その後、行き慣れたせいか、広島第一劇場には年に数回訪れるようになる。
いくつか思い出のエピソードを紹介したい。私のストリップ日記から。
1. お目当ての踊り子さんの突然の欠場
H25(2013)年の暮れ、私は三日間の広島遠征を決めた。
ロック特別公演が催された。メンバーは①清水愛、②空まこと、③稲川なつめ、④小嶋実花 、⑤真白希実〔敬称略〕。もちろん全員ロック。
お目当ては、新人の稲川なつめさん。先月11月1日に新宿ニューアートでデビューしたばかり。今回の広島公演が三週目となる。宣材ポスターがとても綺麗で会えるのをすごく楽しみにしていた。
年末の休みに入り、すぐ12/28(土)に広島に向かう。東京から京都まで夜行バス、京都から新幹線をつないで広島へ。
広島には11時前に到着。タクシーで広島第一劇場へ。
先客が一人並んでいた。見たことのある顔だが名前は知らない。軽く挨拶を交わす。空まことさんのファンで、静岡から来たという。
ふと受付を見ると「本日は稲川なつめさんが体調不良のため欠場します」と張り紙がある。
えぇ~!? 一瞬目が点になった。
広島までやってきて、お目当ての子が欠場なんて最悪だぁ~(涙)。彼が気の毒そうな顔をしている。
関東だったら他の劇場に行くこともできるが、ここ広島だと無理。
なつめさんの体調不良の原因は分からない。今はインフルエンザの時期でもある。もしインフルエンザに罹ったとしたら残り楽日まで完全にアウトだが、そうでもないようだ。踊り子さんや従業員の話では明日から出演できそうな雰囲気だった。それを信じて待つことにした。
今回の興行は、ロックのトリクラス二人、小嶋実花さんと真白希実さんというツートップが揃っている。二人のチームショーも良かった。オークションも楽しかった。
仲良くさせてもらっている小嶋実花さんのために観劇レポートを書きたくなって真剣にステージを観た。一夜漬けでレポートを書き上げて翌日お渡しできた。そんなこともあり、翌日も広島第一劇場に通う。
二日目も稲川さんが欠場していたら、三日目の朝に広島を離れようと思ったが・・・。
ストリップの女神がほほ笑んでくれた。朝、入場を待っていたら、開場前に従業員が受付の稲川さん欠場の貼り紙をはがした。やったぁ~!! 待った甲斐があった。
このときの出来事をもとに童話「幻の踊り子、まだ見ぬ君へ」を書き上げた。これもいい思い出だ。
(この童話「幻の踊り子、まだ見ぬ君へ」は小説投稿サイト『ハーメルン』に、ストリップ太郎の名前で掲載しました。よかったらご覧下さい。)
2. 台風に負けず ~広島第一劇場ロックお盆特別興行~
平成26(2014)年8月。今年の夏休みはMIKAさんからスタートしようと決めていた。
広島第一劇場でお盆にロック特別興行があり、MIKAさんがのることが分かって心がうきうきし出した。しかも二週続けていい香盤。
一週目(8/1-10)の香盤は次の通り。①香山蘭、②MIKA、③香坂ゆかり、④美緒みくる、⑤真白希実〔敬称略〕。全員ロック。
二週目(8/11-20)の香盤は次の通り。①川原美咲、②安田志穂、③長谷川凛、④阿久美々、⑤小澤マリア〔敬称略〕。全員ロック。
こりゃ万難を排して広島に行くぞー!
二週続けて観るために、8月9日(土)~8月12日(火)の四日間の広島遠征を計画。
前回の広島遠征と同じく、交通費を押さえるため、行きは京都まで深夜バスにして京都から新幹線で広島へ。帰りは、広島から大阪まで深夜バス、そして一日、東洋ショー劇場に寄り、大阪から東京まで深夜バスという豪華五日間のストリップ遠征計画とする。広島第一劇場近くの定宿ニュージャパンを三泊予約。準備は万端!
早く来い!来い!お盆休み!
遠征する前の週に、台風11号発生のニュースが流れる。
日が経つにつれ、ちょうど私の広島遠征と台風11号がぶつかる☆ 大変だぁ~!!
台風の状況を確認するに、まさに8月9日(土)と8月10日(日)の二日間にかけて広島周辺に上陸する模様。
まいったなぁ~。
前日の8月8日(金)に、私は二度、広島第一劇場に電話を入れて公演するかを確認した。今のところ上演する予定との回答。私はその言葉を信じて23時10分新宿発の夜行バスに乗り込む。東京の天気は良かった。
夜行バスはお盆の交通渋滞で40分遅れで京都に着く。関西はかなり雨が降っていた。すぐに7時43分発の新幹線のぞみに乗継ぎ、10時前に広島駅に到着。広島は小雨だった。このくらいの雨なら上演するだろうなと安心。タクシーの運転手が、今夜から明日の明け方に台風のピークになるらしいと教えてくれた。
10時前に劇場に着いたら、私は三番目。なんと、仙台の顔見知りさんがいるーっ!香山蘭さんが出演しているから、もしかしたら来ているかもしれないなと私は思っていた。むしろ彼の方が驚いていた。まさか広島で私と会うとは思っていなかったようだ。
二番目はMIKAさん大ファンの盛岡の彼。早めに夏休みをとって初日からずっといると話してくれた。
東北から二人が駆けつけていたことに感激。
広島は舞台が広い。天井が高いからリングには最適。しかも照明が良く、舞台後方の壁が白い大きい幕で、手前の大きい幕がえんじ色で映える。
盆の高さが目の高さ。そのため少し見上げる感じ。昔のストリップ劇場はこのくらいの高さだった。オープンでは目の前に迫ってきてすごく興奮。
いま二回目ステージ終了時、オークションが開催されている。私はオークションには興味がなかったので、ラウンジで、このレポートをせっせと書いている。オークションの盛況な声が聞こえる。
台風が四国にまともに上陸せず、かすめるように近畿地方に向かうようだ。夕方から大降りになると予測されていたが、雨は弱まって来た。なんとか明日も興行できそうだ。
遥々、広島までMIKAさんを追いかけてきて、しっかりステージが観れて本当にラッキー。結果的に、私のMIKAさんを思う熱い気持ちが台風を吹っ飛ばした感じ。
オークションで時間が押し、四回目開始がPM22時半過ぎ。ポラ無しのソロダンス。
MIKAさんのステージが終わってから、仙台と盛岡の彼たちと一緒に広島の夜に繰り出した。23時半頃か。
盛岡の彼は実は広島出身であることを知る。お蔭で、美味しいお酒と広島焼きを堪能できました♪
午前2時ホテル到着。初日から最高の広島遠征になりました。
遠征しているといろんなことが起こるね。それもストリップの楽しみと思わないといけない。
3. 平和のシンボル ~広島第一劇場ロックお盆特別興行にて~
今、お盆に広島にいる。
台風11号が過ぎ去り、身体に纏わりつくような熱暑が戻る。ここは原爆の街、広島。
日本が平和だと思える景色は何かなとふと考える。家庭団欒、仲間と酒を呑み交わすこと、お祭り・・・と思いつくが、女の裸を楽しむストリップも平和の象徴だよなぁとしみじみ感ずる。
美緒みくるさんのステージが気に入った。
胸元を広げると大きなおっぱいが現れる。これがみくるちゃんの最大の売り。弾けるような、たわわなおっぱい。エロスのかたまり。私はおっぱいでこれだけ魅了されたことはない。
ある意味、みくるちゃんは平成のエロス・クイーンかなとも思う。でもエロス・クイーンというと、一般にナイス・プロポーションの妖しい色香を放ついい女系なのだが、みくるちゃんはまだあどけなさも残るタイプ。まだ若い。私にはキューピーちゃんみたいな人形のイメージがある。あるスト仲間が、「みくるさんは身体のバランスからみて手足が短いので、丸っこいお人形さんみたいに感ずる」と話していた。大きなおっぱいが丸っこさをより強調する。
先ほど、女の裸を見るのが平和の象徴と話したように、ストリップというものは、ステージの出来を云々する前に、ただただ若い娘の弾けるヌードを鼻の下を伸ばして眺めたい。おじさんにとって、それこそが平和の象徴だ。
みくるちゃんのヌードは、まさにそれ。眺めていると、おじさんは幸せになる。そのフェロモン・パワーはおじさんを元気にする。みくるちゃんのヌードは、我々ストリップ界の平和のシンボルなのである。
みくるさんの新作「BARA HIME」が気に入った。この演目を観た瞬間に、童話にしたいと思った。
みくるさんが「私の中の設定ではあれは悲しいお話なんですよー」とコメントをくれる。バラ姫と悲話という二つの切り口から、私は自分なりのストーリーを考えた。久しぶりに頭の中をストーリーが勝手に流れた。「バラ姫、童話にしてくれるんですね!」と喜んでくれるみくるさん。
童話「薔薇姫」をプレゼントできた。いい思い出になった。(この童話「薔薇姫」も本日、ブログ「ストリップ童話館」に掲載しました。)