こうして私は、中央官庁を去る決断をしたわけですが、同様に転職等の理由で官庁を去る官僚はどの程度いるのでしょうか。興味のある方もいらっしゃるかと思います。そこで、官僚の離職率について、若干の統計データも交えながら紹介します。
まず、官僚(=国家Ⅰ種試験に合格した国家公務員)だけに絞った離職率の統計はありません。ただし、国家公務員全体であれば、人事院が毎年作成・公表している「公務員白書」のデータから計算することができます。その数字を見てみましょう。
公務員白書
http://ssl.jinji.go.jp/hakusho/
平成20年度の一般的な国家公務員(行政職(一))の在職者数、離職者数、またそれらから計算した離職率は、若年層(20~34歳)では以下の通りとなっています。
在職者数:44,994人
辞職者数:2,515人
→ 辞職率:5.6%
この数字をみて、みなさんどう思われるでしょうか。
私は、意外と高いと感じています。というのも、毎年の辞職率が5%と言うことは、大雑把に計算すると、就職して3年後には約15%が、5年後には約25%(4分の1)が辞職するという計算になるからです(寿退社など転職以外を理由とする辞職が含まれる点には留意が必要ですが)。
一方で、この数字は、民間企業に比べると離職率が低いことをも示しています。数年前に「若者はなぜ3年で辞めるのか」という本が流行りましたが、最近では、民間企業に新卒で入った社員は3年間で3分の1が辞めると言われています。上記の計算結果を適用すると、新卒で入った国家公務員は3年間で15%程度辞めていると推定されるため、民間企業に比べると離職率は半分程度と言えそうです。
ちなみに、この辞職率は過去と比べて上昇しているのでしょうか。公務員白書をさかのぼり5年前の平成15年度の離職率を計算してみると以下の通りです(同じく20~34歳に限定したデータです)。
在職者数:74,232人
辞職者数:1,582人
→ 辞職率:2.1%
なんと、若手の辞職率はここ5年間で倍以上に上昇しているのです。この結果は驚きです。
国家公務員には安定性が高い、給与もそこそこいい、世間体がいい(?)というメリットがあるものの、このところの公務員バッシングなどを受けて公務員の魅力が失われつつあることを示唆しているように思われます。
次回は、官僚に絞った辞職率を、私の知りうる範囲でご紹介します。