心が少しソワソワしたとき、ついつい小津安二郎監督の作品を観なおしたくなる
別にまさに同じ時代を活きていたわけでもないけれど、どの作品も戦後の日本社会の市井の人々を描いているから、どこかホッとするからかもしれない。
今回もここ1週間ぐらい、心がここに非ずで、求めるかのように小津監督の作品を観ました。
ブログ記事をチェックしたら、なんと何度も観ているのに記事にしていませんでした
毎回、意外な発見があるのも小津安二郎作品を何度も観返したくなる理由かもしれませんね。
麦秋
英語タイトルですと季節が異なります、はい。
Early Summer
画像はお借りしました。
あらすじはGoogleからお借りしました。こちらも本当にそっけないほど簡潔なあらすじです。
北鎌倉で暮らす間宮家では、適齢期を過ぎた娘・紀子の結婚問題が大きな議題となっていた。
当の紀子は大手の会社で秘書として働き、のんきに独身生活を楽しんでいる様子。
やがて、そんな紀子に縁談話が立て続けに舞い込む。
この北鎌倉の風情というか、風景がとても素敵。
そして日本家屋に住む間宮家は、原節子さん演ずる紀子の両親、兄夫婦と同居していることもあり、甥っ子たちのいたずらにも手をやく大家族での生活です。
相変わらずの低い定点でのカメラで追う食卓を囲むシーンが印象的です。
今回の気付きは、当時ってお箸って各自、箸箱を使っていたのね~。
紀子が夜遅く帰って、軽く夜食を食べるシーンがあるのですが、箸箱から自分の箸を取り出していました。
食事の時間が異なるから、最初からその人の食事を箸込でセットしておくということかな!?
お弁当の時しか箸箱を使っていなかったので、当時はそうだったのかぁなんて思いました。
28歳になる紀子の周辺は、友人が一人ずつ嫁に行く者あり、独身を謳歌する者ありですが、本人は全く結婚には関心がない様子。
その独身者の友人を演ずるのが、大好きな淡島千景さん。
こんなおきゃんな役を演じさせたら右に出る者はいないです。
親戚や上司から28歳にもなって…なんて言われてもどこ吹く風
毎日嫌味を言われても、ここで怒ったりしないのが紀子なのよねぇ。
あの最高の笑顔で「どうかしら~」なんて話を反らしてしまうの。
独身と既婚者との金銭感覚に関しては、とても美味しい高級なイチゴのケーキの例が印象的ですね。
紀子と義姉との関係性も微笑ましい。
普通なら、もっとぎすぎすしているかもしれないのにね
そこで笠智衆さん演ずる兄がお見合いの話を持ってきたの。
良き家であることと特に反対することもないし、どんどんと縁談は進みますが、仲良しのお隣さんが数年間単身赴任で東北地方に引っ越すことになったことから、話がどんどん変わっていきます。
一度は納得した縁談をちゃぶ台返しで、お隣さんのお母さまに請われたとのことで、そのお隣さんと結婚する!と言い出しちゃって。もともと紀子は彼のことが好きだったんですね~、劇中では認めていないけれど。
紀子曰く、好きとか嫌いではなく、彼なら信頼できるからだって。
まぁ、家族の動揺は目に浮かびますよね~。
その時の紀子の母役だった東山千栄子さんがぼそっと呟くセリフにドキッとするわぁ。
一人で大きくなったような気になって…
よく母と口喧嘩したときに、母が捨て台詞でこれをよく言ってたなぁ
こちらがオフィシャル・トレーラーです。
『麦秋』の予告は前半部分です。
世の中は自ずと進み、変わっていくもの。
だからこそ、家族の関係も少しづつ変わっていくのよ。少し寂しい感じはするけれども。
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