1. 2021年4月14日 シアター上野への警察のガサ入れ
ストリップ太郎が血相を変え息を切らしてやってきた。
みんなが心配して「どうしたんだ?」と尋ねた。
「実は、さっきシアター上野に行ってきたんだ。すると入口のところに、5~6人の男たちがたむろしていた。私が劇場の中に入ろうとしたら『お客さんですか。残念ながら、今日は警察が立ち入りしているので入場できません。』と言う。彼らは私服警官のようだ。すぐにその場を立ち去り、本当に警察のガサ入れがあったのかどうかを確認するため、近くからシアター上野に電話を入れた。案の定、電話は通じなかった。
ぼくは今週のシアター上野にお目当ての踊り子さんがいて、初日、二日目と通っていた。三日目は行かなかったが、今日の四日目は行くつもりでいた。たまたま来る途中で、修理を依頼していたノートパソコンを取りに行くためヤマダ電機に寄った。そのため劇場に到着するのが遅れ、トップの踊り子のステージが終わった12時半頃に到着したんだ。
いつものように朝一から来ていたら警察のガサ入れに遭遇することになった。運が良かったといえるけど、劇場や踊り子さんたちのことが心配でしょうがない。」
しばらくすると、シアター上野に朝一から行っていたという顔見知りのスト仲間二人がやってきた。神妙な顔をしている。
「朝からひどい目に遭ってしまった。ついに警察のガサ入れを実体験してしまったよ。調書をとられるやら、、、もちろん入場料はパーだし。さんざんな話だ。」
彼らがそのときの状況を詳しく話してくれた。・・・
平日(水曜日)なので朝一から客は10名ほどしか居なかった。当日はパンプレ企画があったものの平日としては少ない。トップの踊り子がステージで踊り、ボラを撮り、オープンショーまで、一通り終わったところで、後ろの方で見ていた50代くらいの客がおもむろに立ち上がり前に出て「みなさん、そのまま動かないように。いまから公然わいせつ罪の現行犯として捜査します。」と警察手帳を掲げた。私服警官だった。
外に待機していた私服警官30名ほどがどかどかと中に入ってくる。後の報道によると警官は全部で50人も動員されてたらしい。
劇場スタッフ5名が舞台に上げられ一列になり手錠・腰縄をかけられた。トップの踊り子は別の警官と楽屋に入り取り調べをうけているようだ。客は全員、調書を取られる。調書の内容は、住所、氏名、生年月日、年齢、連絡先(電話番号)、職業(勤務先)などの基本的個人情報から始まる。所持品検査はなかった。今回ボラは一切捜査の対象ではなかった。(まだプリントもされていないのでボラの回収は無理かな!?)
今回はあくまで公然わいせつ罪の立証が対象であり、「踊り子が陰部をさらし、それを見た」という証言を必要としていた。
お客の中には女性客もいて、「ストリップがなんで悪いんですか」と反論していたらしい。
そのままシアター上野の社長たちは警察に連行された。報道陣が事前に連絡を受けていた模様でその様を撮影している。お客らは全員、13時15分頃には劇場から解放された。
以上が彼らからの聞き取り内容である。
その後、TVや新聞にて報道される。そのまま転載する。・・・
警視庁保安課は16日、東京都台東区上野2のストリップ劇場「シアター上野」を摘発し、経営者の容疑者と女性ダンサー1人、40~60代の男性従業員5人の計6人を公然わいせつ容疑で逮捕したと発表した。
逮捕容疑は4月14日(水)午後0時半ごろ、劇場に設置されたステージ上でダンサーが下半身を露出し、客15人に観覧させたとしている。照明を下半身に当てるなどの演出をして客を楽しませていたという。
同課によると、容疑者は「取り締まりを受ける覚悟で営業していた」と供述。ダンサーら5人も「生活のためだった」などと全員容疑を認めているという。
同劇場は上野地域で唯一のストリップ劇場として知られ、1回約2時間半の公演で5人のダンサーが出演し、入場料は5000円。1995年ごろから営業を始め、容疑者は2005年ごろから経営を引き継いでいた。約2年前から警視庁に苦情が寄せられ、同課が捜査を進めていた。・・・
ストリップ太郎は、警察に連行された踊り子をすごく心配していた。彼女のことを応援していたこともあり、彼女への扱いが酷い!と憤慨していた。
とくに彼女の場合、実名と実年齢に合わせ、顔写真までTVや新聞に報道された。これまでも実名と実年齢まで報道されることはあっても、顔写真まで出るのは初めて。ずいぶんひどい扱いじゃないかと彼は憤慨した。スト仲間が「彼女は複数回の検挙になるからじゃないか」と言う。本当に運が悪いとしか言いようがない。「そんなに心配しなくても、彼女ぐらいのベテランになったら肝が据わっているよ。」とスト仲間が慰める。それにしても、最長で二週間、これまでの例から、早くて2日から長い人で10日程度は抑留される可能性がある。しばらく会えないので心配が続く。
ストリップ太郎をはじめ、ストリップ・ファンは皆、こうした警察の対応に憤慨した。
あるスト仲間からの情報によると、「警視庁初の女性警視正(上野署長)が2/16に誕生し、そのご祝儀にガサ入れしたのではないか」と連絡が入った。そういえば、「たしかに2月頃、女性署長就任の時、いろいろと憶測が出ていたな」と言う。
「警察のガサ入れについては、脱税や踊り子の麻薬所持などの要因もあるが、定期的に実績作り(点数稼ぎ)をやっているという話がある。今回は‘公然わいせつ容疑’と明言しているから完全な実績作りとなる。」
「今はコロナ禍でストリップ客が激減し、どこの劇場も経営が非常に厳しい。そんな中で実績作りなんかするか!? ストリップ関係者に死ねと言っているようなものだ。警察がそんな理不尽なことをするなんて信じられない。」
「これは弱い者虐めじゃないか。だいたい女性の警察署長が女性である踊り子を虐めてどうするんだ!」
「実績づくりなんて、スト客としては迷惑千万だ!警察は他にすることがたくさんあるだろう。こんなことにたくさんの警官をつぎ込んで、ほんとうに税金の無駄遣いだ。」
「ストリップは法律で認められているはずではないのか。これではストリップ業界全体が営業できなくなる。」
「オリンピック前だからかな。これだと関東の劇場は他も危ないぞ。」
2021年4月14日(水)のシアター上野への警察ガサ入れのショックはストリップ業界全体に波紋を呼んでいる。ここしばらくガサ入れがなかったせいだ。
劇場関係者や踊り子はかなりショックを受け神経質になっている。
劇場関係者に今回の件を話すと皆一様に「しばらくなかったことなので油断してた」と驚いている。聞けばストリップ劇場の摘発は2013年1月のTSミュージック以来8年ぶりとのこと。「オリンピック前なので何らかの制限の指示はあるかなと思っていたが、まさか、このコロナ禍でガサ入れを実行するとは・・・」
踊り子に先(1.)のレポートを読んでもらう。ある踊り子のコメント「上野の事はとてもショックでした。当事者ではないけれどとてもメンタルやられました。」みなさん同じ気持ちだと思う。「私は事件のちょうど一か月前の上野公演に乗ってました。しかもトップ。だから一か月前だったら私が被害に遭っていた。そう思うと背中が凍ります。私だったら、警察に逮捕されたら踊り子を即辞めます!」と話していた。8年ぶりということは、警察のガサ入れ自体を知らない踊り子も多くなってきている。特に、最近デビューした踊り子はそうだ。というか、デビュー時の面接で劇場スタッフからガサ入れの心配はないからと説明を受けて入った方もいる。彼女はSNSで「ガサ入れが無いなんて嘘じゃない!」とつぶやいている。劇場によっては警察と事前に調整して過激なエロボラを中止する等それ相応の対応をとっている劇場もあるが、その劇場自体は大丈夫かもしれないが、所属の踊り子が他の劇場に出演中に検挙される懸念は残る。踊り子から、こうした話を聞いていると、大好きな踊り子を虐める警察が許せない気持ちでいっぱいになる。
上野ショックの影響は全国に及んでいる。
次々とスト仲間から連絡が入る。
シアター上野が所属する他のTS系列の動きはどうか?
ガサ入れのあった当日、同じTS系列の池袋ミカド劇場にも、目つきの鋭い数人の客が入っていて、彼らは私服警官ではないかと疑われたらしい。こうなれば疑心暗鬼の状態になる。翌日、ミカドは早々に「今週は都合により休館にする」と掲示された。
ミカドは翌週21日から営業再開したが、パンツ興行(ポラ撮影でパンツを履くのはもちろん、ステージでもパンツを脱がないで演ずる)なのに客は驚く。万一、警察のガサ入れがあったとしてもパンツを履いていれば「公然わいせつ罪」にはならないから。苦肉の策とは言え、ストリップでパンツ興行というのは情けない話だ。いい香盤にもかかわらず客足は激減した。
大和ミュージックも一回目ステージはパンツ興行だった。二回目からは通常に戻す。
ちなみに、シアター上野は5/1から営業再開したが、もちろんパンツ興行。
TS系列は当然ながらかなり神経質になっている模様。
また、遠く広島第一劇場にも警察のガサ入れが入ったとの連絡がスト仲間から入った。これには驚かされた。ただ、よく確認すると、広島の場合は警官がちょくちょく劇場に立ち寄っているらしく、とくに今回については5月20日付でもうすぐ閉館することもあり厳重注意扱いに留まった。そのためエロポラは取り止めになったらしい。せっかくの閉館記念興行にケチがついてしまったな。ストリップ・ファンとしては情けない話だ。
他の劇場の状況はどうか。
いち早く反応したのは大阪晃生ショー劇場。晃生では4/14の上野ショックを受け、翌日からすぐに過激なエロポラを禁止した。大阪遠征していたストリップ太郎はこれに驚いた。
もうすぐGW興行が始まる。当然に劇場側は客入りを期待している。しかしエロポラ無しとなると確実にポラ収入が減るので、劇場側としては痛いだろうな。
とくにオリンピックの影響で東京都所在の劇場が神経質になっている。渋谷道頓堀劇場もエロポラは中止した。これで東京都内でエロポラ撮影できる劇場はなくなった。
ロック系の新宿ニューアートでは東京オリンピックを見据え、既に昨年の第一回コロナ緊急事態宣言前後からエロポラを禁止している。他にも既にエロポラを禁止している劇場は、全国的に見てみると、大阪東洋ショー劇場や岐阜まさご座などもある。こうした劇場は事前に警察対応をしており、それでも客入りはいい。こうした状況を鑑みると、従来はストリップと言えばエロボラであったが、いずれエロボラはなくなる可能性があるな。
いずれにせよ、エロポラが無くなれば、劇場としてはポラ売り上げが減り収入減になることは確か。しかし、背に腹は代えられないということになるだろう。
コロナ禍の中、ストリップ業界は他の娯楽業・観光業と同じく、客入りが大きく減少している。経営的にかなり厳しくなっている。エロポラだけの問題ではない。
最初にギブアップ宣言を出したのが小倉A級劇場であった。2021年6月末で閉館すると発表。畳みかけるように、広島第一劇場が5月20日をもって閉館を発表。広島は営業的には好調だったものの、当初から都市再開発計画があり、その立ち退き時期が正式に決定されたわけだ。こうして西日本のストリップは壊滅状態になる。なお、直近情報によると、小倉A級については事業後継者が現れ閉館を取り止めることになったのは救いである。
さらに追い打ちをかけるように、4月25日(日)より5月11日までの二週間、東京都、大阪府、京都府、兵庫県の四都府県に限定して、第三回緊急事態宣言が出た。(後にこれは5月末まで延期となる。)
大阪に遠征していたストリップ太郎は慌てた。劇場の営業はどうなるか? 宿泊はどうなるか? 交通機関はどうなるか? これによりストリップ観劇に大きく影響する。DVD試写室も営業自粛の対象になっている。しかし、いつも定宿にしているDVD試写室は運よく営業していた。さらに、劇場は休業要請の対象から外れた。ただ、営業時間短縮、酒類の提供禁止、場内での食事禁止などが打ち出される。このくらいは我慢するしかないね。
どの劇場も高齢者や遠征客などを中心にして客足が激減している。
上野ショックと第三回緊急事態宣言のダブルパンチで、ストリップ業界は瀕死の状態となっている。
最後に、余談になるが、4月29日30日の二日間、池袋ミカド劇場に行ったときの様子を報告する。
この週は最後までパンツ興行だった。客入りが少ないかと心配されたが、GW初日ということもあり朝からほぼ満席だった。本来だったら、これだけいい香盤なら激混みなんだろうな。平日は客が少なかったこともあり、踊り子たちはこの客入りに喜んでいた。「パンツ興行でも、踊れるから嬉しい」と話している踊り子もいた。
パンツ興行とわかっているのに、これだけの人が劇場に集まっている事実。
私個人としては、パンツ興行だろうと普通の興行とそんなに違和感はない。おそらく、私と同様に、踊り子との触れ合い、ダンスパフォーマンスだけを求めて、みんな集まってきたのだ。我々のストリップ愛はそうした域に達している。
「性器の露出が問題だってー、何を言っているんだ、バカヤロー。それがなくったって我々のストリップ愛は負けないんだ!」そう叫びたくなった。
ただ、一般客は、やはりストリップといえば本来見られない陰部を見られると思ってやってくるのだろう。そうした人の客足が減ると劇場としては収益的に困る。そう思うと、パンツ興行ではなく、一刻も早く通常の興行に戻ってほしい気持ちでいっぱいになる。
つづく