映画「アイアムアヒーロー」を観た感想
映画「アイアムアヒーロー」を観た感想
予想を遥かに超えて面白かった・・・
二回観ちゃった。
何より素晴らしいのは、特殊メイクやCGの技術で、日本映画のクオリティがここまで向上したのかと感動。B級感がまったくない。
その次に素晴らしいのが、大泉洋さんの演技。完全に本人のことを忘れて、映画に没頭できた。見事すぎる。
そして脚本の素晴らしさ。これはまあ原作漫画の素晴らしさといったほうがいい。(原作も読んでいる。)
漫画の実写映画化の失敗例は多数あれど、本作は珍しく大成功している。
佐藤信介監督の作品は、
デスノート Light up the NEW world
GANTZ
GANTZ PERFECT ANSWER
も観ている。
GANTZも、予想よりも楽しめた。
デスノートは、きつかったけど・・・
この監督、来年はBLEACHも手掛けており、
漫画原作の実写映画を多く行ってきているのが特徴になっている。
アイアムアヒーローに話を戻すと、
いわゆる「ゾンビ映画」というジャンルにくくられる。
ゾンビ映画の元祖といえば、
言わずもがな、
ジョージ・A・ロメロ監督のゾンビ三部作。
無論、私も大好きで、何度も観ている。
最初に観たのは小学生5年生くらい。
中でも一番好きなのは、
邦題『ゾンビ』(原題: Dawn of the Dead)
ゾンビ三部作では二番目の作品にあたる。
「アイアムアヒーロー」は、言わば、
この作品を現代日本を舞台に置き換えたら?
といった感じの作品。
ジョージ・A・ロメロ監督のゾンビ三部作の
一作目の「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」は、
ワンシチュエーションムービーの傑作。
住んでいる家にゾンビがやってきたら、どうする?
という感じ。
どうしてゾンビがやってきたのか?
どうしてゾンビが誕生したのか?
そんなことは一切語られない。
不条理な悪夢のよう。
実存主義文学の、カフカの「変身」のように。
この先、ネタバレ含む!!
ジョージ・A・ロメロ監督のゾンビ三部作の
二作目の「ゾンビ」は、
ある程度、世界にゾンビが広がっていて、
まだかろうじて、TVニュースでも報道されている。
家の中だけの小さなお話の一作目とは違い、
このように大きなシチュエーションの中でのお話。
前作でもうすでに、ゾンビが発生しはじめた後の物語なので、
それが前提にあるのか、
物語はもうそんな感じで唐突にはじまる。
だけどこれがドキュメンタリー映画のようで、妙にリアル。
もしゾンビが街に溢れかえったらどうする?
というシチュエーション。
ゾンビ狩りをして、楽しんでいる人たちまでいる。
恐怖を紛らわすために・・・
希望を捨てず、脱出を試みるグループが、
巨大ショッピングセンターの中からゾンビを全て追い払い、
封鎖して、
根城にして生活をするという内容。
着る物も、食べる物も、ライフルも、なんでも山のようにあって取り放題。
しかし・・・
といった感じ。
名作ホラー「エクソシスト」もそうなのだけど、
ドキュメンタリーのようなリアルな人間のドラマが、
感情の機微が入念に描かれているからこそ、
真実味があって面白くなっている。
本当に怖くなっている。
やはりここが大きなポイント。
ホラー映画においてはとくに。
そう感じる。
で、「アイアムアヒーロー」は、
現代の日本が舞台だから、
もちろん、ライフルでゾンビ狩りを楽しむなんてことはできない。
アメリカのような銃社会じゃないから。
これがものすごいキーポイントになっている。
主人公は、趣味でクレーン射撃を行っているため、
ライフルを所持しているし、扱える技能がある。
唯一、銃を持っている人物として登場する。
しかし、実際にゾンビを目の前にしても、なかなか銃を撃つことはできない。
その心理の葛藤に、リアリティーが生まれる。
で、僕らが現代の日本に住んでいるからこそ、
さらにリアルに感じられて、楽しめる仕組みになっている。
もし僕がアメリカ人だったらば、ロメロの「ゾンビ」も、もっと身近に感じられて、もっと怖くて面白かったことだろうということが言える。
それと、この物語は、ゾンビが発生する前の日常生活の部分を丁寧に描いているから、さらにリアルに感じられる。(そこでも、ドランクドラゴンの塚地さんが、名演をみせている。)
で、中盤からやはり巨大ショッピングセンターに辿り着く。
そのコミュニティでの人間関係の心理描写がまた濃密で見事。
一番強い武器を所持している者が強いという、サバイバル状況での生活。
で、その頂点の武器がライフルという構成。
このあたりは、ロメロの「ゾンビ」にはない面白さで、現代日本を舞台にしているからこそ。
最初から最後まで、どうしてゾンビが誕生したか?は不明なままで解決はせず、ひとまずは生き延びることができたというところで終わるのも、まさにロメロのゾンビシリーズと同じ。
しかし、レビューを読むと、この不条理さが受け入れらない人も多い。「内容がない。」という感想になってしまう・・・
でももし、本当にゾンビが発生したら?僕らはどうする?何ができる?どうしてゾンビが発生したかなんて僕らが知ることはできるだろうか?ハッピーエンドなんてありえるだろうか?
そう考えると、これこそがリアル。わからないからこそ、不安で、怖い。
この非日常のシチュエーションでの、人間の心理や行動の中に、現代社会の問題点であったり、人間の本質というものが垣間見れて、むしろ内容が濃い。
それこそがゾンビ映画だし、むしろどうしてゾンビが誕生したかが語られてしまうと、一挙に嘘っぽくなってしまって、リアルに感じられなくなり、怖くなくなってしまう。
色々なゾンビ映画を観てきた中で、元祖であるロメロのゾンビ三部作の次に、「アイアムアヒーロー」は面白かった。
それにしても、ゾンビ映画というジャンルができてしまうほどに、我々はゾンビが好き。
これはなぜだろう?