映画「ひそひそ星」を観た感想
映画「ひそひそ星」を観た感想
園子温監督の作品は
「自殺サークル」
「冷たい熱帯魚」
「愛のむきだし」
「紀子の食卓」
を、これまでに観てきました。
「愛のむきだし」が一番好きで、とても感動しました。
さて、「ひそひそ星」についてですが、
ひじょうに好みの作品でした。
これまで観てきた園子温監督の作品のような凶暴性がまったくなく、
ひじょうにポエティックで静けさが漂う作品です。
全編モノクロームで、音楽もほとんどなく、効果音の1つ1つが愛おしくなります。
古き良き、昭和の風景とSFをかけあわせた世界感もたまらないものがありました。
大きな音を立てると人間が死んでしまうので、できるだけ音を立てないようにしているという設定が、ものすごく好きです。
私は生まれたときからマンション暮らしなので、子供の頃はよく、大きな音を立てては近所迷惑になるからと、叱られたものです。そうした人間の滑稽な営みを、うまく逆手に取った設定や演出でした。
影絵の演出も最高です。
<この先はネタバレを含みます。>
人間はすでに少数となってしまった未来。
テレポーテーションが可能なほどのテクノロジーが発達したのに、
あえて宅急便として宇宙船で時間をかけて贈り物をするという行為。
贈るものは、なんでもないようなものばかり。
その人にしか分からない大切な想い出の品。
人間にとって本当に必要な価値のあるものとは何か?
を訴えてくる作品です。
最後の影絵のシーンでは、
失われた、古き良き昭和の時代の、
家族の生き生きとした愛のある営みがいくつも映し出され、
胸をえぐられるような想いでした。
僕らはもう、
二度と、
あの頃のような本当の幸せに触れることは、
できないのでしょうかね。
一人のアンドロイドが、宇宙船で、色々な惑星に宅急便を届けるのですが、
その色々な惑星のロケ地のほとんどが、
人が住まなくなった(いや、原発事故で住めなくなった)
福島県の廃墟となった町のようです・・・
映画の中で、もうその存在感足るや・・・
すさまじい郷愁を感じました。
この映画のほとんど全てといっていいほどでした。
私が最も好きな映画の1つである
アンドレイ・タルコフスキーの「ストーカー」を
彷彿させる作品でした。
園子温監督のことが、ますます好きになりました。
「この映画を作ってありがとう」と、
監督に言いたい気持ちです。
泣きました。