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いっそセレナーデ#11
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初めの記事
~♪甘い口づけ
遠い想い出 夢のあいだに 浮かべて
泣こうか
・・・・・・あぁ、また歌っている
心地いいものだな
あの人の声は、相変わらず・・・・・
あの日、俺は途方に暮れていた
時間が過ぎていくことすら分からないほど
近づく足音と記憶のなかのあの人の香り
全てが俺の強い願望が見せた幻と疑わなかった
声を・・・聴いたって・・・・・
信じられなかった
だけど夢じゃなかった
幻じゃなかった
今あの人は・・・・・俺の
手の届くところにいてくれている
「・・・・・おかえり」
風上に立つその影から懐かしい匂いが漂ってきた
あぁ・・・夢でもいい
こうしてあなたの影を見られるのなら
幻に語りかける
「・・・・・何もないんだ、待っている人もいない」
溢れる涙でいるはずのない人影に愚痴を言う
「・・・・・誰を待っているのだ?」
その影はなおも話しかけてくる
相当俺も気がおかしくなってきているのか
幻覚に律儀に応え始めた
「誰って、、、・・・・・・・俺の、世界一愛おしい人だよ」
「ふふっ、・・・・・奇遇だな、俺もだ」
その影は・・・・
あの時と同じような返事をする
・・・・・キグウダナ
「えっ?」
ぼやけた視界から靄が晴れていく
逆光の中から
見えてきた輪郭は
忘れるはずのない俺の大切な・・・・・
「・・・・・・おかえり、翔」
「・・・・・夢じゃない?」
「夢の方が・・・よかったか?」
「・・・・・・・・・幻じゃないんだね」
クスッと微笑み
逆光からゆっくりとその姿を現す
息を飲むほどのその容貌は
片時も忘れたことの無い俺の愛した人その物
「・・・・・何をしている?いくぞ」
「・・・・・えっ、いくって、だってここ」
「置いていくぞ、早く来い」
高飛車な物言いは変わらない
聞きたいことが山ほどある
今は・・・あの人の背中を追いかけて
その横に並びたい
堂々と隣に並びたい
俺のいなくなった後の話を詳しく語らない
なぜ、屋敷がなくなったのか
ただ庵だけを残してくれたことが
あなたの意志だったと今ならわかる
俺との人生を歩むために
ゼロから始めたかったとあなたは言う
そのために思い出の詰まった屋敷を手放すなんて
あなたは微笑みながら言う
『翔が俺の思い出の全てになる』
俺がいれば過去も未来も見えるのだと
何の迷いもなく言い切る
あなたが愛した人たちを二人で愛し続ける
それがあなたを愛することになるのだから
あなたを見た瞬間に確信した
甘い口づけは
あの人の愛の深さ
遠い想い出は
あの人の愛の証
夢のあいだに浮かべて泣くことは
・・・・・・もう無い
俺が傍にいる限り
「・・・・・・・・翔、ここに」
「あぁ、今行くよ・・・・」
俺たちのセレナーデはこの先も止まることは無い
ずっと奏でていくから・・・・
二人でずっと
Forever to you and an attendant...............
together forever.......




