ストリップのステージを観ていると、SMチックな出し物がけっこう多い。
女王様に扮して、ボンティージ・ファッションをかっこよく着こなし、鞭を振るって観客を魅了します。中には、キャット・ウーマンに扮するともあります。
ほとんどはS役の女王様ルックですが、中にはメイドからM女に転身する役を演じる方もいます。昔はM女としての自縛ショーがたくさんありましたが、今は殆ど見なくなりました。最近では栗鳥巣さんや東洋所属の渚あおいさんの宙吊り自縛ショーが印象的でした。
以前、現役のSMクラブ嬢がストリップに出演したことがありましたね。六本木のレーヌという女王様専門のSMクラブ所属なので流石に女王様らしい風格を感じたものです。
一応断っておくと、こうした出し物は近年DX歌舞伎などで公演されているSMショー、レズショーなどとは一線を画します。あくまで、ストリップ立ち踊りのひとつの出し物に過ぎません。本格的なSMショーになると一般のストリップと客筋が全く違ってきます。
ただ、踊り子さんの中には、SMパフォーマンス系からストリップに入ってくる方もけっこういます。TATOOをされた方も多い。中には元SMクラブで働いていた方もいるようです。
だから、SMショーとストリップ、SM嬢とストリッパーというのも、垣根はあいまいな感じもします。私個人的には、現行のストリップとSMは一線を切り離したいと思っています。
ただ、出し物としてのSMちっくなものはOKでしょう。
改めて、踊り子さん達は何故にSMチックな出し物を試みるのでしょうか?
昔はSMというと地下に潜って秘密裡にするプレーと思われていましたが、今やSMクラブは風俗店として市民権を得た感じ。そういうところで働く風俗嬢はボンティージ・ファッションに憧れてその世界に入っていく人も多いようです。たしかに女性にとって、ひとつのファッションとしてボンティージ・ルックは関心があるのでしょう。
踊り子さん達も、SMに関心があるかどうかは別にして(まぁ全く関心のない方はそういう出し物はしないと思うが(笑))、皆さん、ボンティージ・ファッションに憧れて出し物に取り入れていることは間違いないでしょう。
また我々ファンにとっても、その着こなしが堪らなく格好いい。
と同時に、SMは(本格的なものは別として)ショーとしての魅力があり、出し物のレパートリーとして持っておきたいという気持ちにさせるのではないかな。刺激的で、どこか秘密裡めいた雰囲気が踊り子さんの別の顔を演出させてくれる。
まぁ、人間誰しもSの面もMの面も持っています。時と場合によって、どちらが強く出るかというに過ぎませんからね。
踊り子に憧れるファンというのも、どこか女王様に憧れる奴隷みたいなもんかもしれません。
ただ、ストリップファンとして、ボンティージ・ファッションを見ていて思うのは、大切なのは踊り子さんの品格だと思います。
女王様は恐怖をもってM男を服従させるわけではないと思います。M男は女王様のもつ「気品」にかしずくのです。気品は貴品ともいえます。外見だけでなく、内面から漂う貴品にひれ伏します。ですから、本当の女王様になるというのは大変難しいものだと思います。
また、SMプレイの根底には「愛」がないとプレイ自体が成り立ちません。M男は女王様の愛を信じて苦痛に耐えます。いや、愛があるからこそ苦痛も快感になるのでしょう。ふつうのセックスが単純な射精で終わるのに対し、SMプレイは本来時間の制限はなく果てしなく続くことも可能です。大事なことは、そこには互いの信頼関係が存すること。だから、ふつうに風俗店で行うSMまがいのプレイ、単に変わった趣味・嗜好に合わせて行っているプレイには「愛」がないために本当のSMプレイではない。私にはそう思えます。
きっとSMというのは奥の深いものなのだと思います。
SMについては、あまり人前で話してはいけないのかな。変態さんかと思われるから(笑)
太宰治の名作「斜陽」の中に、「他の生き物には絶対に無くて、人間にだけあるもの。それはね、ひめごと、というものよ。」とある。太宰が言うと、とても文学的でロマンチックだが、所詮
『人間とは、ひめごとを有する生き物』だと思う。