「その4」より続き
問答続きで、一向に仕事が先に進まないのを見かねてか、遂に上司が口を挟んできた。
しかし、上司の主張もまた、先輩の主張と全くといってよいほど同じもので、僕は納得するどころか、ますます心配が募る始末に。
そして、なおも「これでは心配である」という僕に対し、
「理論的計算だけですべて設計できるわけではない」
「今までこれでやってきているのに、なぜわざわざ変える必要があるのか」
といった、いかにもな抽象的かつ一般論的な言葉で返され、僕はますます困惑。
(そのくらい、いくら僕でもわかっているつもりですが・・・)
挙句の果てに、
「それでは、僕は納得できません。」
と僕が言ったところ、上司から返ってきた言葉は
「君が納得するかしないかなんてことは、関係ないことだ」
という始末。
・・・。
正直、
「うちの部署は、この先もつのか?」
と、本気で思った。
結局のところ、
「黙って(こちらの)言う通りに図面を引いておけばいいんだよ。」
と言いたいわけである。
それでは、一体何のために決して安くはない給料を払って、僕らのような「技術者」を雇っているのであろうか。
単に図面を引くだけならば、技術者を雇わなくとも、「製図工」というのであろうか、図面を引く専門の方々がおられるのだから、そちらに頼めばよいのではないか。
そのほうが「言われたとおり」かつ「正確」で、何より「僕などに頼むより余程早く」図面が出来上がってくると思うのであるが。
僕がこのような発言をすると、
「そのような単純な考えではない」
「図面を引かせるのは、『新人技術者の教育』という意味合いも含んでいる」
といったお叱りを受けそうであるが、もちろん僕とて、そのぐらいのことは承知の上である。
というか、僕は、図面を引くことは嫌いではない。
むしろ「自分が設計したものは、自分で図面を引く」ものであると考えている。
ただしこれは「図面を引く専門の方々を信用していない」ということではないので、念のため。
僕が言いたいのは、
「設計にあたって、いたずらに『実績』『経験』ばかりを叫び、そしてその名の下にきちんとした検討を怠っているのではないか」
ということである。
(続く)