今回は「オリンピックよりストリップ!?」(その6)という話。
2012年7月27日に始まったロンドン・オリンピックが8月12日で17日間の幕を閉じた。
日本は、金7個、銀14個、銅17個の計38個となり、前々回のアテネでの37個を上回る最多のメダル数の活躍を見せた。ただ、メダル数は多かったものの、金メダルが極端に少なくなった。男子柔道で初めて金メダル・ゼロという結果が象徴的だった。今回のオリンピックでは、日本オリンピック協会がメダル獲得に力を入れた成果が表れた形になったものの、今後、金メダルを取るためにはもうひとつ上のクラスに挑戦していかないといけないことが分かった。
今回のオリンピックでは、日本の女子パワーが目立った。女子柔道、女子レスリングの活躍。当初からサッカーのなでしこジャパンが注目されたが期待通りの活躍で銀メダルに輝いた。女子バレーも久々の銅メダル獲得。これまでメダルに縁がなかった女子卓球、アーチェリー、バトミントン、女子重量挙げなどでもメダルを獲得できた。
金メダルに話をしぼる。
前回のエッセイで、柔道の松本選手の話をしたので、今回はそれ以外の方の話をしたい。なんと言っても、女子レスリング3個の金メダルが光る。
●. 女子で前人未到の五輪3連覇を達成した、女子レスリング界の55kg級の吉田沙保里さん(29歳)と63kg級の伊調馨さん(28歳)。まさに女王の貫禄を見せつけた。
8月8日、ひと足早く63kg級の伊調馨選手が3連覇を達成した。
これまでのアテネ・北京とは全くスタイルを変えていた。これまでは受けの強さを生かし、相手の攻撃を切り返して勝利するパターンだったが、今回は積極的に攻撃するスタイルに変貌した。しかも技の多彩が光る。このことは、彼女のレスリング人生がまだ道途上であることを示す。「次のリオもあっという間に来る」と4年後を見据えた発言もしているほど。
伊調は北京後、一旦は引退を考えていた。姉の千春が北京を機に引退を決めていたので自分も同じと休養に入る。しかし、中京女子大学に拠点を移し、男子との合宿を経験し、いままで知らない技を知り理論を知る。そうしてレスリングの奥深さを知ることで、現役続行の意欲が湧いてくる。より積極的に練習に取り組むようになる。
「私は4年前の私とは違う」ということを今回のロンドンで示そうとした。絶好調の強さを見せつけた伊調選手だが、実は試合直前に左足首のじん帯を切る怪我をしていた。それでも相手を寄せ付けない強さを発揮したところに伊調選手の強さと進化が物語れる。
翌日の8月9日、55kg級の吉田沙保里さんが圧倒的な強さで3連覇を達成した。
無敵を誇った吉田選手も、今年五月のロンドン前哨戦となるワールドカップでロシアの若手選手に連勝をストップされ、3連覇に暗雲がかかっていた。が、今回のロンドンではそんな心配を微塵も感じさせない強さで相手を圧倒した。
むしろ連勝ストップが、彼女のテンションをハイにした。「ロンドンで絶対に勝ちたい。リベンジしたい。」という闘志に火がついた。
彼女ほどのトップ・アスリートになれば、すべてのことをプラスにつなげていける。
日本の誇る二人のアスリートの圧倒的な強さ・活躍は、我々日本人にどれだけ勇気と元気を与えてくれたことだろう。まさに金メダル級の威力である。
●. 女子レスリング48kg級の小原日登美(31歳)、悲願の金メダル獲得は泣かせる
小原日登美(旧姓、坂本)さんは、2000年から2011年までに8度世界選手権に出場し8度制覇した名レスラーだが、これまで五輪に縁がなかった。
小原は、1999年51kg級の日本選手権で初優勝し、瞬く間に世界屈指のレスラーとなった。「彼女の登場で女子レスリングの歴史が変わった」と関係者が評するほどの才能を持っていた。
女子レスリングは2001年のアテネからオリンピックに採用されたものの、女子レスリング全7階級中、オリンピックでは4階級しか採用されず51kg級はなかった。そのため、彼女は上の55kg級か、下の48kg級に回るしかなかった。しかし、48kg級に回るには二つの問題があった。ひとつは、もともと減量で苦しんでいたこと。そして二つ目は48kg級に妹の坂本真喜子がいたこと。結局、妹との代表争いを避け55kgに回ったものの、そこには無敵を誇る吉田沙保里選手がいてアテネ、北京ともに代表争いに敗退した。
小原は、一度は引退を決意して、妹のコーチになった。2009年の世界選手権で妹の真喜子が8位に終わったとき、妹から自分は現役を引退するから、小原こそ48kg級で五輪を目指すべきと提案された。そこで小原の闘志に火が付き、家族を始め周りの協力で減量に成功し、2010年、2011年の48kg級世界選手権で優勝する。
そして、今回のロンドンで悲願の金メダルを手に入れる。まさに10年越しの夢舞台。彼女の笑顔と涙は我々を感動せずにいられない。
アテネを諦めた2003年に、一度故郷八戸の実家に戻り、ひきこもりになる。体重は74kgにもなったという。仲間からメールを受け、妹からも何度も連絡があり、カウンセリングを受け復帰。再度、北京に向け再チャレンジするも、またしても吉田選手に敗れる。それでも2008年の51kg級世界選手権で優勝し、有終の美を飾ることで現役を引退。そこで一旦気持ちの整理はつけた。最後は妹のコーチになるわけだが、妹の提案で、もう一度夢の舞台に挑戦することになる。彼女ほどのアスリートにとっては、やはり真のゴールはオリンピックの金メダルなんだろうな。どんなに割り切っても自分に嘘はつけなかったんだろう。
「これまで応援してくれた周りの人たちのためにも、絶対に笑顔で終わる」と試合中、自分に言い聞かせていたという。彼女の強い信念、執念には頭が下がる。最高の女子パワーを見せて頂いた。
どんな悲運があろうとも諦めなければ夢は叶うことを彼女は証明してくれた。
今回のロンドン五輪では、女子パワーの凄さを見せつけられた。
男子では体操の内村航平選手がやはり天才ならではの金メダルに輝く一方、日本男子は努力と根性で金メダルを獲得するのは無理なのかなと感じていたところ、最終日にかけて、ボクシング男子ミドル級で村田諒太さん(26歳)が東京大会以来48年ぶりの金メダル獲得、そしてレスリング男子フリースタイル66キロ級で米満達弘さん(26歳、自衛隊)がソウル大会以来24年ぶりの金メダルを獲得して、日本男子として一矢報いてくれたことが嬉しかった。
今回は、ストリップと全く関係なくペンが進んでしまった。(笑)
金メダルに限定して話してきたが、どの選手にもオリンピックの舞台に出るまでに、様々なドラマがあり、そこに人生がある。そして周りの人々の多くの応援がある。
踊り子さんも同様に、ストリップの舞台に上がるまでに様々なドラマがあって今ここに居るのだと感じる。素敵なステージを演じ我々ファンを楽しませてくれる全ての踊り子さんに私から金メダルを授与したい。そして、長くステージで輝けるよう心から応援したい。
平成24年8月