曜日の漢字について | ボラとも先生のブログ

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このブログは日本語ボランティアを始めた人、やっている人が疑問に感じたこと(特に文法など)について説明するために作りました。

ボラQ33:曜日の漢字を教えたときに、「曜」が複雑である上に「日曜日」などは「曜」の前に「日」があるため、学習者はいつも「曜」の「日」偏を抜かして「日翟日」と書いてしまいます。なにか効果的な教え方はありませんか。




ボラとも先生A33:漢字の覚え方と教え方ですが、できるだけ目・手・頭・耳・口を使って覚える(覚えさせる)ことが重要です。「目」はもちろんよく(注意深く)見ることで、「手」は何度もきれいに(正しく)書くこと、「頭」は(特に覚えにくい・間違いやすい漢字の)ポイントを押さえること、「耳」と「口」は何度も繰り返し発音し、聞くことです。これらは言葉を覚えるときの基本的な方法ですが、漢字の場合は特に「目」と「手」と「頭」が効果を発揮します。ここでは「頭」の一方法として語源(字源)について説明したいと思います。



「曜」は成り立ちとしては「形声文字」です。形声文字というのは、意味を表す「意符」と発音を表す「音符」から成り立っています。「曜」の意符は「日」で、太陽または天体や時間に関するものを表します。また、「曜」の音符は「翟」で、「ヨウ」という発音を表します(「耀」も「ヨウ」)。さらに、「翟」は「羽」と「隹」の合成文字ですが、これは形声文字ではなく、「会意文字」です。会意文字というのは、「好」(=女+子)のように構成要素の意味を合成してできた漢字のことです。会意文字には音符はなく、意符だけで構成されています。



さて、「曜日」は「七曜の日」という意味ですが、「曜」の「翟」は「羽」を広げた「隹」(=鳥)で、きれいな羽の鳥(雉)のことです。そこから「輝く」という意味になり、「曜」が「輝く天体」という意味であることから、太陽と月と明るい惑星(火星・水星・木星・金星・土星)を指すことになり、その7つの天体を「七曜星」と呼び、それぞれの天体が守護する日を「曜日」と呼ぶようになりました。



以上の説明は全部する必要はありませんが、簡単に話してあげれば話題が広がり、「羽」と「鳥」(「隹」は「鳥」の別形)で羽のきれいなキジ(または孔雀)などの話、さらには惑星の名前が曜日の名前と同じであることも、英語などその他の言語と比較してみると共通点が見つかるかもしれませんので、おもしろいと思います。



次に曜日名の漢字ですが、以下に少し字源を含めて漢字の特徴について述べたいと思います。



①「日」は太陽の形です。もちろん、太陽の形はマル「○」であり、シカク「口」ではありませんが、漢字には○という字形は基本的にないので(最近では数字のゼロとして○が使われていますが)、代わりに□を使います。顔にある「口(くち)」も形としてはマルに近いと思いますが、シカク「口」を使います。

では、「日」の中の線「一」は何を意味しているかというと、『常用字解』(白川静)の説明では「中がからっぽの丸い輪ではなく、中身があることを示すため」となっています。



②「月」は三日月の形です。4画目の「-」は三日月の下方の輪郭ですが、その上の3画目の「-」も「日」の「一」と同じように中身を示す印です。



③「火」は燃え上がる炎です。前掲書『常用字解』(白川静)には甲骨文字も載っているので、それを見ると子供の絵のようで楽しいと思います。



④「水」は流れている水の形です。「川」が三筋の流れなのに対して、「水」は真ん中に大きな流れがあって、左右に小さな流れがある形です。「火」と「水」は特に筆順に注意が必要です。



⑤「木」は木の形ですが、立ち木ではなく、切り倒された木材としての木です。土から生えている木は「樹」で、太鼓(壴)を打ち鳴らす植樹の儀礼を表しているのだそうです。「木」の根元の部分が「本」、木の上部の末端を「末」と言います。



⑥「金」は金属を溶かして成形する鋳型の形です。上部の「𠆢」はふた、左右の2つの点は溶けた金属が飛び散っている形です。



⑦「土」は土地の神をまつる塚(土を盛りあげた場所)の形です。この「土」の左側に、祭壇の上にお供えを置いた形「示」を付け加えたのが「社」で、土地の神をまつる神社(やしろ)を表します。