この本との出会いは、大学で教えている学生のレポートでした。
通訳の授業を持っているのですが、仕事の準備や実際の訳出の際に骨子を正しく、そして時間をかけずに理解するために読書レポートの提出を月1ぐらいで行っています。
日本語の書籍は月1、洋書は四半期に1本という具合のアサイメントです。
学生たちのレポートが本当に楽しみなの
読書家の学生の中には1か月に数冊分のレポートを出す子もいれば、別の授業のアサイメントで読んだ本をサラッとレポートにする子もいて…。まぁ、優先順位も人それぞれ異なるでしょうし、興味の分野も異なりますもの。
一人一人の学生たちを思い出しながら、彼女たちのレポートを楽しんでます。
その作品とはこちら
朝倉秋成
六人の嘘つきな大学生
画像はお借りしました。
角川から公式サイトもあります。
ご関心のある方はこちらにどうぞ。
さて、1年前の学生が出したレポートで、俄然興味を持ったのでした。早速、図書館で予約
1年程度待ったことになりますね~。
昨日、ようやく手元に届きました。
2022年の本屋大賞にもノミネートされたのですね。知らんかった。
そのサイトからあらすじは引用します。
成長著しいIT企業「スピラリンクス」が初めて行う新卒採用。
最終選考に残った六人の就活生に与えられた課題は、一カ月後までにチームを作り上げ、ディスカッションをするというものだった。全員で内定を得るため、波多野祥吾は五人の学生と交流を深めていくが、本番直前に課題の変更が通達される。
それは、「六人の中から一人の内定者を決める」こと。
仲間だったはずの六人は、ひとつの席を奪い合うライバルになった。
内定を賭けた議論が進む中、六通の封筒が発見される。
個人名が書かれた封筒を空けると「●●は人殺し」だという告発文が入っていた。彼ら六人の嘘と罪とは。そして「犯人」の目的とは――。
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就職活動って、私にとって遥か昔過ぎてあまり覚えておりません
しかも、カナダ遊学から帰ってきたばかりで、就職活動そのものの開始が他の学生たちよりもかなり遅れていたから、最初は手探りでした。
リクルートスーツも判で押したようなスタイル、色がどうしても嫌で、春らしい桜色のスーツを着用して、めちゃくちゃ目立ったことも今は良い思い出
5月には内定をもらったので、夏用のスーツを購入せずに済みましたが、なんだかんだで忙しかったのは覚えています。
今でも就活のシーズンになると、未だにリクルートスーツに身を包んだ若者たちを街中でよく見かけますね。
心の中でガンバレ~と応援しているけれど。
さて、超新星的なIT企業の最終審査まで残った6人。
それぞれ個性豊かで強みも弱みも異なりますが、最初は会社から与えられた課題をチームで取り組む!!ことが最終審査のはずだったのに、途中から内定者は一人だけ~、入社するに値する人物を自分たちで選べということに。
それまでよいチームを作っていたと思っていたのに、面接当日、彼らは部屋の中での議論を余儀なくされます。
会社の人事部は別の部屋でカメラに映し出された映像を眺めているのだけれど。
複数回の投票で最多票を得た人物を推薦しよう
ということになるのですが、部屋の中に残されていた各人宛の封筒を発見。
その中には、それぞれが明かしたくないそれぞれの人生の闇や古傷を曝露した写真や情報が入っていたのです。
そのタレコミ情報は本物なのか?
そもそも、この封筒は誰が持ち込んだのか?
そして、そもそもこの最終面接をクラッシュしようとする犯人はこの中の誰かなのだけど、誰なのか?
お互いが疑心暗鬼になりつつ、毎回投票を行い続ける六人。
もちろん闇を暴かれた人間への投票はあっという間になくなってしまうそんな感情も分からなくもないのだけれど…部屋を出ることを許されない状況の中、最終的に内定者は誰になるのでしょうか?
そして、その内定者が数年たった後、あの時の真の犯人を探しだすために、当時、あの辛く苦しかった最終面接に参加した仲間たちを訪ねていくことになります。
本当に犯人は誰だったのか?
そして、それで一体、何が変わるというのだろうか?
なんか最後が切ない。
哀愁が漂う感じとでも言いましょうか~。
コロナ禍でややデジタル化されたものの、就職活動そのものは昔とさほど変わっていないような気もします。
学生の皆さんが自分のやりがいを感じられる企業と出会うことができますように。
そして、このレポートを提出した教え子は、まさにこの時に就職活動をしていました。
レポートそのものはあっさりとした教科書的な感想だったけれど、絶賛就活中だった彼女、本音はどうだったのかな?
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