私が学生の頃のアルバイト賃は1日1,000円位だった。肉体労働で
1,200円ほどで、1ヶ月25日も働くと2万5千円を稼ぐことができた。
その頃、大学院修士卒の初任給は約8万7千円だった。アルバイトと
修士卒では、給料も仕事の中身も圧倒的に違っていた。
昭和40年代後半から昭和50年に掛けての頃である。
今は、コンビニのバイトが時給1,000円。1日8時間で25日働くと
月20万円になる。今の修士卒の初任給はどうだろうか。少なくとも、
5年前の修士卒の初任給は約23万円だった。今もほとんど変わっていない
はずである。
つまり、今から40年ほど前は修士卒の初任給はアルバイトの月収よりも
4倍近く多かったのに、今ではあまり差がなくなったということである。
これは、最低賃金が相対的に上がったということではなく、
大卒の初任給が大分前から頭打ちになっているということである。
物価はどうだろうか。
銭湯は35円位から90円位まで値上がりした。今は、480円ほどだろうか。
当時は100円定食というものがあった。ラーメンは安いのでは50円だった。
昼食は100円あれば足りた。今は500円では足りないところも多いだろう。
岩波文庫は定価が星★の数で表され、★1個が50円だった。分厚い★4個の
文庫は少なく、ほとんどが★2個か3個だった。つまり、100円か150円。
今の文庫本にすると、500円から600円位に相当するだろうか。
岩波新書は一律150円だった。今は1冊600円から1000円を越すものも
ある。
下宿は当時1畳1000円で、大体六畳間を借りると月6000円だった。
今の学生はワンルームマンションを借りるので月額5万円位は
必要だが、安いアパートなら3万円位で借りられる。
つまり、当時に比較すると、物価はおよそ5倍に上がっている。
購買価値に換算すれば、貨幣価値は5分の1になっているということである。
物価が5倍に上がっているのなら、給料も5倍にならないといけない。
ところが、そうはなっていないのである。当時の修士卒初任給を5倍すると、
43万円ほどになるが、これは今の初任給の約2倍である。
大卒の初任給がある時から全く上がらなくなってしまっているのである。
私達の頃の大卒は、何年かすると結婚し、嫁さんは専業主婦であっても
普通に暮らせた。さらに何年かするとローンでマイホームを建てることが
できた。今では、共稼ぎでないと無理だろう。それだけ大卒の給料が
抑えられて来たからである。
あるネットの番組で、出演者が、IT技術者がアメリカに行く飛行機の
中でアメリカで働く同業者と隣合わせになり給料を互いに教え合った
話を紹介していた。日本のIT技術者の給料は半分以下だったそうである。
相手に可哀想に思われて、市内まで相乗りしたタクシー代を相手に
持ってもらったそうである。つまり、海外と比較しても日本人の
大卒の給料は、可哀想に思われるほど低くなっているのである。
今、働いている人は、このことを認識しているのだろうか。
つまり、アメリカなど、場合によっては中国などの同等の働き手の
給料に比較して日本人の給料は半分以下であるということを。
これでは今の若い人が大変可哀想である。
給料はおおまかにGDPに比例すると言ってよい。昭和40年代から
50年代とGDPが成長してきたから給料も増えてきた。ところが、
日本のGDPはなんとこの20年間増えていないのである。
他国は2倍位成長しているのにである。つまり、外国の
大卒の給料は日本の2倍になっているということである。
アメリカは2.3倍、中国はなんと13倍である。
これだけ見ても、日本人の給料が上がっていない理由がわかる。
日本は、ある時点で、政府自民党が経済政策を間違ってしまったのである。
日本のGDPが他国並に2倍になっていれば,大卒の初任給は40万円以上
になっていたはずである。このことを今の日本人、特に
若い人は認識しているのだろうか。
日本は今、貧乏状態に突入しているのである。