今回は、ロック所属の踊り子・豊田せりかさんについて、H29年5月頭のDX歌舞伎の公演模様を、「引退ブルーに浸りながら」という題名で話します。

  これが私からせりかさんへの最後のレポートになります。

 

 

 H29年GW公演が始まった。どこの劇場も話題作りに力を入れた香盤を設定している。ロックでは川崎ロックで灘ジュンさんの引退前公演、横浜ロックでは徳永しおりさんの1周年、非ロックでは大阪東洋で水元ゆうなさんの10周年、渋谷道劇では石原さゆみさんの引退前公演。ここDX歌舞伎でも豊田せりかさんが引退前公演。

 今週のDX歌舞伎の香盤は次の通り。①桃瀬れな(ロック)、②美咲遥(DXK)、③木村彩(ロック) 、④豊田せりか(ロック)、⑤清本玲奈(ロック)〔敬称略〕。

 私も長い間豊田せりかさんと仲良くさせていただいたので、今週はお礼とお別れのご挨拶にやってきた。

 

 今週は三個出し。前回の栗橋での和物三部作に対して、今回は洋二・和一になっている。

 1回目ステージは、演目「レイニーブルー」。

 最初に、白いスーツと白いスラックス、そして白い帽子と白ずくめの衣装の中に、胸元のブラだけがブルーというのが印象的。

次に、水色の薄い生地のドレス。上下セパレートになっていて、一輪の白い花を持って舞い踊る。ドレスを脱ぐと、水色の水着が現れる。

この作品は水色がポイントで、徳永英明の名曲「レイニーブルー」がベッド立上り曲。

水色は涙色。この作品にはきっと辛い別れのドラマがあるのだろう。

今回、引退を前にして、この作品をもってきたことに、せりかさんの引退ブルーとでも言おうか、強い惜別の気持ちが伝わってくる。

 この作品は、デビューから二年目の初期のもので、当時としてはかなりレベルの高い内容で頑張って演じていたが、今頃になって演ずるとちょうどいい感じだと本人が話していた。私としても仙台単身赴任時代に観ていた懐かしい作品である。

 

 2回目ステージの演目は「S&M」。この作品は四年ほど前に作ったものらしい。

 最初に、盆の上に、裸のまま赤い布にくるまって蹲(うずくま)っている。立ち上がって舞台へ向かう。

 舞台の上に置いてある椅子に座り、黒い首輪、黒い下着を付け、黒いストッキング、黒いハイヒールを履く。最後に、黒いスカートを履く。

 最初に衣装を着て登場しどんどん脱いでいくのがストリップの一般的な流れなのだが、この演目は逆の流れになっている。

 最後に、盆に椅子を持ってきてベッドショーを演ずる。

 総じて、この演目は殆ど衣装の場面がない。それだけ裸一貫で勝負している。

 

 3回目ステージの演目は和物の「初恋」。

 最初に、盆の上でかわいい着物姿で後ろ向きになって登場。水色の生地に赤い花柄が点在。華やかな白い帯を締める。頭には白いリボン。白い足袋を履く。

 チューブの曲「初恋」にのって、白い花を二輪、両手にもって舞い踊る。

 白い帯を解き、着物を脱ぐと、白い襦袢姿になる。透け透けの生地だが、葉柄の金の刺繍入りで高級感を醸す。髪は白いリボンで結い、腰までの長い付け毛を下げる。

 曲は、チューブに始まり、サザンと続き、ベッドでは森山良子と、せりかさんが好きな歌手を並べ、最後の立上りはまたチューブで締める。

 本作は、10周年になって作ったもので、着物に凝っている時期の思い入れの強い作品のようだ。

 ここでも水色がポイントになる。

 そして4回目ステージは、1回目の「レイニーブルー」。やはり引退ブルーで締める感じ。

 

 前回栗橋の和物三つ、そして今回DX歌舞伎の和洋三つ、ひとつひとつの作品を眺めながら、作品こそが踊り子として生きた証なんだとしみじみ思わずにいられなかった。

 踊り子として生きた成長過程の中で、それぞれの時期に精一杯の自己表現をしてきたことだろう。それは従前から自分の中に持っていた世界観であり、また成長途上で新しく見つけた自分という世界観でもあったはず。全ての作品が‘せりかワールド’という世界観として構築され、12年間の美しい思い出として輝いて見えた。

 私はそれを最後に拝見できて心から幸せだと思った。

 せりかさんから、「レイニーブルー」は美咲遥さん、「S&M」は香山蘭さんに引き継がれると聞いた。作品の譲渡により、せりか魂が後輩に引き継がれることは誠に喜ばしいことだ。彼女たちのステージから、せりかさんのことを思い出せればファンとしても嬉しい。

 12年間ありがとうございました。せりかさんは我々ファンの心の中でいつまでも踊り続けます。

 

 

平成29年5月