巡業公演ゲネに感動! | 森岡利行オフィシャルブログ「監督日誌」powered by Ameba

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脚本家
舞台演出家
映画監督
プロデューサー
文教大学情報学部メディア表現学科非常勤講師

“STRAYDOG”の若手、

亀田彩香と山田奈保が民話芸術座の巡業公演

『鬼の小づち』に参加する。

 

稽古場での公開ゲネ(リハーサル)を鑑賞させてもらった。

思えば、私が23、4歳の頃、1学期間だけ参加したことがあったが、

今回、初めてこの演目を見て感動した。

 

きっと出演者の力量もあるのだろうが、

民話芸術座の伊生を筆頭に“STRAYDOG”の二人、

そして私の演出する『アオイの花』に出演した松宮安里、

専門学校を出たばかりのスタニングマーケティングの若い男子の

6人がそこらの小劇場の芝居なんかふっとばすくらいの

エネルギーで演じていた。

 

 

 

彼らの力を引き出した代表で作・演出の小村さん(私の恩師)にも脱帽だが、

何十年も前からこの作品で「イジメ」を取り扱っていたとは……この作品は

大人も楽しめるエンターテェイメントになっている。

 

「やられたらやりかえす」

と以前視聴率のいいドラマでやっていたが、

それとは真逆で、「やられてもやりかえさない」がテーマになっている。

村民をイジメている男が鬼によって立場が逆転するのだが、

鬼は村民に「やりかえせ」とわざとけしかける。

最初はいい気味だと思っていた村民も、

やられている男を見て、自分のことのように感じ、

逆に男がなぜそんな人をいじめる人になったのか、

彼の本来持っている優しさを鬼に訴え、地獄に落ちそうになっている

男を助けるという話だ。

 

地獄の怪物である鬼が強く優しいヒーローとして描かれているのにも

吃驚だが、そこには容姿(角が生えている)だけで人を判断しては

いけないというメッセージも含まれているし、ダメな鬼の少年自身が、

人間世界を通して成長していく冒険譚にもなっているのだ。 

 

 

「やられたらやりかえす」から戦争になっちまうんだろう。

一番ダメなのは「イジメ」に気がついていて知らん顔している連中だ。

ワイドショーでは北朝鮮の核の話を面白おかしく流しているが、

そんなもん茶の間でおやつ食べながら聞く話ではないだろう。

 

民話芸術座は随時、出演者を募集しているようだから、

地方から出てきて養成所からバカ高いレッスン料をとられ、

家賃と携帯代の為に芝居も見に行かず、

バイトばかりやっている俳優、声優志望者は

是非、民話芸術座の門を叩いてくれ。

居酒屋やバーテンや派遣のバイト料で生活するより、プロの俳優として、

子供たちに良い芝居を見せてギャラを貰うっていうのも、

なかなかいいモンだぜ。