10年以上前の話で失礼するが、食品偽装問題がやたら話題になっていた時がある。
伊勢名物の「赤福」が製造年月日を偽造したため営業停止になっていた。少し前に札幌の「白い恋人」も同様に営業停止になっていたから、白の次は赤かと話題になっている。赤福は日本で最も多く売れているお土産品らしい。たしかに私も初めて食べたときめっちゃ美味しいと思った。生ものとして売っていたわけだが、実は冷凍もので解凍した日を製造年月日としていたとのこと。別に冷凍ものでも味が極端に落ちるわけでないからいいと思うのだが、それを正直に開示しなかったところに問題がある。
厳密に言えば、たしかに冷凍ものは生ものより味が落ちると言われている。しかし、私レベルでは味の違いが分からないし、この冷凍技術というのは食料保存や食文化に多大の貢献していることは云うまでもない。
一方、仙台に単身赴任していたので、仙台名物として有名な「ずんだ餅」をお土産に買う。これも生ものであるため、お土産に買って帰っても、当日食べないと味が落ちてしまう。ずんだはしょせん枝豆だし、私個人的にはそれほどデリケートな舌をしていないから翌日食べても構わないと思っているが、お店側では当日召し上がりますかと丁寧に尋ねてくる。翌日以降に食べる場合は、お土産用に冷凍ものを奨めてくれる。
こうやって、赤福とずんだ餅を比べると、お客に対する誠実さがずいぶん違っているなと感じる。味は好みがあるが、商品に対する品質という面ではずんだ餅の方が優れている。
雪印から始まり、不二家、ミートホープなど食品会社の不祥事が続いていた。内部告発から判明することが多いようだが、やはり不誠実な行いはお天道様が許さないということか。
私の親しいストリップ仲間に不二家に勤務している方がいる。彼は不祥事があった当初は仕事先の工場が操業停止になって嘆いていた。最初は工場内の清掃ばかりやらされたらしいがもう清掃するところもなくなったよと言っていた。平日が休みになるからと大阪東洋ショー劇場へ遠征して気を紛らせていたが、賞与の大幅カットなど切実な問題となったようだ。経営陣が悪いがペコちゃんは悪くない。私はペコちゃんを応援するため、一時ポラ・ポーズにペコちゃん顔をよく撮っていた。不二家の彼から、そんな気を使うなよと言われたほど(笑)。
こうした有名ブランドは長い間守られてきた信用であり、たまたま今の経営陣がだらしないだけで、商品そのものが悪いわけではない。そこで働く従業員も可哀想な被害者に過ぎない。不二家の場合は山崎パンが救援したため、彼の働く工場は再開し、収入が安定したため、またいつものようにストリップ通いをしている。
さて、食品偽装問題を話すとまだまだ続きそうだが、このへんでストリップの話に切り換えよう。
ところで、「ストリップの品質」って何だろう?
話を進めるにあたって、劇場側と踊り子さん側に大きく区分する。
劇場側の問題は、設備と経営の二面がある。
設備については、劇場の大きさや座席の座りやすさ、照明具合などが挙げられる。劇場ごとに特徴があり、大きければいいというわけでもなく、狭くても客にとって居心地がいい劇場もある。狭い劇場の方がアットホームになりやすく、それを好む客も多い。また、座席の座りやすさは大切。背もたれのない椅子だと長時間は耐えられず、一日中いると必ずお尻が痛くなる。かぶりつきの客は盆周りに座り、盆からの距離が近い方が嬉しいわけだが、そのため席がやたらと狭くて窮屈なときがある。身体の大きい客は無理なので最初から盆周りの席は諦めているようだ。私は身体が小さいので盆周りに十分座れるが、ときに身体の大きい方が隣りにいると窮屈を感じることもある。照明については私なりにこだわりがあり、他のところでもたくさん書いているのでここでは割愛する。
劇場の施設で一番気になるのはトイレ。昔の古い劇場はトイレが本当に汚かった。最近は改装してトイレを綺麗にしているところが多い。いくら新しい劇場でもトイレが汚ければダメ。これは経営の基本である。
経営面として気になるのは従業員のマナー。長く通っていると従業員と仲良くなるため、従業員の性格の良し悪しが劇場イメージにつながる。横着だったり、無愛想な従業員もいる。踊り子さんがいいので客を呼べると思い込んでいるようだが、この接客態度は失格である。
経営面で一番重要なのは、看板に偽りがないこと。予告通りの香盤、とくに目玉の踊り子さんが出演していることは絶対である。劇場スタッフが一番気にするのはメインの踊り子さんが急に出演しなくなること。遠くから楽しみに観に来た人なんか特にショックが大きい。もちろんその週は興行収入が大きく落ちる。一番問題なのは看板に偽りありとして劇場としての信用を失墜させてしまうこと。
ときに急病などで出演できないこともあるだろうが、そういうときこそ出演変更などを劇場前のビラ貼り、劇場ブログなどで出来るだけ早めに周知させることである。ストリップ・ファンは遠征してくる方が多いのでこうした配慮がとくに大切である。
看板の写真と実物が少し違うなんてことはざら。一見客と違い、常連客はほとんど踊り子さんを把握している。新人さんの場合だけ事前のポスターと違うかどうかとなるが、その一喜一憂がまたストリップの楽しみでもある。
劇場側の話はあまり面白くないので、次に踊り子さん側の話に移ろう。
先ほどの製造年月日を偽っていた食品ではないが、踊り子さんが歳をごまかしていたなんて話はざらにあろう。聞いた話だが、ある踊り子さんは年に何回も誕生日があって、おそらく誕生日プレゼントが欲しかったんだろうな、ということだった。そんなことをしていたらどんどん歳をとってしまうよね(笑)。
ストリップの仲間うちで、巨乳と虚乳、美乳と微乳という話があって笑ってしまった。巨乳といっても天然ものと偽造ものがあり、その見分け方はベッドで横になった時に乳が垂れるかどうかだと自慢げに話している方がいた。言葉遊びとしては面白いと思ったが、私はおっぱい星人ではないので、おっぱいの大きい小さいには全くこだわりがないため聞き流していた。今の時代はプチ整形なんて当たり前だから、そんなことにこだわってどうすると言いたい。踊り子さんにとっては嫌な話題で誠に失礼しました。
おっぱいはまだかわいい話題だと思うが、ではニューハーフがステージに登場したらどうだろうか? 最近のニューハーフは綺麗な方が多いので、うっとりと舞台を眺めていたら、ベッドでおもむろに一物がポロリなんてね。そのときに客はどう反応するかな。ジョークとしては最高に面白いけど、やっぱり客はストリップの看板に偽りありと怒るだろうね。冗談はさておき、ストリップでも、やはり許される品質と許されない品質というのがありそうだね。
踊り子さんは、少しでも綺麗に若々しく見せたいと当然思うだろう。そうした気持ちがこうした品質の話につながっている。偽りがダメだと云ってしまえば、お化粧もダメということになり全てスッピンで舞台に立たなくてはならない。もちろんそんなことにはなりえない。
踊り子さんが綺麗になりたい願望は、実はお客がそれを欲求しているからなんだ。求めている人がいれば、それに応えるのが商売ということになる。
所詮ストリップというのは「うつせみの世界」。一時(いっとき)の非現実空間。男というのは上手に騙されればいいのである。その虚空間をひととき楽しめればそれでいいのである。細かいことをうだうだ言っている奴はストリップを観る資格がない。