久々の新作、ご来場いただき。
ありがとうございました。
まだまだ頑張りますので
これからも"STRAYDOG"をよろしくお願い致します!
ついでに、観に来られなかったお客様に
パンフレットに寄せたコメントを掲載しておきます。
“STRAYDOG”20周年に寄せて。
1993年にバイト先の大学生に演出を頼まれた。その時に目についた映画のポスターが黒澤明監督の『野良犬』の海外バージョンで“STRAYDOG”だった。
一回こっきりの公演の予定だったが、いちおうその集団に名前をつけなくてはならなくて、適当に”STRAYDOG”でいいじゃん、みたいなことになった。そんな適当につけた名前がのちのち意味を持ってくるとは20年前にはこれっぽっちも想像できなかった。
“STRAYDOG”は野良犬の魂を持って20年も続いた。
5年前に制作部が若手俳優を数人引き連れてごっそり辞めてしまった。その時、頑張ってくれたのが中原、森田、重松、柴田をはじめとする俳優陣と当時のシードリング、堀之内、高橋、住吉、川村ら、新人の制作・中村裕美だった。引き継ぎもないまま、みんな、手探りで山本文緒原作『あなたには帰る家がある』を二週間上演し、ピンチを乗り切った。当時、テレビドラマで一緒だった塚本高史くんや元モーニング娘の中澤裕子さんが観に来てくれて、次の年の公演には中澤さんが“STRAYDOG”の舞台に出演してくれた。
その後、昨年は映画も制作し、今年はいつもうちの舞台美術を担当している加藤ちかの力添えもあり、演劇の殿堂・紀伊國屋ホールで公演を行うことが出来た。ひとえに周りの力添えや“STRAYDOG”のスタッフ、出演していなくても手伝いにくるメンバーのおかげである。
今回そんなメンバーに喜んでもらおうという願いで新作を書いた。もう新作は7年前の『母の桜が散った夜』以降書いていない。書いていても原作ありきのモノだった。中村には「オリジナルの新作がないと20周年の意味がない」とまで言われた。みんなが鶴首しているのはわかっているつもりだが、舞台の新作を書くほど、私にとって辛いものはない。なぜなら、私の本職は劇作家ではなく、シナリオライターなのだ。舞台は唐十郎、つかこうへい、錚々たる劇作家の作品を観てきているから、それを超えようという恐れ多い考えはないし、そんな凄い人たちの足元にも及ばないことはわかっているつもりだ。だから今回は今まで頑張ってくれたメンバーへのラブレターのつもりで書いた。彼らが観たことのない昔の“STRAYDOG”の作品を織り交ぜながら、楽しんでもらおうと思って書いた。
かつて私のいた劇団のキャッチフレーズを使わせてもらうが、“過去はいつも新しく、未来は不思議に懐かしい”……今、そんな言葉が、『閨房のアライグマ』には合うのではないだろうか。
20年を経た“STRAYDOG”のバカ騒ぎを、新しいお客さんも、古いお客さんも、そして劇団を支えてきたスタッフ、キャストにも楽しんで貰えたら、最高に幸福だ。
11月6日 稽古場にて。
森岡利行