今では コンテンポラリー・ダンスをされる踊り子さんは何人かいるが、私が初めて コンテンポラリー・ダンスを観たのは大阪東洋の星川音々さんだった。
今回は、私のストリップ日記から、大阪東洋の星川音々さんのことを「円熟なるステージ」という題名で話してみたい。
H24年6月中、音々さんのステージを拝見していて、おやっ!と思ってステージを見入った。いつもと何か感じが違うような・・・どこだろう???
動きが柔らかい、雰囲気がとても円やかになっている・・・
今のストリップ業界で、最も踊りの上手い踊り子さんをあげろ!と言われたら、私は晃生の目黒あいらさんと東洋の星川音々さんをあげる。この回答に納得し賛同するファンは多いんじゃないかな。
二人とも、とてもキレのいい動きで、激しいダンスをこなせる。
踊りの上手い踊り子さんを好きなストリップ・ファンは、この二人の熱狂的な追いかけをしている。私も踊りの上手い方が好きなので、この二人には以前から一目置いている。
星川音々さんは、H17(2005)年7月26日、東洋デビュー。もうすぐ七周年を迎えるベテランの踊り子になった。
その間、いろいろと変化しており、着実に成長している。どの時期の音々さんが好きかと問われると、デビュー当時の新人の音々さんが一番好き(苦笑!)、そして次は今の音々さんが好き、と答えたい。
私が初めて音々さんに会ったのは、デビューから二か月後のH17年9月26日の浜劇。その週は東洋の夏野かをりさんの穴埋めとして一日だけの出演。私は新人のかをりさんも気に入っていたが、その穴埋めをした新人の音々さんにも一目で魅了された。新人LOVEの私にとって、そのときの音々さんはアイドル級にかわいかった。ところが音々さんは私の好きなかわいいアイドル路線から、いい女系へとどんどん脱皮していった。
音々さんは仙台ロックに一番多くのってくれた東洋の踊り子さん。仙台に単身赴任していた四年間で五公演にのってくれ、そのたびに私は毎日のように通った。仙台ロック以外にも、私が関東に遠征する度によくお会いしていたので、私が仙台から戻るまでの四年間で49回を数えた。ちなみに、先週6中のTSで通算98回目となった。私にとって100回超の踊り子さんは特別な存在であり、まさに私のストリップ殿堂入り。音々さんもその仲間入りすることになる。それだけ長い間、数多くのステージを拝見している。
彼女の成長におけるターニング・ポイントは、ダンスへの取組みで分かる。音々さんはほんとダンスが大好き。H19年9月中、仙台ロックに出演していた時に、ポール・ダンスを練習しているということをポラにコメントしていた。H23年1月結のDX歌舞伎では、今の出し物がコンテンポラリー・ダンスをベースにしていることを教えてもらった。私はすぐさまネットでコンテンポラリー・ダンスを調べ話題にさせてもらった。このように次々といろんなダンスに挑戦しているのだろう。
私はダンスは詳しくないが、踊り子さんとダンスの会話もしたくて、少しはダンスのことも勉強した。どの踊り子さんがどんなダンスを習っていたのか、今どんなダンスを得意としているのかを整理していた。
そのときに、ダンスに熱を入れ過ぎると、身体が鍛えられアスリートな体つきになる方がいるのに気付いた。特にポールダンスは棒につかまって空中で演技をするため、上半身の筋肉が必要で、ボデービィルのように筋骨隆々になっていく人が出てくる。ストリップというのは女性らしい丸みを帯びたヌードが好まれるので、アスリート系の筋骨隆々の身体だとセクシーさに相反する。ところが、身体を鍛えても、筋骨隆々になる人と、円やかなままの人もいる。この違いはなぜだろう? 持って生まれた体質に帰因する部分が大きいのだろうが、身体の柔軟性にも左右されそう。身体が柔らかければ、鍛えても丸みをキープできる。
そして、一番の問題は、ダンスに夢中になるがゆえ、ファン対応がおざなりになる点。踊り子にとってステージが第一なのは分かるが、ファンはかまってもらえなくなると自然と離れていく。いいステージをするのに人気がなくなっていった踊り子さんを何人も知っている。これは踊り子が陥るパラドックス。なかなか難しいところ。
さて、音々さんはどうか? 音々さんも身体を鍛えてアスリート系の体つきになっていった。ただ彼女の最大の特徴は、ファンの心をしっかり掴んで離さないこと。だからダンスの上手さを武器にたくさんのファンを増やした。
二三、音々さんファンのスト仲間の話をする。1人目は、スト歴も長く、現在はロックの灘ジュンさんと音々さんの二人だけを応援している方。彼は全国どこにでも二人を追いかける。彼は、音々さんのことをロックのトップスター、美人№1の灘ジュンさんと対等に評している。2人目は、スト歴は長くないが毎日のように劇場通いしている私の仲良しのAさん。彼もロックのトップスターである矢崎茜さんや桃瀬れなさん、菜摘りんかさんなどを応援していて、音々さんを彼女たちと同格に見ている。つまり、音々さんは非常に玄人受けするタイプなのが分かる。
もう1人、私のスト仲間であったトッパタ君を思い出す。彼は躁鬱症かで精神科の治療を受けていた。そんな彼が、音々さんのステージを観ると凄く元気が出た。彼の担当医が、彼の治療にストリップが効果ありと話したらしく、彼は喜んでストリップ通いしていた。音々さんはそんな彼のことを大切なお客として扱ってくれた。トッパタ君は私のスト仲間‘チーム太郎’の一員で、よく呑みにも行った。(私がストリップの先輩格なので仲間内で‘チーム太郎’と呼んでいた) だから、私としても音々さんに感謝していた。彼は随分前にストリップから足を洗ってしまい、もう音信を取っていないが元気にしているかな~。
さて、私の場合も、音々さんにしっかり心を掴まれている。私が同じ東洋の立花さやさんを応援していると分かると、彼女の話をして私の気を引いてくる。おそらくファン一人一人の気持ちをうまく掴んでいるのだと思う。だから、私も音々さんとはずっと仲良くしてもらっている。
なお、勘違いしないようにあえて言っておくが、アスリート系の体つきが悪いと言っているわけではない。客は十人十色で、好みは千差万別。いろんな踊り子と、いろんな客がいるからバランスしている。
そんな中、先週六月中の音々さんのステージを観て、すごく円やかな雰囲気に驚嘆した。いままでの直線的なイメージと違い、ほわんとした女の妖艶さが漂う。音々さんの持つ雰囲気(色香)だけで客を酔わせる域に達してきた。最近、目黒あいらさんにも同じことを感じたばかり。ダンスもある領域に達すると、動きがゆっくりし、余裕をもって女の色香を表現できるようになるようだ。長く応援している踊り子さんの進化に触れ、私は幸せな気分になった。私はしばし音々ワールドに見入った。
平成24年6月 TSミュージックにて