「東京に暮らす二人」 ポエトリーリーディング | サンドアート集団SILT船本恵太のアメブロ

「東京に暮らす二人」 ポエトリーリーディング

 

 

 

「東京に暮らす二人」 

作詩・朗読/船本恵太

2019.08.03

 

 

雨の音で目が覚めた

 

真っ白で柔らかなベッドから顔を出し

 

ゆっくりとメガネに手を伸ばす

 

裸の上半身をおこして

 

黒髪の青年は窓の外に目をやった

 

鉛色の空の向こうに

 

新宿の高層ビル群が霞んでそびえ建つ

 

梅雨、まだあけてなかったっけ?

 

あっ、と思い出し

 

そっと上体を反らすと

 

色白で少し年上の女性が

 

同じベッドの中で眠っていた

 

耳をすますと

 

雨の音に混じって

 

寝息が聴こえる

 

長い黒髪がその白い肌にまとわりついている様を

 

青年はジッと長い時間眺めた後に

 

壁にかかった時計に視線だけを動かし

 

もうお昼に差し掛かっていることを確かめた

 

どうせ遅刻なら

 

のんびり行こうと決めた彼は

 

彼女を本当にゆっくりと抱きしめて

 

その頭に顔を押し当てながら

 

おもいきり息を吸って

 

彼女の存在を確かめた

 

小さな寝息の音が止まったの気がつき

 

頭に顔を押し当てたまま声をかける

 

ごめん、起こしちゃった?

 

ううん、おはよう。行かなくていいの?

 

返事をするかわりにキスをして答え

 

彼女の口を塞ぐ

 

雨の音だけが

 

部屋の中の時を

 

淡々と刻んでいく中

 

一羽のカラスが窓の外をよぎり

 

その影が白いベッドの上をかすめた

 

長いキスは終わることなく続く

 

東京に生きる

 

二人の人生の中の

 

1ページの物語

 

 

 

 

 

続編

 

<2>

https://ameblo.jp/stopmotionanimation/entry-12502341140.html

 

<3>

https://ameblo.jp/stopmotionanimation/entry-12502677138.html