5月末のさいとう真央さんの引退記念に渡した文章を披露します。
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いよいよ引退ですね。仙台から会いに来ましたよ。
前回の4月結の浜劇では思わず「あけおめ」と言われ、ご無沙汰していたことを大変申し訳なく思いました(笑)。ずっと会いたいと思っていましたよ。言い訳じゃないけど、真央さんも昨年7月頭以来仙台ロックへ来演してくれないし、今年に入ってからはマカオとか福山ロック大会、浅草など私の行動範囲外ばかりに出演されていたので、なかなかお会いできませんでした。浜でようやくお会いできたという感じでした。
浜劇では、久しぶりに真央さんのステージ見ていて、やっぱり最高の踊り子さんだと思ったよ。綺麗だし、ステージそのものが艶っぽくて、うっとりしてきます。
ただ、今回は5月の引退を前にしているため、私自身が感傷的になってきて、おもわず涙があふれてきました。惜別の情と、これまで仲良くしてくれた感謝の気持ちが込み上げてきました。とくに仙台ロックでの思い出が走馬灯のように頭の中を駆け巡り、あのときのたくさんの手紙のやりとりが鮮明に思い出されました。真央さん、けっこうプライベートなことも書いてくれて、たくさん心のコミュニケーションをさせて頂き、ホント嬉しかった。最高の思い出になりました。
今回の作品は、ベッド曲まで、いかにも「泣け」とばかりの構成で、ベッドでの感情のこもった演技、さらにベッド曲の歌詞を味わっていたら、もう涙を抑えることができなくなりました。
ところが、立ち上がりの曲が急転、明るいハイテンポな曲に変わり、真央さんが盆周りのお客一人一人の顔を覗き込んでは笑顔をおくる。
いやぁ~ドキッとした!
私は涙を流しながら、いったいどんな顔で真央さんを見たらいいんだよぉ~
正直言ったら、このまま気持ちよく泣かせてほしかったよ(笑)
ポラのコメントに、「久々に会ったのに、なーに泣いてるの!! あとは笑うだけェ~♪」
笑顔劇場の真央さんらしいなぁ。。。
コメントの最後にこうあった。「真央の笑顔が届きますよーに!」
真央さんのデビュー以来の一貫したメッセージがここにある。
真央さんの引退記念に童話をプレゼントさせて下さい。前回の浜に続き、第二弾になります。真央さんのことをちらちら考えながら書き上げました。お金のない私にはこんなことしかできないけど、気に入ってくれたら嬉しいです。
題名は『ぼくの愛犬マオタン』・・・
その日は、冬の寒い日でした。
家の裏手にある小屋の中で、小さな小さな五匹の子犬が産まれました。
子犬はみな母犬に似て、真っ白な毛並み。
あれっ、一匹だけ黒い毛が混じっている子犬がいる。両方の耳と目のまわりだけが黒く、ひとつのアクセントになっている。パンダみたいな顔つきだな。どこか泣き顔みたいに見えて、ぼくの心をとらえた。
ぼくはその子犬を家の中に連れて行った。
ぼくはその子犬にマオタンという名前を付けた。実はクラスの中でひそかに好きな女の子の名前、真央ちゃんに因んだんだ。
小学生になったばかりのぼくはいつもマオタンと一緒だった。
ぼくは早くマオタンに会いたくて学校から走って帰る。
そして寝るまでマオタンと遊ぶ。
寝るときも一緒の布団。
朝はマオタンの息を感じて目が覚める。お散歩の催促。
そんなマオタンとの日々が続いた。
ぼくはマオタンの垂れ目を見つめて誓った。
「これまでもずっとそばにいたし、これからもずっとそばにいるよ」
マオタンはメスの大型犬。どんどん大きくなっていった。
マオタンはぼくの恋人。大きな黒い瞳をくるくるさせ、そして目の周りの黒い毛の部分が艶々した。遠くから見ると、大きな垂れ目で泣き顔に見えた。ぼくはそんなマオタンがとてもいとおしかった。
マオタンの目はいつも、ぼくのことを大好きだと訴えていた。もちろんぼくもマオタンが大好き。
マオタンはすぐにぼくより大きな体になった。でも、ぼくも負けずに大きくなった。ぼくとマオタンは共に大きくなっていった。
ぼくはマオタンのお陰で、小さい頃から早起きの習慣がついた。日の出とともに起床。
マオタンがぼくの目覚まし時計。
清清しい朝の中を軽く散歩してから、ぼくは勉強を始めた。朝は勉強が捗(はかど)った。マオタンはぼくの隣で、いつも優しい眼差しでぼくのことを見ていた。
中学・高校時代、朝の勉強のせいか、ぼくは成績はいつもトップ。
順調に志望大学に合格した。
大学に入学するため、ぼくは家を離れることになった。
マオタンはぼくがいなくなることを気配で察しているようだった。
ぼくが家を離れるとき、マオタンはぼくに抱きついて、ぼくの顔をなめまわした。
おもわず「おいおい、いいかげんにしろよ」と言いかけて、マオタンの顔を見たら、泣き顔の大きな目に涙があふれていた。
その涙を見た瞬間、ぼくは凍りついたように黙ってしまい、マオタンがなめまわすままになっていた。
大学が長期休暇に入るたびに、ぼくはマオタンに会いに実家に戻った。
ぼくの足音が分かるのか、マオタンは玄関で待っていてくれる。
そして、玄関の扉を開けた瞬間、ぼくに飛びついてくる。
「約束したのに、ずっとそばにいれなくてごめんね。」
大学4年間が過ぎ、ぼくは実家に戻った。
マオタンが喜んでぼくに抱きついてきた。
マオタンの顔をじっくり見る。「ずいぶん老けてきたなぁ~」
4年という時間は犬にとっては長い。マオタンも15歳を過ぎ、もうかなりの老犬になっていた。黒いぶちにかなり白い毛が混ざってきた。
大好きだった散歩にもほとんど出掛けなくなっていた。
それからマオタンが動けなくなるのに時間はかからなかった。
マオタンももうすぐぼくと別れる日が来るのを知っていた。
マオタンが天に召されるとき、ぼくはそばにいた。マオタンはぼくの顔を見ながら涙を浮かべていた。大きな垂れ目、悲しそうな顔がより一層悲しく見えた。
マオタンが亡くなって、一時ぼくは抜け殻のようになった。
マオタンの泣き顔を思い出すたびに、いつも涙が止まらなくなった。
でも、時がぼくに優しくしてくれた。
マオタンとの別れの悲しみが小さくなるにつれ、マオタンとの楽しかった思い出がぼくの中で大きく膨らんでいった。
「別れの悲しみはやがて消えていくけれど、出会いの喜びは思い出となってどんどん輝きを増していく」
マオタンはいつも僕の心の中にいる。
だから、ぼくは、マオタンに「さよなら」は言わない。
おしまい