『ゴジラ』の稽古 | 森岡利行オフィシャルブログ「監督日誌」powered by Ameba

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脚本家
舞台演出家
映画監督
プロデューサー
文教大学情報学部メディア表現学科非常勤講師

セリフもちゃんと言える。

感情もちゃんと出せる。



けど、ナニかが足りない。

そいつ自身が面白くないのだ。



セリフを面白がっていないのだ。

だから面白くなりようがない。



もっと言えば、面白いことを経験してないような。



映画の撮影で合宿していたシードの女子に

「映画の打ち上げ参加していいよ」と言ったところ、

「親が心配しているので帰ります」と、途中で帰ってしまった。



そいつは面白くない。

「映画の打ち上げ」という面白い経験が出来なかった。



その夜、主役がにゃんまげメイクをして走りまわり、

助監督は(なんのバツだかわからないが)

うちの制作のNに体中の毛を全部剃られてしまった(笑)。



映画の撮影で良い役についたシードの男子に

「スタッフと一緒に泊まっていいよ」と言ったところ、

「携帯の充電を家に忘れてしまったので」と、帰ろうとした。

「バカヤロウ、早く帰ってかーちゃんと乳でも吸ってろ!」

と怒ったところ、そいつは意を決して、残ることにし、

みんなとバイキングに行き、温泉に行き、

ふつうなら経験出来ない楽しい夜を過ごした。



芝居はセリフを言えばいいだけではない。

役を演じればいいだけではない。



シードの男子に「何年かぶりに“STRAYDOG”で海旅行へ行きます」

とスタッフがコールしたところ、「お金がないので行けません」

と言った奴がいた。



金がないなら、芝居なんかやめろ。

金がなくても、やるのが芝居なのだ。

金がなかったら「どうすればいいのか」と考えるのが芝居なのだ。



私の尊敬する俳優の故・金子正次さんは映画に出たかったが、

誰も使ってくれなかった。



なんとか売れたいと考えた金子さんは

自分でシナリオを書き、お金を集め、

自分が主役の映画を作ってしまった。




「ないなら、作ってしまえばいい」



吐き出せ。



全て吐き出せ。



芝居で人生を吐き出せ。



これが私の座右の銘だ。







左1,2、右1,5。



これが私の左右の目だ(笑)。










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