映画「冷たい熱帯魚」を観た感想
映画「冷たい熱帯魚」を観た感想
園子温監督の作品は、
「自殺サークル」
「愛のむきだし」
「紀子の食卓」
の三作品を観てきました。
「自殺サークル」は何度か見返してもいます。
しかし、もう観ることはないでしょう。
おススメもしません。
テーマ性は薄く、過激さという形だけの作品という印象です。
「自殺サークル」の、一応の続編となる「紀子の食卓」は、
中途半端な印象が強いです。
「喪失した家族愛の再生というディスコミュニケーションからの脱却」は、
園子温監督の一貫したテーマ性だと思うのですが、
まだこの頃は形骸化されたものでしかないという印象です。
「紀子の食卓」は、過激さも包み込まれてしまい、
それこそ園子温監督らしさを見失っているように感じます。
剥き出しの変態性の過剰な肯定から、
がむしゃらに、ひたむきに、とことん本気で真剣に愛を思いっきりぶつけていくという手法で、殻を破り本質に迫ることに大胆にも成功した作品が、「愛のむきだし」だと思っています。大変な傑作でした。
全力疾走したようなカタルシスがあり、現代社会の病んだ心を、心地よく、切り裂いてくれます。
あきれるほどに、です。
他の監督にない、唯一無二な、強烈な個性のある、ぶっとんでる監督です。
さて、「冷たい熱帯魚」です。
公開時から観たいなと思いつつ、こんなにも年月が経ってしまいました。
まあ正直、あの頃の病んでいた私には、すがれる癒しだった宗教的なところがありましたが、今の私の心境にはまったくフィットしていないという、冷めた目で観てしまったところがあります。
しかしそれでも、「愛のむきだし」に次いでよく、本物の映画だなと。
実際の事件を題材にしたというのが、園子温監督の作品に新しい息吹きを吹き込んでいて、破天荒で、はちゃめちゃで、現実味のない作風に、バランスをもたらしているというか。
それにしても、でんでんさんがあまりにも素晴らしすぎて・・・
演技が巧いんだか、ド下手なんだか、わからない・・・
あの瀬戸際な感じが、
それってまさしく園子温監督のイメージそのもので、
そこに狂気があったり、真実があったりする魅力の部分なんで、
なぜかドキュメンタリータッチに感じちゃう。
あのたどたどしい棒読みな感じが、
あの歪んだ人格のサイコパスの人物の仮面のように感じられてリアルという。
でんでんさんと、園子温監督の相性の良さで、作品の良さが何倍にも引き立っていました。
実際の事件をベースにしているというだけで、フィクションな部分が多く、そのバランスも独特で、絶妙だなと。