今回はシリーズ「オリンピックよりストリップ!?」(その8)として、「目に見えるメダルと目に見えないメダル」という話をさせて頂きたい。
ソチ・オリンピックが終盤を迎え、日本の獲得メダル数も8個と長野オリンピック10個に次ぐ二番目となり、日本人選手の活躍に大いに盛り上がっている。
私は「オリンピック ソっチのけで ストリップ」なんて言いながらも、気になる競技はしっかり観ていたし、たくさんの感動をもらった。やはりオリンピックは国中を元気にするよね。
今回は、女子フィギュアスケートの浅田真央選手について語りたい。
前回のバンクーバー・オリンピックでは女子で初めてのトリプル・アクセルを三度も成功させながら銀メダルに甘んじた。韓国のキム・ヨナ選手が圧倒的な強さで金メダルに輝く。浅田選手は、トリプル・アクセルを成功させながらも細かいミスで銀メダルに甘んじなければならなかった自分に対して、悔し涙を流した。
リベンジも含め、今回のソチを自分のスケート人生の集大成として臨んだ。前評判も高かったし、国民的アイドルとして期待を一身に背負った。
そうした中、現地時間2月19日(水)にSP(ショート・プログラム)が始まる。浅田選手は最初のトリプル・アクセルで転倒し、調子を戻せないままミスを繰り返し、精彩を欠く演技に終わってしまった。結果、16位となり、その時点でメダル獲得は絶望的となった。「取り返しのつかない失敗をしてしまった。今はなにも考えられない。後は、明日のフリーで自分の演技を全うするだけ。」と話す浅田選手には悲壮感が漂っていた。
期待が大きすぎ、そのプレッシャーに耐えられなかったのかもしれない。今回のソチで金メダル確実と思われてきた女子スキージャンプの高梨沙羅選手と同じか。これもオリンピックなんだなと思うしかない。
翌日(現地20日)、FS(フリースケーティング)演技が行われた。
浅田選手は前日の失敗を乗り越えて、最高の演技をした。女子では初めてという六種類の三回転ジャンプを八回飛び、全て成功させた。トリプル・アクセルを飛べる浅田選手しかできない演技構成になっている。そして自己最高得点を叩きだす。結果、メダルには届かなかったものの、総合六位入賞となった。
私もそうだが、たくさんの日本人が、深夜、TVの前で浅田選手の演技を見つめ、ひとつひとつの三回転ジャンプが成功するたびに心を弾ませていたと思う。そしてミスなく完璧な演技ができた時に「やはり浅田真央は素晴らしい!」と感動し納得したと思う。
彼女は、確かにメダルという記録には残らなかったかもしれないが、応援する全ての人々の心の記憶に残る名演技をしてくれた。
メダルというのは、目に見えるメダルと目に見えないメダルがあるのか、とふと思う。
浅田選手は、フリーの演技が終わった時、自分の演技に満足し嬉し涙を流し、すぐに笑顔になった。バンクーバーで銀メダルを獲得した時の悔し涙とは対照的。彼女は、メダル獲得では負けたが、最終的に自分に勝ったのである。彼女の笑顔はそれを物語っている。
メダルを獲得すること自体、素晴らしいことではある。前回のバンクーバーで金メダルに輝いた韓国のキム・ヨナ選手は、今回のソチでも機械のように正確でミスのない演技を行い銀メダルに輝いた。確実にメダルを獲得できるレベルに仕上げて来たキム・ヨナ選手を誰もが称賛する。
しかし、実際にはメダルを取れなかったけれど、私には、浅田選手の胸には目に見えない金メダルが輝いているように覚える。自分に勝つこと、人に感動を与えること、この二つができたら他になにを望もうか。
たくさんの有名スケーターが浅田真央選手に賛辞のコメントを贈っている。
その中で、10代からずっと浅田選手とライバルだった安藤美姫選手のコメントを記しておく。「メダルよりも価値のあるものを見せて、プレゼントしてくれたのかなと思う」
今回の女子フィギュアスケートの主役は浅田真央選手でした。
蛇足になるかもしれないが、ストリップの話を最後にする。
素晴らしいステージをしたにもかかわらず、「うまくいかなかったわ。もっと頑張らなきゃね。」と話す踊り子さんがよくいる。私にはどこを失敗したか分からない。でも、そういう向上心をもつ踊り子さんはとても輝いている。目には見えないが彼女の胸にはストリップの金メダルが輝いている。
平成26年2月