5年の時を経て「ジョン・ドゥの鞄」ダークファンタジー・サンドアートとコンテンポラリーダンスの融合
大変お待たせいたしました。
5年もお待たせいたしました。
ようやく
「John Doe's Bag -ジョン・ドゥの鞄-」
の記録映像の編集が終わり、完成いたしました。
どうぞご覧ください!
といっても、近年、SILTを知ったという方は、何のことか、分かりませんよね。
あらためて、詳しくご説明をいたします。
コンテンポラリーダンサー本原章一さんと、
サンドアーティスト船本恵太(SILT)による
ダンスとサンドアートパフォーマンスの融合のライブという、
大変実験的な新しい試みの舞台でした。
SILTは昨年、神戸で、
シアトリカル・サンドアート・パフォーマンス・ライブ「セロが見た世界」
を行いました。
演劇とサンドアートライブと音楽演奏の融合という新しい試みでした。
しかし、実は2013年に東京で、
「ジョン・ドゥの鞄」という、
演劇の物語性も含むコンテンポラリーダンスとサンドアートライブの融合
という新しい試みを行っていたのです。
2013年8月17日、
吉祥寺スターパインズカフェにて、
「謝肉祭」というイベントの第10回に出演し、披露いたしました。
本原章一さんについて、ご紹介いたします。
ダンス歴29年。伝説的な舞踏カンパニー白虎社に所属し、ブラジル、香港、メキシコ等で公演。白虎社解散後、フランスの高名なダンサーJ・C・ガロッタに師事し、同カンパニー「エミールデュボア」に3年間所属し、フランス等で公演。その後、MONTSUCHT及びRose de Reficul et Guigglesに所属。近年はパラボリカ・ビスを中心にソロダンス公演も増えている。
こちらの映像は、本原さんが抽象表現のサンドアートとコンテンポラリーダンスの融合に、実験的に挑戦をした作品です。
出発点はダークファンタジーをテーマとしたサンドアートでした。
私は、2012年から、サンドアートでダークファンタジーなものという、
これもまた実験的な新しい試みにも挑戦をしています。
こちらのような砂絵を描いてきています。
ちなみに、これらの砂絵はいずれも、
Tokyo Decadance Halloween 8th Anniversary
(2013年10月19日、キリストンカフェ東京)
にて、
数時間(たしか3時間くらいだったかな?圧倒的に過去最長の尺です)の
即興のライブパフォーマンスで披露したものです。
ハロウィンイベントだったので、
ダークファンタジーなサンドアートがピッタリだったわけです。
お化け屋敷のコーナーで、オバケに扮してパフォーマンスをしました。
話を戻します。
出発点はダークファンタジーをテーマとしたサンドアートでした。
そこに本原さんのコンテンポラリーダンスが加わることになり、
「ジョン・ドゥの鞄」の舞台を行うことになったという次第です。
こちらがキャッチコピーです。
名無しのかばんに
名無しのかいぶつ
砂塵にかたちどられ
悪夢に目鼻つけて
召還したのは
誰のおもいで
幽閉したのは
誰のおもい で
インスピレーションを受けたものは:
ラムシュタイン、イレイザーヘッド、聖アントニウスの誘惑、エルム街の悪夢、なまえのないかいぶつ、千手観音、カスパー・ハウザー、 ゴーレム、サンドマン、等でした。
なまえのないかいぶつからインスピレーションを受けた初期イメージ画です。船本恵太が描きました。

なまえのないかいぶつについてはこちらをご覧ください。
なまえのないかいぶつからインスピレーションを受けて、主人公の名前をジョン・ドゥにしました。
John Doe(ジョン・ドゥ) という名前の意味ですが、
日本語に訳すると、
名無しの権兵衛や山田太郎となります。
西洋でよくある、ありきたりな名前というわけです。
キリスト教では、名前がないと天国に行けないとされるため、
身元不明死体は全て、John Doe(ジョン・ドゥ) と呼ばれるそうです。
そこからさらに、カスパー・ハウザーのイメージへと発展していきました。
カスパー・ハウザーについてはこちらをご覧ください。
鞄というモチーフは、ポーランドのアニメーション作家ピョトル・ドゥマラの「壁」からインスピレーションを受けています。
鞄で始まり、鞄で終わる構成は、早い段階で持ち上がっていました。
こちらが主人公ジョン・ドゥの決定画です。これを元に、SILTの当時のメンバーであったbellが人形を制作しました。
ジョン・ドゥの幼少期の姿を模したものとなっています。

肋骨が剥き出しになっています。

こちらの写真は、舞台中の記録写真です。
幼少期の自分を模した人形を痛めつけているジョン・ドゥです。
本原章一さんがジョン・ドゥ役を演じました。
bellが作成した人形のイメージをサンドアートにフィードバックして完成した幼少期のジョン・ドゥの最終決定画です。船本恵太が描きました。
船本恵太は、魔術師の男役を演じました。
砂の魔術によって、怪人ジョン・ドゥを召喚し、
いたぶってもて遊ぶ、悪役です。
ジョン・ドゥが怪物達に囲まれる怯えるシーンは、「聖アントニウスの誘惑」をモチーフとしています。

聖アントニウスの誘惑についてはこちらをご覧ください。
砂を使ったダークファンタジーということで、サンドマンのイメージもありました。
サンドマンとは、ドイツの伝承に出てくる睡魔です。夜更けになると現れ、背負った袋から魔法の砂を人々の目に投げ込んで眠らせます。古くからドイツでは夜更かしをする子供に「ザントマンがやってくるぞ」と脅して 寝かしつける習慣があります。
アヴァンギャルドすぎて、物語が分かりにくいところがありますので、
最後に、「ジョン・ドゥの鞄」の詳しいストーリーを解説して終わりたいと思います。
魔術師の男が、怪人ジョン・ドゥの持ち物だっとされる鞄を手に持ち、現れます。
鞄と砂を触媒に、魔法陣を描き、怪人ジョン・ドゥを召喚しました。
ジョン・ドゥは、チェーンソーで、幼少期の自分を模した人形を痛めつけはじめます。
いったいなぜ? そのような倒錯した自傷行為を?
魔術師は、魔術によってジョン・ドゥの動きを封じました。
※スクリーンに投影されるサンドアートに合わせて、ダンサーが動くという、実験的な新しい試みです。
動きを封じた後は、
様々な怪物の幻影をみせ、
ジョン・ドゥを怯えさせて
魔術師は快楽に浸っています。
それが魔術師の目的です。
しかし、ジョン・ドゥは、
魔術師を見つけ出し、
術を破ります。
※スクリーンに投影されるサンドアートとダンスの融合だけでなく、サンドアーティストの側にきての絡みがあるという、メタフィジカルな構造となっています。ジョン・ドゥは、怪物の砂絵を、かぎ爪で消し去るのです。
ジョン・ドゥと魔術師の攻防は続きます。
魔術師は、ジョン・ドゥの幼少期のトラウマを思い出させます。
両親と楽しく暮らし、鞄をプレゼントしてもらった時の記憶の砂絵。
ジョン・ドゥは苦しみながらも、その砂絵をまた、かぎ爪で消し去ります。
しかし、魔術師はさらに砂絵を描きます。
何度も何度もジョン・ドゥは砂絵をかき消しますが、
ついに心が負けてしまいます。
両親と離れ離れになってしまい、捕まって、牢獄にいれられた時の記憶。
これが、怪人ジョン・ドゥとなってしまった幼少期のトラウマでした。
ジョン・ドゥは、たまらず、幼少期の自分の人形を抱きかかえます。
魔術師は追い打ちをかけるように、再び両親の幻影をジョン・ドゥに見せます。
ジョン・ドゥがお母さんに寄り添おうとすると、母の姿は消えてなくなり、
お父さんに寄り添おうとすると、父の姿は消えてなくなります。
とうとうジョン・ドゥは気が狂いそうになります。
しかし、そこに、幼少期の自分の幻影があらわれ、
ジョン・ドゥに手を差し伸べました。
魔術師は、いつの間にか、消え去っており、もういません。
ジョン・ドゥは、両親にもらったあの鞄に近づいていきます。
ジョン・ドゥは、幼少期の自分を模した人形を
両親からもらったあの鞄の中に、しまいこんだのでした。
子供の頃の辛い記憶を、
両親の愛が包み込んでくれたことを、
暗喩しています。
その手にはもう、かぎ爪はありません。
幼少期の辛い記憶を閉じ込めた、
両親からもらったあの鞄を手に持って、
新たな人生がはじまるのでした。
ダークな作品ですが、最後はハッピーエンドです。



















