今日は町田そのこさんの書籍を紹介しますね。
このブログでは、『ぎょらん』や『コンビニ兄弟』を記事にしました。
『ぎょらん』がそうだったのだけど、この本も読んだ後、何とも言えない気持ちになってしまうんですよ。
素晴らしい本とは思いますが、自分が見たくない、経験もしたくない世界が描かれるものだから、そこで次の作品に手が伸びないのかもしれないです、はい。
映画化もされるような彼女の主流作品はあまり手をつけておらず、だれかのお勧めで軽く読む感じですね。
町田そのこ
ドヴォルザークに染まるころ
画像はお借りしました。
光文社サイトからあらすじを引用します。
小学生のとき、担任の先生と町の外からやって来た男が駆け落ちしたのを忘れられない主婦。
東京 でバツイチ子持ちの恋人との関係に寂しさを覚える看護師。
認知症の義母に夫とのセックスレスの悩みを打ち明ける管理栄養士。
父と離婚した母が迎えに来て、まもなく転校することに なる小六の女の子。
発達障害のある娘を一人で育てるシングルマザー。
遠き山に日は落ちて――
小さな町で、それぞれの人生を自分らしく懸命に生きる女性たちを描いた感動作。
本当に地方の小さな町のお話。
町民の誰もが通った小学校が廃校になることもあり、このコミュニティの親たちがPTAとして学校での秋祭りの準備をしています。
小さな町なので、皆が皆をよく知っています。
この本では、三世代それぞれの登場人物がこの小さな町で様々なことで心を痛めたり、悩んだり、憤ったりしているの。
つまり、閉ざされた空間とその空間の中で育まれてきたこの町の「常識」。
外に対する関心のなさ。
そして自分たちと同じ感覚でないことに寛容ではなく、多様性と聞いても「はぁ、なにそれ?」で済まされてしまう社会なのです。
そりゃ、息が詰まるよね。
おそらくこの町って九州あたりの気がするのだけど、まるで男尊女卑が今も横行しています。
祖父母世代は、やはり男を立てて、自分たちは一歩下がってが当たり前の時代。
担任の先生が若い女性だと頼りないと本人に言ってしまうようなメタ認知の低い人間さえいるの。
それを自分たちの子供世代にも求めるものだから、年齢でいうと30~40歳代後半の母親たちはもやもやしているのよね。
ですが、中心となるのは、子供たちがこの小学校に通う親世代でしょうか。
この町から一度も出ずに幼馴染と結婚し、親とも同居して裕福な生活を送る者。しかし、夫がこれまたこの小学校出身の女性と浮気していて、それに心を痛めているの。
一度は都会に行ったものの、事情があってUターンした者。
あるいは子供の喘息のため、夫の出身地であるこの町に家族で移り住んだものの、この田舎さにほとほと嫌気がさしている者。
こんな親たちが秋祭りのためにカレーを一緒に作っているの。
決して一枚岩ではなく、この中にお互いがお互いに対して敵対心を持っていたりするのね。
でも、今日にいたるまでの各登場人物のヒストリーがオムニバス形式で綴られます。
一番ショッキングなエピソードは、この町から一度も出たことがなく、皆からは幸せな結婚を送っているおっとりした生活の類さん。
彼女が小学生のとき。
クラスのみんなからも愛されていた担任の先生(若い女性)がなんとこの時期にたまたま町に来て、小学校にも出入りしていた画家の男と駆け落ちをしたのです。
ですが、その類こそ、なんと教室内での彼らの行為をたまたま観てしまったの。ちょうど初潮を迎えた時期でもあり、その行為中の彼らとも目が合い、言葉を失いつつも、ある想いを抱いてしまったことが彼女のトラウマでもあるのです。
たまたま同級生の男の子も同じ現場を目撃し、類を自分の家に連れていき、看護婦をしている母に出血の対処をしてもらうという、かなり生々しいなぁ、と。
オムニバスでは、それぞれ最終的に折り合いがつきます。
下校の際の「ドヴォルザーク」の曲が頭に流れながら、山あいの夕日の美しさも目に浮かぶけれど、やはりどうしてもこの小さな閉ざされた世界の雰囲気が最後まで好きになれなかったです。
作品そのものは素晴らしいですよ!
架空の町にこれだけ「嫌だなぁ」って思わせるほどですから(^^♪
