H25年6月結の若松劇場での、灘ジュンさんの作品「ZAN!」の観劇レポートを「新撰組沖田総司」と題して語ります。

 

  ジュンさんが若松劇場にのるのは三年半ぶりと言う。私のストリップ日記を辿ってみたら、あった!あった! 2009(H21)年9月結に、私も仙台から遠征して二日間観劇してました。ちょうど私の四年間の単身赴任が幕を閉じる頃で、その旨をジュンさんに報告している記録がありましたよ。「『太郎パラダイス』4年間の単身赴任、大変お疲れさまでした。」とのジュンさんからのポラ・コメントが残ってます。

  さて、金曜日の会社帰り、初日4回目ラストステージで作品「ZAN!」を一度拝見しただけですが、いつものように私の中にこの作品がすーっと入ってきました。帰り際、隣に座っていた顔見知りのジュンさんファンの方と少し話して、本作品の題名とか昨年の周年作だが二回くらいしか公演されていない等を教えてもらったので、今回のレポートが書き易くなりました。

  語りたいことがたくさんあるので、ポイントを三つに整理してから述べてみます。

 

1.題材の斬新性

 

  昨今の歴史好き女子、いわゆる「歴女」ブームと相まって、新撰組人気が高まっている。そうした話題性に呼応するように灘ジュンさんが昨年(2012年)の周年作として、本作品「ZAN!」を発表した。これまた、ジュンさんの知性・教養の高さに感心させられる。「ZAN!」というタイトルは‘斬’を意味し、まさに斬殺の刀をイメージするとともに斬新性に通じている。

 

  誰もが、剣技に優れていたにもかかわらず、結核に苦しんで早世してしまう沖田総司のドラマチックな人生にひかれます。それをジュン・カラーに素敵に脚色されています。

  最初に、白と白黒縞の袴姿で登場したとき、それが沖田総司であることは分かりませんでした。凛々しい美青年だが、草花を愛でる心優しい面を持っているのが伝わってきました。シロツメクサの冠(花輪)を編むシーンが美しい。この冠をお守りのように持ち歩き、そして戦闘の中で花が散り、最後に天使の輪として夭折していくシーンが胸に迫りました。

 

2.男装の美学

 

  当日二個出しのうち、作品「J’z」を三回目ステージで先に拝見したとき、ふと、前に観たときの化粧よりきつい??? ずいぶん目鼻立ちをきりっと強調しているなと感じていました。それが、沖田総司を演ずるための伏線であると分かり納得。

 「J’z」のときの感想に、この作品がジュンさんの初の男装と評してしまいましたが、既に男装の作品があったのですね。失礼しました。しかも、それが歴史ものであることが驚きです。

まさに、目元が凛々しく、暗殺剣である凄味のある怖さまで十分に表現されています。その怖さに、初めて本作品を観たファンが引いたという噂を聞きました(笑)。

  宝塚の男役というより、むしろ歌舞伎を観ている気分に近く、厳かに、襟を正して拝見したい気分にさせられました。

 

  沖田総司の話は、司馬遼太郎の「燃えよ剣」があまりにも有名。この中で、作家の司馬さんは沖田のことを剣が強くて、それでいて病弱・薄命というイメージから、色白の美青年という設定にしている。(本当に美青年であったかどうか、「ひらめ顔」など諸説あり)

  作家つかこうへい氏は沖田を女性に設定した戯曲「幕末純情伝」を書いている。今回のジュンさんの「ZAN!」はこのイメージかも。最後の胸にサラシを巻いている場面からも想像できなくはない。

 

3.絵になるステージ

 

前に作品「さくら」の感想で書きましたが、ジュンさんの作品の大きな特徴は、ひとつひとつの仕草・場面が一枚の絵になっているという点です。そうした絵画的ステージの面から少し述べてみます。

今回の作品の見所のひとつは、衣装。

最初の白袴もかっこいいですが、なんと言っても新撰組のトレードマークである「誠」がプリントされた、あの水色の隊服。私は、これを着た瞬間に、今回の主人公が沖田総司だと分かりました。

  このあさぎ色の羽織は、同じ新撰組の土方歳三が考案したものらしいが、これだけインパクトのある服装というのもなかなか無い。このあさぎ色の羽織には新撰組の覚悟が表れている。武士は切腹時、あさぎ色の裃(かみしも)を着るが、新撰組はそのあさぎ色を隊色に取り入れることにより「死を覚悟の上で戦いに臨む」という姿勢を示した。ちなみに、派手な服なので、実際の戦闘には使われず、普段は汚れや返り血などが目立たない黒い羽織を着ていたようですが・・。

 

  また、見所のひとつは太刀捌き。

  これが本作品の見せ場(クライマックス)であり、ひとつひとつの型がとても綺麗に決まっている。相当練習したんだろうなぁと伝わってきましたよ。ポラタイムで、ジュンさんが「今回は筋肉痛で大変だっんです」と話してくれたのに納得!

 

  もうひとつ付け加えると、戦闘の中で、沖田が結核のため喀血・吐血するシーンが再三登場。色彩を重んじるなら、ここに真っ赤な血が欲しい。この場面なら赤がすごく映える感じがする。TVドラマだっら、口から真っ赤な血を流すというところだろうが、さすがにステージではきれいな袴や羽織を汚すわけにはいかないよねぇ~残念!

  ひとつの案だが、血を流す代わりに血に染まった手ぬぐいで口元を覆うとか、真っ赤なライトアップにする等も効果的かな。

  まぁ、その点は、最後に、胸に巻いたサラシ(晒)が、赤い血で染まっているところがある。もう少し赤みを強調してもいいかもね。

  私のこの指摘に対して、ジュンさんから「赤みを強調してもいいかもと聞いて、そうか~と思いました。よりドラマチックに印象付けられそうですね。」とコメントがあって嬉しかった。

 

 以上の感想を翌日の土曜日午前中にまとめ、朝一の一回目ポラ時に渡す。次のポラ時に「たった一回観ただけでこれだけ感想が書けるなんて凄いですね」と言ってもらえ恐縮した。

 ジュンさんからの返事の中で「花輪を作っているときは平和、刀は戦い。それぞれの物に意味を込めてみました!」とある。なるほど、物にテーマを象徴させているのか。そして、そのテーマに合わせて、花輪を作っているときの表情はとても優しく、一変、戦っているときは鬼気迫る形相になる。

 公演回数が少ないこともあり、初日から太刀捌きがどんどん上達して様になっていくのが観ていて分かった。そうそう、化粧がきついなと思ったのは初日だけで二日目からはきつく感じなかった。私が指摘したせいかな?(笑)。

 もうひとつ付け加えると、男装を演じたままベッド・シーンに入るが、やはりジュンさんの女性としてのエロさは本物。男装のため女性らしいエロさが消えるという「男装のパラドックス」を心配したが、ジュンさんのエロさはびくともしない。ただただ、ジュンさんのエロスに酔わせて頂きました。

 

 最後に、「花輪を作っているときは平和、刀は戦い」というジュンさんの言葉から沖田総司という人物を考えてみました。

 草花を愛する心根を持つ彼のことでしょうから、平和な時代に生まれれば平凡な生き方をしたことでしょう。ところが、幕末という稀にみる時代の大きな変革期に生まれてしまった。しかも、天才的な剣豪としての彼を時代は平和なままにはさせてはくれなかった。

 坂本竜馬を始め、たくさんの優秀な人物を輩出した時代にもかかわらず、多くの人が時代に飲まれ死んでいった。沖田総司もその犠牲者の一人。でも、彼らの死は決して無駄ではなく、時代を変え、そして多くの後継者の意志に引き継がれていった。

 沖田総司は新撰組という時代の保守勢力の象徴的な存在の中にいた。天才的な剣の使い手として、輝くべき存在感を示す。短い生涯であったが、いや早死にしたからこそ、ますます輝き、彼の存在は我々の心を強く捉えて離さないのだと思う。

 この時代の若者は、死をかけて時代を変えていくエネルギーを持っていた。これこそが昔からの日本人気質であることを思い出してくれる。ZAN!でのジュンさんの凄味のある眼差しは平和ボケした我々に喝を入れてくれる。

 今回の作品「ZAN!」も間違いなくジュンさんの代表作のひとつです。

 

平成25年6月                            若松劇場にて