天然素材コンシェルジュ 山納敏之のコラム「民家は自然と人間との接点」

4. 人と家の健康

もし日本でこれから建つ家が天然素材でできていたら?ビニールクロスの代わりに土壁だったら?木目印刷のフローリングの代わりに無垢材だったら?サイディングの代わりに漆喰壁だったら?アクリルやウレタン塗装がオイルや蜜蝋だったら?手入れをしながら味わいを増し、家族とともに年をとっていく美しい家になっていくでしょう。そして、孫や曾孫の代まで大事に使われていくはずです。その一家、一族が、健康でなおかつお金も残せるようになるはずです。そして将来、日本の町並みも風情のある美しい景観が出来、住宅街が観光地になるかもしれません。
なにも新建材を批判するわけではありません。新建材はたしかに施工性に優れ、誰が作っても同じ仕上がりにできることを追求した日本の技術の賜物です。たとえ大工さんがちがっても、そっくりな住宅をたくさん作れます。あまり修行を積まなくても、ある程度の経験を積めば簡単に家を建てられるということです。
しかし、逆を反せば、職人の心意気、日本の伝統、生活の知恵、これら三つの大切なものが失われようとしているのです。なぜこうなったのか?それは必要がなくなったからです。現在の情報があふれる日本には、無くても生きていけるし何の不都合もありません。ですから当然の如く、職人になる若者が激減しています。これから10年後20年後にはどんどん減っていき、必要になったときには誰もいない状態になってしまうでしょう。ネイチャーワーシップのブログ
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3. 日本の建築材料

 日本の建築材料は、世界でもトップクラスの技術でたくさんのメーカーが激戦を繰り返しています。おかげでデザインだけでなく、施工性も大変優れています。しかしながら、そのほとんどが合成樹脂などの石油製品から作られているために、新しい時はとてもきれいなのですが、紫外線や雨風に弱く、作ったその日から劣化が始まります。昭和50年代からバブル最盛期に建てられた多くの家の寿命は25年から30年といわれています。人間の寿命は延びているというのにこれでは、住宅ローンが終わると同時かその前には、家の寿命は尽きてしまいます。現代の日本では、親が買ったり建てたりした家に、次の世代や三代目がそのまま住むことはほとんど無く、その子供たちがまた住宅ローンに悩まされています。しかもビニールに包まれた接着剤で固められた家では、家の寿命ばかりか、住む人の健康まで損なわれているのが現状です。
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壊れた御堂作り
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昔の職人さんの技を絶やしてはならない
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電動工具ではなく手作業で作ります
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2. 色褪せていく日本の家屋
 
長年空間デザインを学ぶために世界各国を旅してきた私は、ある時、建築物だけではなく、そこに昔から住んでいる人々の文化を知ることが一番の近道だということに気づきました。
奈良や京都にあるお寺や神社、イギリスの教会、ドイツの商店街、南フランスの市場、ギリシャの真っ白な町並み、サンタフェの土の家。何百年も昔に現地の人々が、そこにある材料で工夫して作った建物や道路が、未だに生活に使われています。それが年代を経て、新築の時よりもさらに深みや味わい、高級感が出てきて、しまいには観光名所になっていたりします。古くからのヨーロッパの町並みは、観光地でもない普通の住宅街でただ写真を撮っただけで絵葉書になるようなすばらしい景色が広がっています。それらはなにも、カタログから素敵な素材を選んで取り寄せて作ったわけではなく、現地にあった材料を、現地の人が創意工夫をして作っていただけなのです。
残念ながら日本でもそういう古い町並みは少しだけ残っていますが、ほとんどがなくなってしまいました。
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1. 山奥に集う若者達

 栃木の森林と川に囲まれた山奥に作ったネイチャーワーシップ。衣・食・住、全てを天然素材・やがては土に返っていく素材で創り出す事を目的とし、ワークショップを開催しながら小さな村づくりをしていました。
 これまで、無農薬の畑を作ったり、間伐材で古民家の改修をしたり、竹小舞で納屋を作ったり、土壁作り、漆喰塗りなど、様々なワークショップを開催してきましたが、参加する方は20代後半から50代までの男女半々位の比率です。中でも圧倒的に多いのは30代です。バブルの時代に贅沢な学生時代を過ごしてきたベビーブーム層が、コンビニも無い不便な山奥になぜこんなに集まるのか不思議でした。
 参加の目的はたくさんありますが、無農薬の美味しい野菜を食べたい、自然の中でリラックスしたい、土壁を塗りたい、古民家の伝統建築を学びたい、アウトドア料理を覚えたい、家族にアレルギーを持つ人がいるから自然素材でリフォームしたい、店を出すので塗り壁を覚えたい、土いじりがしたい、等が主に挙げられます。最初は農業や食べ物が目的で来ていた人が、自分で家を作りたい、自分の店を持ちたい、といい始め、真剣に自然素材の家作りを学びに来ている方もたくさんいます。それとは逆に農業に目覚める人もたくさんいます。中には近くに引っ越してきた人もいます。大勢の人達が集まって物作りをするのは大変楽しく、逆にこちらが勉強させられることも多々あります。ネイチャーワーシップのブログ-自休自足に掲載された写真