無線機TS-450Sの故障対応、庭仕事などで長い間中断していた1626 シングルアンプの製作を再開することにしました。

 3極管アンプ3部作も最終の製作となり、使う真空管の年代も一番新しいものになってきてやや緊張感が薄れたこともあってだいぶ間をあけてしまいました。

 1626(VT-137)は米軍無線機の送信機に使われていたもののようで、いままでのような直熱フィラメントでなく傍熱ヒーターなので電源部が少し楽かなと油断したこともありますが。

 

 約4ヶ月空いてしまったのですが、この間もちょこちょことですが作業していたものをまず記録します。

 

1. シャーシー内の配線一応終了

 写真のシャーシーの下部が空いてますが、ここはシャーシーの上に出力トランスがあってラグ板などの部品が取り付けられないためです。右下の電源部などは狭いところに窮屈に押し込められています。

 

2.シャーシー上面の配線一応終了

 出力トランス関係の配線

 

3.電源ケーブル、スピーカーケーブルの作成

 スピーカーの出力端子は軍型ターミナルを使うことにしてましたが、このアンプでは背面パネルに余積がなかったので、金属コネクタを使ってしまいました。スピーカー配線のバナナプラグを挿せるようコネクタケーブルの他端にSP端子を付けました。

 

 さて今回製作再開ということで、配線チェックと試験を始めましたが、中古部品と中古真空管を使っているので試験開始時はやはり緊張します。失敗して部品、真空管を壊すと後がないので。

 

4.試験開始

 定石どおり、真空管を挿さずに電圧をチェックしたあと音源とスピーカーもつないで音出しをしたら、真空管のヒーターのがついて普通の音が出て一安心。

 試験風景

 

5.問題2点発生

 やれ一安心と、音量ボリュームを回したりよく調べると、右チャンネルの音が出ていないし、音量ボリュームも一番左に回した時だけ音が出ます。音量ボリュームの配線は、最初間違えた配線をしてやり直し配線をしているので誤配線のはずはないのに。 また右左チャンネルともに同じ配線をしているはずなのに右だけ出ないとは。

 なんかアンプ入り口でトラブルになることが多いな(104Dアンプでは入力トランスで苦労した)と電源を切って入力ボリューム周辺の抵抗値などをチェックしてみるとどうも音量ボリュームが怪しい。

 結論は、入力部の100kΩ 2連ボリュームの不良がトラブルの原因のようで、ありあわせのの50kΩ 2連ボリュームに交換して問題なくなりました。

 

 入力RCA端子と100kΩ ボリュームをはずして、別の50kΩ ボリュームにつなぎ変えて試験して問題解決を確認

 

正面パネルの手前に置いてあるのが、問題となった音量ボリューム

 

 原因になったボリュームは、実は珍しく新品が2つもあった片方です。メーカーがCosmosだし新品だったので個別テストしてませんでした。中古部品ばかり使うので抵抗、コンデンサー、配線に至るまで事前チェックするのですが。きっとメーカーが試験して不良品として廃棄したものが市場に流れたものだと思います。昔のことなので覚えていませんがたぶん非常な安値だったので買ってしまったものだと思います。

 

 

 音量ボリューム交換後のシャーシー裏

 

 シャーシー上部

 

6.電圧測定と配線図へのフィードバック

 周波数特性の測定などは、104Dアンプ、46アンプなどとあわせて別途行う予定なので、とりあえず運用状態での電圧測定を行いました。

 結果は、B+高圧が高すぎるということがわかりました。1626のプレート電圧が、280Vくらいが適当なのに322Vもかかっています。セルフバイアスなのでカソード電圧からプレート電流も計算できますが、左1626は26mA、右1626には23mAも流れており18mA予定値をかなりオーバーしています。

 このままでは1626真空管に無理がかかりすぎるのでなるべく早く電源部の平滑抵抗を増やすことをしないといけません。今、平滑抵抗1KΩの電圧降下が35~38Vくらいなのであと1KΩ程度増やしてプレート電圧を40Vくらい下げる(322V-40=282V)必要があります。実際には2kΩ追加を予定しています。平滑抵抗の電圧降下から計算すると、12AX7を含めた全体のB電流値が40mA程度となり計算が合いませんが、抵抗値と電圧測定誤差があるので安全側を採用して2KΩにしようと思います。部品箱をひっくり返して探してもなければ購入するよりありませんが。また、平滑コンデンサの耐圧が350WVであることも心配の種です。平滑回路初段に入る手前に2KΩを入れるか、初段の平滑コンデンサを耐圧の高いものに入れ替えるかどちらかですが、電源部付近は手狭なのでよく考えます。

 

 出来るだけあるもので間に合わせる製作なので、当初予定の回路図と実装した回路定数は変わってしまっている部分も多いので、電圧測定値を含めて配線図へのフィードバックをしました。

 

 アンプ部

 

 電源部と電圧測定値

 

7.ケースに収めた状態の確認

 B+電圧が高すぎるので、対策するまでエージングはお預けですが、ケースにうまく入るかどうかだけ確認しました。ケースは真空管式オシロスコープのものの流用ですが、増設した放熱孔ではまだ足りないような気がします。思ったより1626真空管の発熱が大きいので様子を見て真空管側の上部だけでなくトランス側上部にも放熱孔をあけます。

 真空管の状態を見るための正面の開口部からの放熱をかなり期待していたのですがあまり効かないみたいですし。

 

 正面側

 背面側

 

 3作とも12AX7(12AT7)パラ→出力3極管という非常に似た構成ですが、苦労したところがそれぞれ違います。出てきた音としてはあまり違いが無いように思えますが、とにかく昔懐かしい音が聞けたのではないかと思っています。アンプの違いよりスピーカーの違いの方が大きいかなというのが実感です。

 今後の周波数特性測定が楽しみです。数十年前に購入したものですが71Aモノラルアンプも出力が3極管ですのでこれも併せて測定しようと思っています。