フォローしているブロガーさん推薦のこちらの本
今年の夏は必要以上に外に出ずにとにかく本を沢山読もうと決めたのです
浅倉秋成
『俺ではない炎上』
画像はお借りしました。
公式サイトもあります。
ご関心のある方はこちらにどうぞ
彼の作品は目の付け所が新しく、読了後、「そうきたか~」と感心したものでしが。
その時、ブログ記事にもしました。ご関心のある方は下記にリンクしております。
こちらは映画化もされました。
こちらがトレーラーです。
さて、『俺ではない炎上』のあらすじは公式サイトから引用します
外回り中の大帝ハウス大善支社営業部長・山縣泰介のもとに、支社長から緊急の電話が入った。
「とにかくすぐ戻れ。絶対に裏口から」
どうやら泰介が「女子大生殺害犯」であるとされて、すでに実名、写真付きでネットに素性が晒され、大炎上しているらしい。
Twitterで犯行を自慢していたようだが、そのアカウントが泰介のものであると誤認されてしまったのだ。
誤解はすぐに解けるだろうと楽観視していたが、当該アカウントは実に巧妙で、見れば見るほど泰介のものとしか思えず、誰一人として言い分を信じてくれない。会社も、友人も、家族でさえも……。
ほんの数時間にして日本中の人間が敵になり、誰も彼もに追いかけられ、ともすると殺されそうになる中、泰介は必死の逃亡を続ける。
ネット上で無責任な書き込み、事実はどうか如何ではなく、ただただ炎上に無責任に加担している現代社会。
既視感がありすぎる~
今回、日本中の敵になった山縣泰介が理由も分からず、逃げ回っていくのです。というか、行くしかないの。
もちろん彼自身は何も罪を犯していないし、どういうことなの~
ひたすら逃げていく中で、今まで自分が少なくともみんなに愛され、頼りにされ、ある意味、成功者だと思っていたことが幻想で、むしろ家族も含め、相手に対して「正義」「正しいこと」を振りかざして威圧ともとれる態度をとっていたことが徐々に分かってきます。
逃げているだけでは捕まるのは時間の問題。
だって、警察だけでなく、ネット社会で「山縣成敗するための自警団」みたいなユーチューバー系の輩が、正義を振りかざして、ある事、ない事を騒ぎたてて…。
絶体絶命の中、なんとか自分が罪を犯していないことを分かってくれる人間がぽつぽつと出てきますが、全く身に覚えのないこの事件の真犯人は一体誰なのか
浅倉さんの『六人の~』でも感じていた点。
日本語の特性を活かしての読者の視点の移し方、いうなれば欺き方が見事です。
大学の通訳の授業でもよく言っていることですが、日本語や日本文化は暗黙知が高いから、ついつい「誰が」「何が」という主語を言わなくても意味が通じることが多いのです。そのため、受動態になりがち。
読了後、読み返しても何一つ誤情報は確かにない。
それでも、ストーリーの流れで読み進めると、無意識的に読者がそう思い込むような仕掛けや章の構成になっているの~。
本当に見事に騙されました
いつも拙ブログにお越しくださってありがとうございます。