ニコニコメドレー界において、いつも議論の対象になる「選曲」の話について、
私的にまとめを作ってみました。
ここに公開する前に、文章をtwitter上で公開してフォロワーの皆さんの意見を仰ぎました。ありがとうございました!
その時のログはこちらです→ http://togetter.com/li/194548
こちらの方が見やすいかも。追記した文章は入ってませんが。
※例によって長文ですので注意。
そもそもこのまとめを作ろうと思ったきっかけは
先日自分の動画をチェックしていた時、ふとこのタグを発見したからです。
タグで動画検索 アレンジメドレーリンク - ニコニコ動画(原宿)
http://www.nicovideo.jp/tag/%E3%82%A2%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%A1%E3%83%89%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%AF
どうやらごく最近新たに作られたタグのようで、いくつかの(現在の登録数:33件)メドレーに
このタグが付けられています。
ざっとこのタグの動画を見渡してみると、
・原曲垂れ流し形式ではなく、文字通り制作者によってアレンジされている
・ニコニコの流行の有無に関係なく、とあるジャンルに特化している
・「ニコニコメドレーシリーズ」タグと共存している動画もあれば、
単体の動画もある
と、こんな感じになっています。
参考までに
タグで動画検索 ニコニコメドレーシリーズ - ニコニコ動画(原宿)
http://www.nicovideo.jp/tag/%E3%83%8B%E3%82%B3%E3%83%8B%E3%82%B3%E3%83%A1%E3%83%89%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA
ニコニコ大百科のニコニコメドレーシリーズの記事
http://dic.nicovideo.jp/id/209413
によると、
「ニコニコメドレーシリーズとは、打ち込み等でメドレー形式にアレンジした楽曲を用いた動画に付くタグである。」とあり、
ニコニコミュニティのニコニコメドレーシリーズ総合コミュニティhttp://com.nicovideo.jp/community/co2087
には
「1:各曲の印象的な部分(大抵主旋律)を取り出して編曲しなおしたもの
2:各曲を切れ目なく演奏すること
(ニコニコ大百科引用)」とあります。
そもそも、自分がこの新たなタグに興味を持つ引き金となった問題があります。
それは、一部のメドレー好きの中では幾度となく論争となってきた問題です。
ここでは仮に「選曲論争」と表現します。
大百科の言葉を引用すると(記事内「このタグができた経緯と現状」より)
- ニコニコ動画内において、音楽CDの音源をただ集めただけの動画がメドレーと言う名の下に氾濫していた。
- これらの動画群によって、組曲『ニコニコ動画』をはじめとした打ち込みでアレンジして複数の曲を繋げて1つのメドレーにした動画が埋もれてしまっていた。
- 差別化のため「ニコニコメドレーシリーズ」というタグが付けられた。
- 動画の投稿者がタイトルに入れたり、CD音源をそのまま繋げた動画が権利者削除されたことなどにより知名度が高まり、定着した。
とあります。
要は
「作業用BGMなどの原曲垂れ流し動画と、アレンジャーの手によってアレンジされた動画を区別しよう!」
という訳で「ニコニコメドレーシリーズ」タグが作られ普及していった、という事です。
(もっともこのタグは当初タグ消しが頻繁に起こっていたそうですが)
この「アレンジャーの手によってアレンジされた」メドレー作品ニコニコ内で増えるきっかけとなったのは
2007年06月23日にしも氏によって投稿された
組曲『ニコニコ動画』http://www.nicovideo.jp/watch/sm500873
です。
(ちなみに組曲は最古のニコニコメドレーではなく、タグ内の最古動画は同じくしも氏作の
ニコニコ動画中毒の方へ贈る一曲http://www.nicovideo.jp/watch/sm405303
です)
組曲が投稿されてしばらくの間は組曲歌ってみた等が隆盛していました。
転機はしも氏によるニコニコ動画物語.wav http://www.nicovideo.jp/watch/sm1089391
(リンクは修正版)と
Dhi氏によるニコニコ動画『裏組曲』勝手に作ってみた http://www.nicovideo.jp/watch/sm1071936
に始まる
ニコニコメドレーの多様化、シリーズ化です。
この頃は裏→うらのうら→裏の裏の裏…と続いていく訳ですが、メドレーが増えていった事により
組曲という表記から「ニコニコメドレー」という表記へと変化していったと考えられます。
(僕みたいにリスペクトして組曲の名を冠するメドレーも多々ありますが)
さて、ここからが本題です。メドレーが多様化していくと同時にニコニコの文化も拡大していき、
一人の人間がニコニコ全体を把握できるような状況ではなくなっていきました。
メドレー制作者は次第に「ニコニコメドレーの包括性」という問題に悩まされるようになります。
視聴者側では、「ニコニコメドレー」という事でニコニコオールスターを期待している人もいれば、
多様なメドレーや意外な選曲を楽しむという人も現れました。
そこで問題となったのが、いわゆる「趣味選曲」というものです。
そもそもニコニコ見ること自体が趣味だろ!というのはごもっともな意見ですが、
ここで問題なのは「その趣味選曲がニコニコで流行っていたか否か」という所にあります。
「ニコニコで流行した訳ではないんだけど、自分が昔見ていたアニメ等の曲や
自分が好きなゲームのBGM等をニコニコメドレーの中に入れたい…!」
そうしてそういった曲がニコニコメドレーの中に入り、評価されるようになりました。
しかし、当然そういった曲を知らない人だって出てくる訳です。
只でさえニコニコ全体は大きく、ニコニコで流行した動画や楽曲を沢山知っている人は
全体のうち少数となっています。
ボカロに関して言えば、初音ミクの登場によってユーザーが楽曲を作れるようになり、多数のボカロファンが現れたことで
「VOCALOID」という一つの大きなカテゴリが成長、ランキングを席巻するようになり、
余程のボカロ好きでない限り「ミリオンいった曲でも全然知らない」といった状況になっています。
よってメドレー作者の選曲如何によっては
あまりにも自分の知らない曲ばかりだと聴いてても全然面白くないと感じる視聴者が増え、
さらにはアレンジの質で気に入らない作品が増えたと感じる傾向になってきました。
メドレーファンが多様なメドレーを求め、それに応じてメドレー作者が
様々な選曲や音楽表現の工夫(繋ぎや重ねなど)に挑んでいくうちに
そういった多様な選曲を用いたメドレーが溢れかえるようになっていきました。
「この繋ぎやこの選曲は誰もやってないだろう」という意識を作者側が持ちすぎて、
いつしか本来の「ニコニコの流行曲を集めたメドレー作品」というコンセプトが薄くなり、
メドレー作者の個性が強く顕れた作品が増えていきました。
そして、メドレー好きは気が付きます。「メドレーを進んで聴く人が減ってきている」と。
もちろん、供給が需要を追い越してしまったというのも理由の一つですが、
「ニコニコメドレーの名を冠しているのにニコニコと関係ない曲入れるのってどうなん?」と思う人が増えてきた、というのも大きな理由です。
個性的なメドレーはもう聴き飽きたよ、と。
この事態に危機感を示したメドレー好きの一部は、メドレーの選曲について今一度考え直す時期が来たと思いました。
自分の好きなように作るならともかく、「ニコニコ」をタイトルに付ける以上はニコニコの流行を追って欲しい訳です。
それだけ「ニコニコメドレー」に期待しているというのもありますが。
ここで、未だ解の見つからない「選曲論争」に入っていく訳です。
「全部が全部ニコニコの流行曲だったらありきたりな作品しかできない」という考えもあれば
「この曲は特にニコニコで流行ったとは言えないだろ」や
「○○(ジャンル名)多すぎだろ」とか
「そもそもニコニコ見るのって趣味じゃないの?」等、様々な考えがあります。
ニコニコ動画という、ネット上でもかなり規模の大きいコミュニティそのものが
内輪ではあるものの、やはり大きすぎてその中で住み分けが存在しています。
「東方」層や「ボカロ」層、「アイマス」層、「歌ってみた」層や「ゲーム実況」層、「政治」層、「ニコ生」層等々…
組曲が投稿された当初でさえ、組曲に「この曲入ってない」という声が挙がりました。
まして、今のように膨大なニコニコの流行を一作品に詰め込むのは至難の業です。
ある作者は極限まで曲を短くして作品全体を短くしようと試み、
またある作者は長時間になろうと曲を詰め込むスタイルを採り、
さらにある作者は、流行全体の中から曲をピックアップしてメドレーを作りました。
その「流行全体の中から曲をピックアップ」する際に問題が生じます。
自分の好きな曲で埋めようとすると、どうしてもジャンルが偏りがちになるし、
それぞれのジャンル(御三家で言えば東方・アイマス・ボカロの曲の比率)を揃えようとすると
曲構成にかなりのテクが必要となります。
上述のように、流行といってもカテゴリごとの流行が出来る程ニコニコは広い場所です。
歌ってみたひとつとっても幅が大きすぎて手におえないジャンルもあれば、
料理などそもそも楽曲とはかけ離れたジャンルもあります。
手書きMADや音MAD、映像MADといったMADの中にも様々な流行があり、
その範囲でメドレー作ろう!とした場合、「ジャンル別メドレー」や「縛りメドレー」という分類になります。
(縛りの場合、曲名縛りなどもありますがそれはさておき。)
さらに、流行曲という括りでメドレーを作った際、「どの時期で流行ったのか」というのが重要な要因だったりします。
ごく最近の流行を扱ったものなのか、古参も満足できるような曲まで取り揃えるのか。
制作中に流行した曲をすぐ採用するというのも手の一つですが、作ってるうちに流行が終わってしまっては
元も子もありません。
つまり、包括する時代が広ければ広いほど、流行った時期のバランスも求められるという訳です。
只でさえ「昔流行った曲が入ってない」とか「この曲がメドレーに入るのいい加減飽きた」とか
そういうコメントが付き物な界隈ですから(もっとも、それは好みの問題なんですが)。
このような選曲問題を尻目に、ひたすら使いたい曲を使うメドレーも多数存在します。
実際そのような作品の中には優れた作品も多数存在します。
それが日の目を見るかどうかは、選曲以外の要因も絡むので一概には言えません。
ニコニコメドレーには5つの構成要素があるという理論もあり、選曲はその一要素に過ぎません。
しかし、この文章を見れば分かるように、選曲ひとつとってもこれだけの話になってしまいます。
ここで話を最初に戻します。
何故、自分が「アレンジメドレーリンク」というタグに興味を持ったのか。
それは、過去にタグの住み分けについて議論があったからです。
ニコニコの流行とあまり関わりの無い、作者の趣味全開で選曲された曲の多いメドレーなどを
「ニコニコメドレーシリーズ」タグに入れるのはどうなのか?という意見が出たことがあります。
そこで何か新しいタグを作って動画を分別するのはどうだろうか、となります。
問題なのは、ニコニコメドレーシリーズタグに登録されている動画の数。
これを書いてる現時点で891件もの動画が登録されています。
果たして、この無数の動画を分別する事などできるのだろうか?
「ニコニコメドレーシリーズは『ニコニコに投稿されたメドレー作品』のタグでいいでしょ」という意見があり、
東方メドレー等の専用タグが存在しない限り、今なおこのタグに様々なメドレーが登録されています。
現実的に考えれば、住み分けを行うにはメドレー界隈の人に意見を仰ぐべきであり
その時点でも論争が予想されるというのに、果たしてタグ整備に欠ける時間と体力など…。
そんな中、突如として現れた「アレンジメドレーリンク」タグ。メドレーの敷居は少し違いますが。
上記のような事実がある中、非常に興味深い行動だと思い、
ここ数日、タグの動向を確認していたのですが、どうやら33件までで終わっているようです。
タグを付けて回っていた人が力尽きたのだと邪推します。
なんてったって、ニコニコ動画内には「ニコニコメドレーシリーズ」タグの付いている作品の他に
タグに登録されていないメドレー作品がまだいくつも存在しているのですから。
そもそも、日常的にニコニコメドレーを観察している人間などごく少数です。
メドレーに関する論争が起ころうと、ランキングで再生したりマイリスしたりする
殆どの人にはあまり関係の無い話です。
だからといってやりたい放題やれる訳でもありません。なんてったって名前の上では
様々なジャンルをまたがっているジャンルですので。
選曲論争に解はありません。だからこそ議論して解に近づこうと様々な場所で論争が起こっています。
最終的には、様々なメドレー作者が「これだ!」と自分なりの解を提示しなければ話は始まりません。
そして、また論争は繰り返されるのです…。
糸売 - N ○ K -