息子である私の話に耳を傾けてほしい。それだけでいいという気持ち。

 ストリップの場合は話はできないので、手紙になる。私が最近、どんな劇場に行き、どんな踊り子さんに夢中になり、どんな風にストリップを楽しんでいるかを黙って聞いてほしい。返事もいらない。私の話に耳を傾けてくれている様子だけ窺えれば十分幸せ。

そして、ステージを通して、ジュンさんのオーラに触れられればいい。今までの経験から、いつもジュンさんのステージから何かしらのインスピレーションが得られる。それを目敏く捕まえて、文章に落とし込めたら嬉しい。

そういう想いを抱きながら、ジュンさんのステージに臨んだ。

 

今週の出し物は二個。「魔法にかけられて」と「ブラック・チェリー」。

 1.3回目の「魔法にかけられて」は五年ほど前のH21年9月に川崎ロックで初めて拝見している。この作品には強く刺激を受けて、私は「こだわりと納得」というエッセイを書いた記憶がある。かなり深い想いを込めたステージ感想。当時、私は矢島愛美さんの追っかけをしていて、愛美さんも同じ映画に触発されて「魔法にかけられて」をステージ化していた。ジュンさんの作品と曲は殆ど同じものを採用していた。だから、今回、ステージを拝見しながら愛美さんのことも思い出し感傷的な気分にさせられた。

 一方の2.4回目の「ブラック・チェリー」は今回拝見した瞬間、観たことがあるとは感じたが、あまり印象に残っておらず、いつ頃のものかも見当が付かなかった。ジュンさんから五年ほど前の作品と聞き、「魔法にかけられて」前後の作品か。私は初めて観る気分で作品を眺めた。

 それにしても、タイトル名がいいね。実際にそういう桜の木もあるようだが。どういう意図をもって名付けたのか知りたいところ。

 演目「ブラック・チェリー」は、とても大人っぽい作品。最初に艶やかな着物姿で登場。黒をベースにした色合いだが、波の中に羽ばたく鶴がプリントされてあり、大きい白い帯を締める。髪を結いあげ、キラキラした簪。黒いハイヒールが斬新。そして、ワイングラスをもって妖艶に踊る。途中から赤い扇子を操る。

 このワンシーンをかっこよく決めるだけでも大したものである。もうすぐ10周年を迎えるジュンさんの踊り子としての真骨頂をみた気分。

 ポラタイムに「この作品は五年ほど前に出したとき、かなり背伸びしてかっこ付けていたんです。むしろ漸く今になって、自然に演じられている感じかな」と話してくれた。この作品が歳相応に追い付いてきた感じなのかな。

ふと「時にはまる」というフレーズが思い浮かんだ。「ブラック・チェリー」が五年という歳月をかけて今のジュンさんにはまった。また、「魔法にかけられて」は五年ほど前の思い出を感傷的に甦らしてくれた。この世の全てのものが時という流れの中で移ろう。

 

不思議な感覚に駆られた。

 場内に流れる音楽がひとつひとつの音符に見えてきた。ひとつひとつの音が絡まり合ってリズムやメロディになっている。

 ジュンさんのステージを以前「絵になるステージ」と評したことがある。すると、ひとつひとつの色の点が重なり合い組み合わさって衣装になりステージになっているのが見えてきた。

 目の前の全てのものが小さな小さな素粒子の塊に見えてくる。素粒子そのものはなんの意味を持たないが、それらが集まることで意味や機能が生まれてくる。不思議なこと。

 ジュンさんのベッド。美しいヌードに熱い視線が注がれる。まるで無数の精子がひとつの卵巣に群がるシーンと重なる。たったひとつの精子だけが卵子と結ばれ、生命が誕生する。残りの無数の精子たちは消え去る。命の厳かさとは無常観のかたまり。

 「ブラック・チェリー」がひとつの泡に見える。五年前の小さな泡が、五年間という時の流れを経て、いま目の前に再現される。

 「魔法にかけられて」というひとつの泡がシャボン玉のように七色に煌めく。中に思い出が詰まっている。

 

 この世はうたかた(泡沫)

 これをポエムか童話にしてみたい。そう思って『うたかた姫』を書いてみた。

 今回の仙台ロック公演記念にプレゼントさせて下さい。

 

 

平成26年4月                           仙台ロックにて 

 

 

 

 

 

ポエム『うたかた姫』

 

 

 たくさんの女の子が小さいときに 踊り子になりたいとの夢を抱く

 その想いは小さな泡になり 時の流れにのった

 しかし ほとんどの泡たちは破れて 時という大河の藻屑となる

 そして今 目の前で 一人の踊り子がステージで舞い踊り 輝いている

 

 全ての想いが泡になり 大河の中で浮き沈みしている

 全ての思い出が泡に包まれて 流れていく

 音もうたかた

 色もうたかた

 恋もうたかた

 命もうたかた

 

 このステージを泡沫にしないで! 

 大好きな恋人を泡沫にしないで!

 大切な両親を泡沫にしないで!

 愛する家族を泡沫にしないで!

 誰か時の流れのスイッチを止めて!

 いくら叫んでも 時は全てのものを無常にも泡沫に呑み込む

 

 私の人生も きっと うたかたのように消えていくのね

 私が生きた証(あかし)は何も残らないのかしら?

 この世に永遠と呼べるものは何もないのかしら?

 淋しくてたまらない 虚しくてたまらない どうしたらいいの? 誰か教えて!

 

 今を生きるしかない・・・

 全てがうたかたと分かったうえで 

 今を精一杯生きれば きっとその先に何かがある

 そう信じて踊る

 

 私は うたかた姫

 今 このステージを夢中で踊る

 輝く裸体 飛び散る汗 熱い視線 今はそれが全て

 

                                   おしまい

 

このポエム「うたかた姫」は、最終的には童話の形となった。FC2ブログ「ストリップ童話館」の童話「うたかた姫」を参照してみて下さい。