以下はYouTubeの「伊藤貫セミナー」から
「アメリカと対峙した中川昭一、アメリカに追従せざるをえなかった安倍晋三 . . . (伊藤貫)」
という放送の中の標題に関係する部分を文字起こししたものである。
https://www.youtube.com/watch?v=nvmPT4zbA8M
の35分40秒以降に相当する。
<引用始め>
次に,安倍晋三さんのことを説明します.
安倍さんは日本の保守陣営では,ご存知のように,アイドル的な存在です.
日本の保守派の方は安倍さんがいてくれたらこうだったのに,安倍さんが戻って
来て欲しい,とそういうふうに仰る方が多いです.
僕自身も安倍さんのことをpolitician 政治家としては、日本の過去79年間の
日本の政界で最も才能があった人だと思います。
ただし、彼は、少なくとも僕の視点からはtactical な天才、tactical というのは
戦術ですね、政治戦術における天才的な才能の持主で、だから僕は彼のことを
個人的にはtactical genius とかtactical superstar と呼んでたんですけれど、
tactics 戦術の面では genius でありまして、superstarでありました。
だから、日本の政界の大谷選手という感じで、それこそ50年か100年に一人しか
出ないような才能の持主でした。
ただし、僕は彼がどのくらい判断力がある人間だったのかというのには
一寸疑ってまして、ご存知のように、僕は西部邁さんと仲が良かったのですけれども、
西部邁さんは、僕は安倍さんとは一回しか会ったことがないんですけれども、
西部邁さんは何回も会ってまして、だから安倍さんのことをよくわかっていたんですけれども、
西部さんは僕に、「安倍君は本当の学問とか教養がない」と、それから、「安倍君は
喋るのがとっても上手いけれども思考力が浅い」と、それから、「政治的に抜群に
勘が良くて、ものすごく立ち回りが上手い」と、しかし、「偉大な政治家と呼べるだけの
視野や判断力はないと思う」とそのように言っておりました。
僕自身はそれほど安倍さんのことをよく知らないですけれども、僕は実は同じような
印象を受けていました。
安倍さんの一つの問題は、彼が岸信介と佐藤栄作の子孫というか、孫もしくは甥な
わけですね。岸信介と佐藤栄作というのは日本を現在のようなアメリカに対する
属国状態に、このような属国状態から抜け出せないところに置いた張本人です。
ですから、岸と佐藤栄作というのは、僕は、日本に対する、戦後の日本の失敗に対する
責任がとても大きい、と思います。
ご存知のように、岸さんは、岸信介さんは満洲の経営に参加して陸軍にすごく
気に入られて、それで東條内閣の閣僚になって、非常に重要な役割を果たします。
しかし、東條内閣が戦争で負け始めて、これ以上戦争を続けてもアメリカに勝てる
望みがないというふうな状況になったときに、岸さんは東條に反逆し始めまして、
それで内閣不一致ということに、内閣不統一という状態に追い込んで東條内閣を
崩壊させたわけです。
そのときに、岸さんが本当に平和を望んで東條に対して反逆したのか、
それとも、この戦争は負け戦に決まっているから、ここで東條とオープンに対立して
みせて戦後の自分の立場を良くしようとしたのか、その動機は僕にはわかりません。
ただし、敗戦後、進駐軍が乗り込んできて岸信介さんが巣鴨の刑務所に収監されると、
皆さんご存知のように、右翼の笹川良一や児玉誉士夫と同様に岸信介さんは
アメリカ側に寝返って日本の政界の秘密を全部アメリカに喋って、それで笹川や
児玉誉士夫と同様に釈放されたわけです。
釈放された後、笹川良一と児玉誉士夫と岸さんはCIAの手先になって、CIAから
たっぷり工作資金を貰って、また日本の政界に、戦後の政界に息を吹き返した
わけです。ですから、とっても立ち回り上手いですよね。東條の懐刀であった
ことから始まり、東條に反逆して、でアメリカに捕まると、今度はアメリカ側に
くっついて、それで無罪のまま釈放されてCIAから工作資金をもらって
もう一度戦後の政界の大物になったわけですから大したものです。それは。
ただ、principle と integrity。principle と integrity というのは節操とか良心とか
一貫性とかいう意味ですけれども、そのprinciple や integrity があったかどうか
というのは非常に疑問です。岸さんは「政治は力だ、政治は金だ、政治は力と金だ」
というふうにお考えになっていたようです。ですから、彼は常に力の強い側について、
お金をふんだんに使って、政治を動かすということを実行したようで、
それで良いのだと思っていたようです。
ですから、力の強いアメリカ側にくっついて、CIAから彼は大量の資金を政治資金を
供給され、現在の貨幣価値にすると数百億円分の政治資金を受け取って、
その政治資金をばら撒くことによって彼は自民党総裁の座に就いたわけです。
「政治とは力と金だ」ということを実行して日本の総理大臣になったわけです。
素晴らしい成功です。
(その2につづく)