天然素材コンシェルジュ 山納敏之のコラム「民家は自然と人間との接点」

9. 人と家の健康

今は美味しいものがいつでも食べられる豊かな時代になりました。しかし若い時に贅沢をし、味にうるさい人々はいくら不景気になっても妥協できません。もっと美味しいものを求めるのです。旬な時に旬な野菜は美味しいだけでなく安いです。さらに自分で育てた無農薬の野菜だったら安心して美味しく食べられるのです。
村づくりワークショップに来る若者達が、コンビニエンスストアーやスーパーに行けばいくらでも美味しいものが売っているのに、わざわざ不便な山奥にくるのはなぜか。理由は、自然と人間が共存する場所で幸せを見出してしまったからなのです。人によって感動する理由は違うにせよ、無機質な都会で歴史の中に埋もれ失ってしまったものを、再び呼び戻せるのは、古民家や自然なのです。仕事をして帰ってきて化学製品に囲まれた箱に寝る。それを毎日繰り返す。便利だけれども単調です。今こだわりの人が求めているのは、毎日の景色の移り変わりが家の中にいてもわかるようなライフスタイル。それは古民家に住まなくても、古民家から学べば創り出せます。歴史のある古民家とは、今から新築しても200年後には五感に響く古民家になるのです。大切なのは、自然と共存するためには、自然素材の中で暮らしていくという事です。自然素材の家は、人間と一緒に呼吸しながら生きていきます。そして、家族とともに年をとっていきます。
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自然農コシヒカリのおにぎり
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壁の無い昔の家。向こうの景色が見えています。
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石油やガスや電気に依存しない薪の生活
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屋根裏部屋
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8. 昔の家と食物の関係

自然素材の土壁・漆喰・無垢の木材で造られた家は、夏は涼しく冬は暖かい。アトピーなどのアレルギーの心配もありません。最先端技術の新築より古民家のほうが快適で健康に生きていけるとは皮肉なものです。しかし、古民家にも大きな弱点があります。それは、呼吸をしながら生きているので、人間が住まないと空気の循環が悪くなり、たちまち柱が腐ったり土壁がカビたりしてしまいます。生きている民家は人間の手入れが必要なのです。

古民家では、朝は雨戸を開け、季節の移り変わりを家の中で感じ、夏の野菜を夏に食べ、冬の野菜を冬に食べ、食物を保存するにも、味噌を作るのにも、その時期というものが大きく影響しました。ですから、電気もない時代に、高気密工断熱の家では、食生活すらうまくいかなかったはずです。逆を反せば、本当に美味しい旬のものを食べるのに最高の空間でもあるわけです。旬のものを旬な時に食べ、美味しく食べる知恵もたくさんあるのです。そして、それは我々日本人のひとつひとつの細胞の遺伝子に組み込まれているのです。季節によって美味しく感じる旬の野菜や果物。それはビタミンミネラルの栄養だけではなく、冬の野菜を冬に食べると体が温まり、夏の野菜を夏食べると体を冷やしてくれる効果があります。体が必要としている時に美味しく感じるように出来ているのです。
最近の子供達は、生まれた時から何でもスーパーに行けば売っているので、どれが夏野菜でどれが冬野菜かさえわからない子が増えています。化学肥料と人工的に作った季節のビニールハウスの中で育った栄養の少ない野菜を食べて、人工的に作られたサプリメントを飲んでいます。確かに昔に比べると発育がよく身体も大きくなって来ていますが、すぐに風邪をひいたり、アレルギーを持っている人が増えています。$ネイチャーワーシップのブログ

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7. 新建材で包まれた家


現代の家屋は、雨風が凌げて、暑いとき涼しく寒いとき暖かく、快適に寝泊りできる箱なら良いのです。壊れたら業者に頼んで直せばいい。家のことなど何の心配もせずに生活していられます。しかし年月を重ねるごとにどんどん老朽化していき、皮肉にも自分では手入れすらも出来ない状況です。
夏涼しくて冬あたたかい高機密高断熱住宅。省エネで快適。この言葉にはとても矛盾があります。
高機密だから夏の冷房を逃がさず、冬の暖房を逃がさない。しかし、それによって24時間換気しなくてはならない法律ができました。なぜか?もし人体に有害な物質が発生したら高機密だから抜けません。ホルムアルデヒドという化学物質の発生度合いを基準にした☆☆☆☆マーク。建築方法の発展に伴い、新たな法律を作り、確認申請という家を建てる際に国に許可をもらう届け出書類もどんどん増えていきます。そして申請がすんなり通った家が、いい家という常識。はたして本当にいい家なのでしょうか?
そもそも☆☆☆☆マークがついているということは、「化学物質が含まれてますよ」という証拠です。化学物質過敏症の人にとっては猛毒です。本当の自然素材には「☆☆☆☆規制対象外」と記載されています。例えば100%の土。無垢の木。接着剤の入っていない本物のしっくい。かき渋。アマニ油等どれも古民家で昔から使われていた安全な建築材料です。
最近では、シックハウス症候群・化学物質過敏症・アトピー・肩こりさえも住宅建材の化学物質が原因だという研究も発表されています。また、珪藻土も、焼いて漂白したものは「高結晶シリカ」といわれる発がん性物質に変わってしまっているので健康素材ではないという研究も発表されています。いったい何が健康素材で何が健康素材ではないか、何を頼りに選んでいいのかわからない状況です。
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6. 自然の中で育む人の知恵

200年以上前の古民家の改修は大変勉強になります。思わぬところに昔の人の知恵が隠されています。現地にもともとあるもので、現地の職人達が極めぬいた技を使い、その中で出来る限りの試行錯誤を繰り返して作られていたことがわかります。接着剤の代わりに膠やご飯粒、木にはニスを塗る代わりに、エゴマから採った油に唐辛子を入れて煮たもので磨いてあります。ガスコンロの代わりに漆喰で磨いたかまど。柱は埋め木や根継ぎをし、梁は曲がりを生かしたまま組んであります。それらの技と工夫は、何度も失敗を繰り返し、先祖の知恵をもらいながら出来上がる、歴史が作った物です。そして、気品あふれる落ち着いた高級感は、芸術ともいえるレベルです。とても現代の工場で大量生産される石油製品では作れる代物ではありません。木・土・石・植物など、当然全て自然素材で出来ています。
一歩玄関をくぐって土間に足を踏み入れると、土と木の入り混じった神聖な空気、窓外の緑へと誘う佇まい、日の光が創り出す壁の表情が、まるで時間を止めてしまうような落ち着きで包み込んできます。この感覚は、ヨーロッパの古い教会で感じたものと同じです。自然の素材で作った建物、それに付け加え、人が手入れをしながら年月を重ねて出来た風格。そしてこれからも、美しく頼もしくなっていく。家全体が生きているのです。
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5. 本当にいいもの

今ワークショップを開催すると、第二次ベビーブーム層が非常に多いということがなぜなのか。都会の雑踏の中から電車でわざわざ重労働をしにきて、泥んこになって帰る若者達。参加者と話をしているうちに、ひとつ大事なことに気が付きました。私もベビーブーム世代の一人なのですが、我々の育った時代というのは、幼稚園で「前へならい!」。小学校で「周りの人たちと同じようにしなさい」。中学高校で「良い偏差値をとって良い大学へ行って良いサラリーマンになれば幸せになれる」。と習いました。しかし、蓋を開けてみると就職難にリストラ、人と違った才能をもっていないと認められないという現実が待ち受けていました。また、バブルの時代に何でも手に入る状況だったので、今思えばある程度の贅沢ができて、美味しいものも食べられたし、好きなものも手に入れることが出来ました。それが突然不景気だといわれても、ある程度良い思いをして過ごして来たので、良い物を知ってしまっているのです。だからどんなに不景気になっても、妥協は出来ないところがあるのです。それが、一般的に「こだわり」といわれるものです。昔はあまりいわれることが無かった言葉が、時代の景気と反比例するかの様に人々が口にするようになってきました。
そのこだわりを持ったベビーブーム層が、今注目しているものといえば、古着・アンティーク・骨董・古材・古い車・本物志向・天然素材です。いい物を知っている世代が、たくさんの情報の中から選りすぐった物、それは全て、昔の職人の心意気が感じられるものや、地球にもともとあるものばかりなのです。バブル時代に贅沢をして色々な物を見てきた目はごまかせません。もはや張りぼての偽物や味わいの無いものには魅力を感じていないのです。新建材の無機質なビルやマンションから抜け出し、山や川がある自然の中にそれを見出しているのです。それはとてもいい兆候だと言えるでしょう。忘れ去られようとしていたこだわりの職人技や伝統が、本当にすばらしいものだと、これからの時代を背負っていく人達が気づいたということです。
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