今回は、2019年6月結のDX歌舞伎閉館の模様を、「さようならDX歌舞伎」と題して記録したい。
2019年6月結のDX歌舞伎に顔を出す。
今週は5月中から四回に分けて続いていたDX歌舞伎の閉館記念特別興行のラスト週となる。今週は初日から連日満員御礼の状態が続いている。それもそのはず出演メンバーが超豪華。しかも、なんと9人の出演者。
今週の香盤は次の通り。①美幸奈々(栗橋)、②チナツ(元DX東寺、後半のみ特別出演)、③葉月凛(DX歌舞伎)、④美咲遥(DX歌舞伎)、⑤MIKA(ロック)、⑥友坂麗(ロック)、⑦武藤つぐみ(ロック)、⑧小宮山せりな(ロック)、⑨真白希美(ロック)〔敬称略〕。
私は後半に三日通った。
最初は6月27日(木)の平日。その日は武藤つぐみさんが休演で8人香盤。平日と思って甘く見たのが間違い。お客が朝からかなり並んでいる。9時頃来たら9番目。一応かぶりに座れた。この日は一回目だけポラサインがあった。二回目からはトリプル進行になりサインは受け付けない。翌日からは全てトリプル進行のみとなる。
次は、楽日前日6月29日(土)の土曜日。用事があって途中から入場。超満員。後ろで漸く立ち見できるかなという状態。この状態で観続けるのはきつかったので、この日はお目当てのMIKAさんのステージとポラだけにして、近くのホテルで休憩・執筆していた。
翌日、楽日6月30日(日)は日曜日に当たる。当然混むだろうし、座れないと観てられないという前日の経験則から、少し早めに行くことにした。早朝7時頃に劇場に行ったら、もう既に多くの人が並んでいた。もう40人は越していた。いやー甘かった。座れるかどうか怪しい雰囲気。最後列の人が顔見知りだったので少し話して、場所取り用の荷物だけ置いて列を離れた。
列にはストリップ常連の方がたくさん来ていた。どうしてもロック客が中心かな。仙台ロックの顔見知りがいたので声をかけた。昨夜遅く仙台から車を飛ばして駆け付けたと話してくれた。深夜23時半に劇場前に到着したら、既に23時には終演していたので従業員に話して場所取りをさせてもらったとのこと。並んでいる客の立ち話が聞こえて、早朝6時に着いたら20番目だったらしい。
当日は、いつもより30分早い10時に開場。私は最後の一席に滑り込んだ。本当に運が良かった。座れると座れないでは天国と地獄の差がある。
朝から超満員。
閉館前最終日、ふつうなら混むのが分かっていてあえて避けるストリップ客もいるだろう。しかし、ここに集まった客は以前この劇場に来たことがあって、無くなるのが名残惜しくて、最後にひとこと「長い間お世話になりました」と劇場にさよならが言いたくて、そのためDX歌舞伎の最後を見届けようと集まった客ばかり。顔見知りの人ばかりが目立つ。中には最終日マニアみたいな方もいるんだろうな。
当日は朝からずっとトリプル進行。9人だから一ステージ三回のトリプル。
一度トリプルが始まったら、立ち見客が多すぎて身動きができない。トイレから早く戻っておかないと自分の席に戻れない状態。場内後方にあったソファーやごみ箱は撤去されている。それでも立ち見客で溢れる。途中からは入り口のドアを開きっぱなしになる。
ポラの時くらいしか身動きができない。満員電車並みの混雑だ。トイレでさえも長い行列。女性客がけっこう多くて驚く。移動するときはほんと大変だ。二年半前のTS閉館のときを彷彿させられる。
いつものDX歌舞伎のエアコンは寒すぎることで有名。当日もがんがんエアコンを利かせているはずだが、客の熱気、しかも入り口を解放したことで中は蒸し風呂状態になる。踊り子も客も汗だくだく。長く劇場内にいると熱中症になりそうなので、定期的に外の空気を吸いに行く人もけっこういたほど。
一回目ステージ終了は15時半、二回目ステージは19時半。最終日だけはパンツ興行ではなかった。OPショーもポラもパンツを脱いで行われた。漸く最後の最後にまともなストリップになった。どうせ閉館になるのだから特別公演の最初からそうしていたらもっと客が入ったのになと思った。
二回目ステージ終了後、予定通り、閉館の挨拶イベントが始まる。司会役はチナツさん。
当日出演のタレント以外に、DX歌舞伎の新人さん埃ちゃんと引退した豊田せりかさんが駆けつけてきた。DX歌舞伎の専属タレントは三人しかいない。葉月凛さん、美咲遥さん、埃さんに、それぞれイベントの役割があった。社長のアキさんは舞台に上がらなかったが、社長代行で年配の従業員が舞台に上がって挨拶を行った。
「こんなにたくさん客が入ったDX歌舞伎を初めて見ました。こんなにたくさんの方がDX歌舞伎を愛してくれて心から感謝しています。できればもっと早くから、もっと多く来てほしかったです(笑)。」冗談ぽく話したが本音だろうね(笑)
専属タレントを代表して葉月凛さんが挨拶。「今日ここで、こんなことを言ってはいけないかもですが・・・昔は良かったとつくづく思います。10年前デビューしたときはほんと良くて、まさか所属劇場が閉館するなんて思いもしなかったです。」というのが印象的。
他劇代表で真白希美さんが挨拶。「私は他劇では大阪東洋とここDX歌舞伎しか乗りません。そのひとつが無くなると思うと悲しいです。」
踊り子さんは劇場が無くなることが切実な問題だ。もうすぐ8月末で広島第一劇場も閉館することが決まっている(これは延期になる)。2020年の東京オリンピックに向けて、ストリップの灯がどんどん細りだしている。踊り子にとってもストリップファンにとっても悲しい現実である。なにがなんでもストリップの灯を失くさないでほしいというのがストリップを愛する人の切実な願いである。
当日は三回目ラストまで客は超満員であった。ほとんどの客は朝からいる人ばかり。途中で帰る人がいても途中から入場してくる人も多く、客は全然減らなかった。
出演タレントのみなさん、最後の最後まで気合の入ったステージを熱演してくれた。最終回は前半4人、後半5人の進行。最後を飾るに相応しい最高のステージだった。
DX歌舞伎は創業から39年をもって閉館する。
私は20年間ここにたくさん通わせてもらった。たくさんの思い出がある。
ここ数年はいわゆる‘パンツ興行’だった。警察署からの厳しい規制のため、パンツを履いてのストリップだった。営業としてはこれが致命的だった。ここから客が激減した。近くにある新宿ニューアートやTSミュージックがふつうにストリップ営業しているのに(同じ新宿歌舞伎町内ではあるがDX歌舞伎のみ警察の管轄が違うらしい)、パンツ興行だと当然に客が入らない。これではストリップの意味がないと言うことで、途中から、ステージだけはパンツを脱ぐようになったが、ポラもOPショーもパンツを履いたままだった。エロポラがないというのは大阪東洋など他にもあるから仕方ないにせよ、パンツを履いたままのOPショーはいただけなかったな。こんなOPショーならやらない方がいいと思っていた。私自身も、早くに並んでかぶり席を確保しようなんて気が起きなくなり、DX歌舞伎への熱が冷めていくのが分かった。特定の踊り子についてる固定ファンのみが変わらずに応援していた。ここDX歌舞伎はロックの一線級の踊り子もたくさん出演していたのでこれでもっていた。ロックとしても、踊り子のステージ確保から出演料などでだいぶ協力していたのだろうと思う。
思えば、警察から言われたことをひたすら守り続けてDX歌舞伎は潰れた。どうせ潰れるなら、まともにストリップをやって潰れた方がましだった。そもそも警察に劇場を潰す権利があるのか。従業員や踊り子など劇場関係者の仕事先を失くす権利があるのか。ストリップはそんなに社会的に悪なのか。改めて問いたいものだ。
ともあれ、営業としては限界だったと思う。今回の閉館の直接的な引き金はビル賃借料アップの宣告だったと聞く。隣にあったTSミュージックも経営は順調だったものの結局は家主と揉めて廃業になる。いまや家主がストリップに好意的でなくなってきて、賃借料を上げてストリップを閉館させるようになってきている。劇場側も抵抗するだけの体力がなくなってきて閉館を余儀なくされる。これが現実である。
ストリップ人気は衰退の一途をたどる。しかし、残ったストリップファンは熱い。最近では女性客も増えている。
ここで踏ん張って、ストリップの魅力を再認識させなくてはいけない。昔のような本番生板ショーがあったエログロのイメージを払拭させたい。今のストリップは色々なエロスのショーである。エロスは人間にとって無くてはならないもの。アートとしての意味をもつ。だからこそ女性客も増えているのだ。ストリップの認識を新たにしてなんとか市民権を得たいものだ。
ストリップファンとして微力ながら、これからのストリップ再興に尽力したい。
2019年6月末 DX歌舞伎にて