彼女に出逢って数年が経ち、

恋人という存在に辿り着くことはないまま、

僕はいくつかの出逢いと別れを経験してきた。

同じように彼女もいくつかの出逢いと別れを経験してきた。


そんなお互いの経験の中で、

友達として、ひとりの異性として、いろんなことを語ってきた。

励まし。共感。戒め。

うれしい言葉も、時にきつい言葉も。


恋人のことをうれしそうに話す彼女。

けんかの愚痴をこぼしてる彼女。

泣いて電話をかけてきた彼女。

いろんな彼女を見守ってきた。


そうして過ごした数年間で、

友達としての、

そして友達以上の、

だけど恋人じゃない、

そんな関係を築いてきた。


少なからず彼女は友達以上の好意を持ってくれてると感じるし、

彼女も僕が時折みせる好意に気付いていることだろう。

でもふたりのタイミングが、なかなか彼女と僕を結び付けてくれない。

彼女が恋愛に夢中なとき、僕はひとり。

僕が恋愛に夢中なとき、彼女はひとり。

すれ違い。

「いつかは彼女と…」なんて漠然と考えてきたけど、

彼女と僕の恋愛は、きっとどちらかが一歩を踏み出さないと、

決して始まることのないものに思えてきた。


最高の友達だから居心地がよすぎて、

そして今の関係を少しでも壊してしまうのが怖くて、

これまでその一歩を踏み出せずにいた。

だけど何もしないままいつか後悔するようなことはしたくない。

だからその一歩を踏み出すのは僕。


彼女には今も恋人がいるけど、

僕はその一歩を踏み出すために恋人と別れ、

しばらく自分を見つめ直して気持ちを確かめる時間をつくってきた。

彼女に対する自分の揺るぎない愛情を確かに感じてる今、

僕は彼女のために、そしてふたりのために一歩を踏み出す。