H21年2月結に灘ジュンさんの久しぶりの仙台ロック公演があった。一昨年9月頭以来だから約一年半ぶりの来仙になる。
前半の出し物は昨年から何度か拝見しているもの。作品自体はもっと前から披露されていたようだが、私が初めて新宿ニューアートでこの作品を見たのは昨年春頃。最初のインパクトが強かったので、その時すぐに手書きで感想を書かせていただいたのを記憶している。
川崎ロックなど広い劇場で見たときにはとてもダイナミックな出し物に見えたが、狭い仙台ロックでは狭いなりの味がし、作品がより身近なものに感じた。改めて見ながら、ちらちら思うものがあったので再度以下のとおり感想を書かせてもらった。
今回の作品は大きく2つのステージに分かれていて、私はそれを区分して「天上人と地上人」と銘打った。
キーになるのは高さ20cmほどの立方形状の五つの台(箱)。台の上は天上、台から降りるとそこは地上という設定を想定する。
最初のステージは、花柄の派手やかな着物姿で登場。台の上に立ち、天空に舞う華麗な羽衣をイメージさせられる。
注目すべきは、着物の斬新なデザイン。黒の帯に、更に着物の縁(ヘリ)を黒で縁(フチ)取りしており、その黒い部分は宇宙空間まで想いを馳せられる。台の上で舞う姿はまるで宇宙に咲く華。
その着物を脱ぎ捨てると、下はボンティージ・ファッション。先の着物のデザインはボンティージを意識したものであることが分かる。鞭を持ち、凛々しい女王様を演じる。我々はその神々しい美しさにひれ伏したくなる。宇宙に君臨する女神さま。
次のステージは一転、地上の女性を演じる。髪を少し乱しコール・ガール風。五つの台は、化粧台等に変わる。台の上には、鏡と香水、アクセサリー、そしてハイヒールが置かれている。鏡を見ては濃いめの口紅を塗り、そしてアクセサリーを飾す。更にハイヒールを履き、赤い帽子を小粋にかぶり、セクシーに踊る。
天上人は美そのものであり化粧なんて必要ないのだろうが、地上の女性は化粧しないと美を保てない。天上人は神々しい美で魅了できるが、地上人は化粧の力を借りセクシーさで魅了しようとする。
彼女は堕天使なのかもしれないな。最後のシーンでは、三つの台の上に手足を置きピラミッドのポーズを決める。ピラミッドは宇宙に向けたシンボル。それは宇宙に帰りたいというシグナルなのか。
全体として、天と地に亘る非常にスケールの大きい構成になっている。私的な表現としては、現代版「かぐや姫」のような印象を受けた。そのため、ステージを見終った後、ダイナミックなひとつの映画を見終わった気分にさせられる。
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灘さんから次のようなお返事を頂いた。
「今回のステージの感想、私自身以上にイメージを大きく膨らませて見てくれているんだなぁと思いました。太郎さんのイメージも意識してやってみたくなりました。現代版『かぐや姫』!なんて素敵です。」
そうそう、昨日のお返事の中で、感想等たくさん書いてもらって申し訳ないとありましたが、とんでもありません。私は書くのが趣味なので、私に書く刺激を与えてくれる踊り子さんやステージを求めて劇場通いしています。灘さんに、そして灘さんのステージに魅了されて本当に幸せです。
また、童話でも書けそうだなぁ。
題名は『かぐや姫への想い』・・・
月から発せられた青白い光がまっすぐ地球に届いた。その光は、ちょうど神社の裏の竹やぶに当たった。竹の中には月から降臨したかぐや姫が入っていた。それを見つけた神社の神主は、月から召された神の使いとして、かぐや姫を大切に育てた。
年頃になったかぐや姫は巫女として仕事をするようになった。
ところが、かぐや姫はこの世の人とは思われない神々しい美しさを持っていた。
たくさんの若者が一目かぐや姫の美貌を拝もうと集まった。彼らがかぐや姫に会うためには一枚1000円のおみくじをひかなければならない。彼らは毎日のように参拝してはたくさんのおみくじを買い、たくさんの贈り物をかぐや姫に差し上げ、彼女の気を引こうとした。来る日も来る日もその行列は絶えなかった。
しかし、かぐや姫は贈り物に心を動かしたりはしなかった。
その中、ひとりの貧しい若者が一枚のおみくじを買って、手紙を一通置いていった。また何日かして、同じように一枚のおみくじを買っては手紙を置いていった。それは定期的に続いた。
かぐや姫はその手紙を開封し読み始めた。手紙はかぐや姫の心の扉を叩き開かせた。その瞬間、彼の心を乗せた言葉たちがかぐや姫の心に入っていった。言葉は心の贈り物。かぐや姫は、その若者の自分を想う気持ちに心が動いた。そして、若者に対して返事を書いた。
返事を受け取った若者は大変恐縮した。自分のような貧しく取り柄のない者に対して、かぐや姫が返事をくれるなど夢にも思わなかった。手紙への返事が次々と若者のもとに届いた。
若者は言いました。「あなた様からお手紙をいただき仲良くして頂けるなんて奇跡としか考えられません」
それに対して、かぐや姫は答えました。「いや、私とあなた様とは、出会ったことは奇跡と思いますが、仲良くなれたのはとても自然な流れですよ」
若者はもともと文章を書くのが好きですらすらと楽しく書いていたが、一方のかぐや姫も若者の文章の魅力に惹かれ、手紙を書くのがどんどん大好きになっていった。会話が弾むごとく、文章が弾んだ。二人は心の会話を求め、お互い惹かれ合った。
二人は恋をしていた。しかし、どんなに仲良くなろうと、若者は決してかぐや姫に求婚しなかった。自分は神々しいかぐや姫に相応しくないと頑なに思い込んでいた。
実際に、彼の認識は間違っていなかった。
とうとう、かぐや姫は月に帰らなければならない日がやってきた。月が青白く光り始めていた。
その日、かぐや姫は直接、若者に向かって話し出しました。
「わたしはこの地球に、本当に美しいものを求めてやってきました。それをこれまでずっと探していましたが、本当に美しいものは目には見えないことが分かりました。
わたしは真実の愛をあなたとの手紙のやり取りで知りました。あなたは手紙を通じて、心を贈ってくれました。本当に美しいものはあなたの心の中にありました。
わたしは、本当に美しいものを見つけたら月に帰らなければならない運命(さだめ)を持っています。そして、本当に美しいものを見つけた今、その時が来てしまいました。
勝手な話でごめんなさいね。」
そして、かぐや姫はこう付け加えた。「これまで仲良くして頂いた御礼に、なにか贈り物をしたいのですが・・・」
若者は答えた。「私はなにも要りません。あなたと仲良くしていただいた思い出があるだけで十分幸せです。あなたから頂いたお手紙はいつまでも大切に保管しておきます。」
かぐや姫はにこっと笑って言いました。
「あなた様のお陰で楽しい日々を送ることができました。感謝でいっぱいです。
わたしも、あなた様からいただいたお手紙だけを携えて、月の世界に帰りたいと思います。」
二人の会話が終わった瞬間、青白い光がかぐや姫を包み月の世界に連れて行った。
その後も、若者は満月の夜には必ず月を仰ぎ見ました。
そのたびに、かぐや姫が微笑んでいるように見えて幸せを感じるのでした。
おしまい
平成21年2月 仙台ロックにて