今週はジュンさんのお陰で最高に楽しい週になりました。このことを私のストリップ日記に書きましたので披露させて頂きますね。

 今回は「踊り子の心の中に入る感覚」というテーマについて話します。

 

 

  今回の川崎ロックで、ジュンさんとのやりとりには私的に二つのポイントがあった。ひとつは、私はジュンさんに話したいことがあって手紙の準備をしていた。もうひとつはジュンさんの新作についての感想。

 

 ジュンさんの新作はいつも楽しみにしている。何かしか必ず伝わってくるものがあるので、私も感想を書くのがいつも興奮するほど楽しい。

 一日目、3回目ステージで初めて新作を観たとき、出だしが仰向けで寝ている姿勢からスタートしたのに驚いた。その後、ディズニーの曲が流れたので、今回の作品もてっきりディズニーもの、例えば眠りの森の姫みたいな感じかなと思って眺めていた。しかし、途中から今回はディズニーものと違うなと分かり、ラストの立ち上がり曲ORANGE RANGEの大ヒット曲「花」(ORANGE RANGE 8枚目シングル、2004年10月20日リリース、オリコン4週トップ、ミリオンセラー)を聴いて、タイトルは「花」だと確信した。

 そのことを、すぐに手紙に書きこんで初日ラストポラで渡した。「今回の新作、太郎さんの言った通りです。花をテーマとしてます。」

 もう少し、詳しく感想を書いて、二日目に渡した。

 私は今回の作品から「花のうつろい」を感じていた。花は生きているがゆえに、季節毎にいろんな顔(表情)を見せる。春は陽気な日差しに誘われるようにが茂りを出す。夏になれば強い日差しを受けてがぐんぐん伸び、そして大きく華麗なを輝かせる。秋になれば、をつくり、葉も紅らむ(紅葉)。寒い冬になれば、葉も散り、土の中でがじっと耐え続ける。ひとつの花でも季節毎に主役が違っている。それはまさに‘生命の移ろい’。

 1曲目は、まさに寝ている姿から想像するに、寒い冬に耐えた土の中の根から芽吹く場面。2曲目は、陽気な日差しを浴びて‘花の妖精’が舞い踊る場面。まさに花の生命がもつ躍動感を演じている。そして、ベッドでは花が散りゆく場面。曲の歌詞の出だし「花びらのように散りゆく中で」とうまくリンクしている。

 ジュンさんの作品解説とだいたい合っていた。「1曲目、目覚め、誕生。2曲目、花の妖精がお花を咲かすイメージ。3曲目、美しく散っていく花・・・みたいなイメージで♪」

 ジュンさんが私の感想を聞いて「太郎さんの感想を聞いた後、動き出しの部分が土から芽が出るように感じました。」とコメントしてくれたのは感激したなぁ。私がステージからイメージしたことを伝え、それをステージでイメージしてくれるなんて、踊り子とファンとして最高のやりとりだ。

 なにかを表現する上で、イメージすることはとても重要。今回の作品で、ジュンさんは花の表情を身体で表現しているわけだが、振付も演技力も素晴らしく、花の顔が私の目にしっかりイメージングされた。

  これまでも「花」というテーマで他の踊り子さんのステージを観たことがある。皆さん、それぞれの個性で花を演じていた。曲のタイトルではないが、皆さんが世界にたったひとつの花なんだと思う。まさにオンリーワンの存在。

  その中で、ジュンさんの花は美しさではやっぱりナンバーワンと感じ入った。ストリップ界№1の大輪の花がジュンさんなんだと思っている。

 

 

  さて、もうひとつのジュンさんに今回話したい手紙の内容について。最終的なテーマは「ストリップにおけるときめきとやすらぎ」。これは、すてきな新人さんとの出会いのときめき、そして、長く仲良くさせて頂いてるベテランさんとのやすらぎのひととき。踊り子さんとの関わりを通した‘ときめととやすらぎ’という究極の喜びを表現するために、私は最近の踊り子さんとのやりとりを披露することにした。

  ふつう、自分以外の他の踊り子さんの話には興味を示さないものだし、逆にやきもちを妬いたり、他の子でなくて私のことを書いてよ!とまで言う子もいる。だから、他の踊り子さんの話はできるだけ披露しないようにしている。しかし実際には、エッセイめいた話より、具体的な個人の話の方が熱く語れて、いいラブストーリーが書けたり、特に私の場合、童話が創れたりする。おこがましいことだが、ひとつの文学作品としてこれを披露したい気になる。

 ジュンさんなら純粋な気持ちで、私のエッセイも童話も受け止めてくれる。以前、ジュンさんから言われた言葉「太郎さんはストリップ界のプレイボーイですね。恋多き男性はすてきです。」は私への最大の賛辞と感じている。ジュンさんは間違いなく、今の私のことを最も理解してくれている踊り子さんの一人。そして、私の文章も童話も、ストレートに受け止めてくれる。だからこそ、私もジュンさんのステージ感想を書きながら、かつジュンさんをイメージして何作か童話も書けた。私も表現者であるがゆえ、自分の中から童話を引っ張り出してくれる踊り子さんが大好きで、ジュンさんはその筆頭。だからこそ、楽しくやりとりができる。しかも自然な形で。

  今回もジュンさんから「太郎さんの童話の力ってやっぱり大きいですね。」と言われて本当に嬉しかったよ。

 私は、ストリップの究極の楽しみは、踊り子さんとの心の触れ合いなんだと思っている。私の心はときに踊り子さんに対する恋心となり、その恋心をエネルギーにして童話を創造する童心だったりする。

 

 三日目のこと。私はステージの上のジュンさんを眺めながら、ある不思議な感覚に襲われた。ジュンさんはステージで客に目線を合わせる方ではないが、今回いろいろなやりとりもあったせいか、盆前で真剣に観ている私と一瞬目が合った。ごくごく短い瞬間ではあるが、ジュンさんの目を通して、ジュンさんの中に自分が見えた。私がジュンさんの中に入っていると感じた。これは初めての体験だった。

 男というのは好きな女ができると肉体的につながりたがる。これは子孫を残したいという神が与えたもうた本能。そのため、男は女の中に入り性的なエクスタシーを感じる構造になっている。

 今回、私は大好きなジュンさんの心の中に入っているという激しい精神的エクスタシーを感じた。ジュンさんの目はそれを快く受け入れてくれているようだった。私はベッドの上のジュンさんを観ながら、ジュンさんに自分の心(たましい)を重ねていた。以前「見えない手」という話をしましたが、それよりももっと崇高な感じがした。またストリップで新たな領域に入り込めた瞬間である。

 

 ジュンさんのお陰で、最高の四日間になった。ジュンさんにも、そしてストリップの神様にも心から感謝したい。

 

 

平成22年5月                          川崎ロックにて