ストリップにはポラ撮影があるために、ポラを通じて、踊り子さんとお客との関係ができてくる。親しくなれば楽しいコミュニケーションとなるが、時にポラのために軋轢を生じることもある。

 今回は、あるストリップ仲間Kさんが発した「ポラは性格だ」という話をしてみる。

 

 ある綺麗な大物新人さんがデビューし、当然ながらポラには長蛇の列ができていた。Kさんはその新人さん目当てで二度劇場に足を運んだのだが、ポラにサインを頼んでも一向に返ってこないと嘆いていた。

 私も1回目のステージから毎回彼女のポラを撮り、その都度サインをお願いしたが、最初の日には一枚も戻ってこなかった。これだけポラが売れていればサインするのも大変だろうと、戻ってこなくても納得していた。「お手紙をちゃんと読みたいの」とも言ってくれたので、私としては気分よくしていた。一応ラストの回に、今日でなくていいからポラを受付に預けておいてほしいと彼女に頼んでおいた。

 同じ週にもう一度その新人さんを観に行ったとき、劇場の受付に彼女のポラが預けてあるか聞いてみたら、なかった。ポラを撮るときに彼女に前回のポラを確認したら、次の回にもってきてくれた。日付とサインだけが記されてあった。正直いって、サインが味気なくてがっかりした。その後、サインを頼んでもいつも同じ感じ。ましてや、私の手紙に対する反応は全くない。1000円ポラだし、これ以上彼女を応援するのは止めようと思い始めた。

 丁度そんなときに、Kさんの嘆きを聞いてしまった。Kさんは前回のポラと当日のポラの返却を、名前だけのサインでいいから次の回までに受付に預けておいてほしいと頼んだようだが、結果的には受付でもらえないまま帰らざるをえなかった。

 彼女の場合は、新人さんなので要領が分からなかったのかもしれないが、少なくともポラに対する心構えはなっていないと思えた。ポラを売ることだけを考えて、お客への対応があまりにおざなり過ぎる。これではせっかく綺麗でも固定ファンをつかむのは難しい。

 Kさんは「ポラには性格が出るからなぁ。いくらポラが売れて忙しい方でも、性格のまめな人はポラに自然と出てくるし、お客を大事に思っていれば態度や対応に表れる。だから、彼女の場合、誰かが指摘したとしても簡単に治らないだろうね。私はもう彼女の応援はしないことにしたよ」と言っていた。

 

 たかがポラ・サイン一枚で、性格のことまで言われたら、踊り子さんとしてもたまらないだろうなと思う。

 一方、1000円を支払って買うお客の立場からは、それをどう捉えるかも自由。

 お客が「この踊り子さんはいい子だ」と思う基準というのは千差万別。ポラ・タイムに片言お喋りしてくれる方がいい子と思う客もいれば、私のストリップ仲間のガチャピン君はポラでひざまくらポーズをやってくれる方がいい子と言う。(笑) 私なんかは私の手紙に反応してくれる方がお気に入りになってくる。この点はいろいろあっていいのだと思う。自分の好みでお気に入りの踊り子さんを決めていけばいい。まさに「踊り子さんが客を選ぶのではなく、客が踊り子さんを選ぶ」のである。

 

 ただ、ポラへの対応については最低限のマナーはあると思う。守るべきマナーは客にもあるが、踊り子さん側にもある。

 客は1000円という身銭を切って買う。たかだか1000円ではあるが、一食分の価値、いや安い食事なら二食分の価値がある。仮に食事を抜いてでも彼女のポラを買う価値があるかと考えるとなかなか買えない。これは少し極端な言い方で失礼しましたが、言い方を変えると、踊り子さん自身がお客の立場になったとして、自分のポラを買いたくなるか自問してみたらいいと思う。自分のポラに一食分以上の価値があると思えるか。

 踊り子さんからすれば、「踊りを見せたい。ポラを売るために踊り子をやっているわけではない」と言いたい気持ちはよく理解できる。しかし、今のストリップ劇場は入場料だけでは商売にならず、むしろポラ撮影による収入源が大きくポラを無視できなくなっている。

 なによりも、ポラの対応だけで、せっかく自分の魅力を感じて近づいてきた客を逃してしまう。大切なファンになってくれていたかもしれないと考えると惜しい気がしてならない。

 ポラというのは踊り子さんの魅力が買わせるのである。ヌード目的の一見客を除いて、少なくとも常連客は踊り子さんの魅力にひかれてポラを買い続けている。そういうファンを大切にする気持ちがなかったら、踊り子さんもこの仕事を続けられないだろうなと思ってしまう。