今や視聴率が取れなくなったとはいえ、日本って歴史大河モノって大好きですよね。
映画はもちろん、年末などは他局でも長編ドラマが編成されます。
フランス人も歴史を扱ったドラマや映画は大好きです
以前、ブログでも紹介した"Secrets d'histoire"などの番組も大人気です。
今年でシーズン11が登場し、10年の間、高い視聴率を誇っていますし、番組終了後の影響も絶大みたいです
これだけ長きに渡るともう特集する人材がいないんじゃない?と思ったりしますが、いるんですよね、探せば、魅力的な人たちが
毎回、一人の人物に焦点を当てるスタイル。
歴史学者や学者、外交官などの意見を交え、当時の様子を再現しながらの番組編成です。
とりわけフランス人から人気のある時代は、やはりルイ14世の時代かなぁ。
強く凛々しい騎士が存在し、華やかな宮廷の中で繰り広げられる勢力・権力を少しでも手にしようとする、時にドロドロとしたせめぎ合いが繰り広げられた時代ですもの。
さて、この華やかな時代に珍しく女性が主役の時代活劇がシリーズものとして長く愛されているのをご存知ですか?
原作はアラン・ゴロンが描いた
ANGELIQUE
(アンジェリッック)
1957年より執筆された旧作と同じ著者が見直しをかけ、大幅に改変された新作があります。
全部で13巻という大作です。
ざっくりとしたあらすじは、ウィキから引用します。
ポワトゥーに生まれたサンセ男爵の令嬢アンジェリクは、緑色の瞳をもつ快活な美少女だった。
しかし、貧しい男爵家と領民を救うため、ラングドックの大貴族で裕福だが醜悪なジョフレ・ド・ペイラック伯爵との結婚を余儀なくされる。幼馴染の森番ニコラに未練を残しつつ、新生活を始めたアンジェリクは目もくらむような豪邸での優雅な暮らしのなかで、ジョフレと愛を育む。
やがて、ルイ14世とスペイン王女マリア・テレサ(マリー・テレーズ)の結婚式に招かれたことをきっかけに、夫妻は巨大な陰謀に巻き込まれていくのだった。
もちろんこんなオイシイ原作を映画業界が見逃すわけもなく、シリーズとしてどんどん映画化されました。
先日、フランスのTV局がありがたいことに、連続してこのシリーズものを放映してくれました。
全部きっと放送したんだろうけど、私が鑑賞できたのはたった3本だけ
(でもこの記事で3本が一挙に紹介できるわ)
当時、この類の女優さんがもてはやされたのね
とても魅力的なミシェル・メルシエがそのアンジェリクをお転婆な娘時代から、酸いも甘いも嚙み分けたのちの成熟した女性になるまでを演じきっています。
役者も若きひのジュリアーノ・ジェンマが出ていたり、ジャン・ロシュホールが出演しております。
ロベール・オッセン演ずる醜いジョフリは全然醜くなんかないのがミソ
ANGELIQUE, MARQUISE DES ANGES
MERVEILLEUSE ANGELIQUE
ANGELIQUE ET LE ROY
このラングドックに嫁ぐという設定が絶妙にうまいの。
当時、ラングドックは盛大な影響力があり、地域的にも独自の言語がありました。
まだルイ14世も若く、中央集権化が完全にできていなかった当時のフランスの中で、家柄としてはペイラック家の方がはるかに古く、上だったりします。
緑の目を持つ自立心旺盛なアンジェリックが嫁いだジョフレは宗教戦争の際に顔に傷があり、杖なしでは歩けないという「醜い」存在として登場します。
着飾って嫁入りしたアンジェリックが見た夫があまりにも醜く、彼女は彼を拒否し続けるのよ。
が、これが魅力的なの。
そしてその魅力に徐々に気づくことになります。
立派な家柄にあぐらをかくわけでもなく、当時、大航海時代の幕開けに遅れることなく、アフリカや中東などへの貿易も手がけて、大金持ちなわけ。
世界の海に乗り出しているジョフレは、締め付けが厳しい啓蒙主義のフランスに見切りをつけ、最後は自由の国アメリカに新しい生き方を求めるようになるのだけれど、それはシリーズの終盤にわかっていくことです。
醜いけれど、生まれながらに人を魅惑してしまうようなリーダーシップを持ち合わせ、文武に秀で、奴隷たちにもあるべき主人として振る舞います。
そのとてつもないすごさから皆から敬われていること自体が、ルイ14世から目をつけられ、断頭台の露として消えるように仕込まれてしまうのですが…。
こんなロマンティックな大活劇ですから、宝塚でも舞台化されています。
また、有名どころでは木原敏江さんが漫画作品にしています。
引越族である私がどの国に住もうとも持ち歩く漫画は、この『アンジェリック』(3巻)と仏語版ベルばら(2巻)だけ
漫画のジョフリの方がさらにいい男です。
黒髪ストレートで余裕があって達観していて、すごい魅力的なのよ
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