西野亮廣監督のTHE RiCECOOKERSのPVにスタッフ参加しました! | サンドアート集団SILT船本恵太のアメブロ

西野亮廣監督のTHE RiCECOOKERSのPVにスタッフ参加しました!

キングコングの西野亮廣さんからのご依頼で、THE RiCECOOKERSの新曲「of the real」のPVのストップモーションパートを、Creative Studioメルヘン村が作りました。こちらでご覧いただけます!ぜひご覧ください。
http://ototoy.jp/feature/index.php/20130501

ニューヨークで活動している音楽バンドTHE RiCECOOKERSは、TVドラマ「SPEC」の主題歌のヒットで逆輸入。現在、日本ツアー中です!公式サイトはこちらです。
http://www.wearethericecookers.com/ja/

私がキングコングの西野さんと知り合ったキッカケは、TBSの特番「7DAYSチャレンジ」です。1週間でクレイアニメを作ることにチャレンジ!という、非常にムチャな企画に西野さんが挑戦し、私はクレイアニメの作り方を指導させていただきました。その番組はこちらでご覧いただけます。



その後、幻冬舎さんから西野さんの三冊目の絵本「オルゴールワールド」が発売され、その帯書きもさせていただきました。その絵本はアマゾンで、こちらから購入できます。

そして、今回のPVのお話へと繋がりが広がっていった次第です。このPVは、西野さんが監督されており、その脚本と絵コンテを見せて頂いた時は、そのファンタジックな内容にワクワクしました。

こちらが、撮影につかわれた人形です。このキャラクターは、西野さんの二冊目の絵本「ジップ&キャンディ―ロボットたちのクリスマス」の主人公のジップです。

船本恵太のサンドアートとクレイアニメの世界

人形の造形は、原田脩平さんが担当しました。絵本に入っていくところは、カッターで人形を切断しながらコマ撮りしています。まるで本当に絵本に入っていくように見せかけるトリック撮影をしています。合成では出せないリアリティにこだわりました。絵本から飛び出すところも同じ手法なのですが、実際は絵本に入っていくように撮影しておいて、それを編集時に逆再生しています。とても難しい撮影となりました。人形を切断したら、当然ながらもう使えなくなります。なので、人形は同じものを3体づつ作っているんです。

船本恵太のサンドアートとクレイアニメの世界

絵本から飛び出してくるカットは、撮影時間が10時間を超えています。人形を空中で固定するための機具を、映像編集時に消していくコンポジット作業も10時間くらい、ジェット噴射のCGも1コマづつ手描きで8時間かかっているので、あの1カットだけでおよそ30時間が費やされています。造形の時間をのぞいてです!それと、編集室で編集マンが映像加工している時間ものぞいてです!わずか10秒の1つのカットに、それだけの時間が費やされているんです。それがストップモーションアニメの世界です。

なおコンポジットは、ミヤケアツコさん、わたくし船本恵太、黒咲いちごが担当しました。
ジェット噴射のCGエフェクトは船本恵太が担当です。
人形を空中に固定する機具は、川村徹雄さん、上理人さんが担当しました。

今回の撮影はとても実験的でした。というのは、スタジオでの撮影ではなく、西野さんのご自宅での撮影だったんです。これは想像以上に大変なことです。まず、部屋にはカーテンがなく日光が入ってきます。1カットに10時間かかったりもするストップモーションの撮影ですから、日中に撮影してしまうと、だんだん暗くなったり明るくなったり、画面の明るさが安定しないという問題があります。ですから、日没から夜明けまでの限られた時間の中でしか撮影ができなかったんです。最後のほうは、「あと○○分!」というカウントダウンをしながら、なんとか夜が明ける前に撮りきらねばと必死でした。アニメーターが、「後にも先にも、カウントダウンの号令の中でアニメートするのは今回だけだろう。」と語っていました。

問題はそれだけではありません。通常は人形の足を、床にドリルで穴をあけてネジで固定するか、コルクを敷いて虫ピンを足を刺して固定します。しかし、背景は全てセットの作り物ではなく、本物の西野さんのご自宅の家具!!ですからまさかテーブルにドリルで穴をあけるわけにはいきません。そのため、人形の足を両面テープで固定したのですが、これでは固定力が弱いために、アニメーターはとても苦労をしたわけです。高い技術力がなければできない芸当です。

もう1つの問題は、テーブルの低さです。通常はアニメーターが立ったままでちょうどいい高さのテーブルの上で撮影します。しかし、今回のテーブルは、ストップモーション用ではなく、通常の家具で、しかも高さは60cmくらいでした。そのため、アニメーターは膝をついた状態で、人形を動かさなければなりません。下の写真をご覧ください。

船本恵太のサンドアートとクレイアニメの世界

アニメーターのkzさんです。このように膝が痛くならないように、サポーターでカバーしました。膝をついたまま1日連続10時間くらい撮影を続けるための用意です。明け方近くには「腰が痛い。」と言っていました。これはどういうことかと言うと、

「膝をついて人形を動かし、それから立ち上がって部屋の端まで移動し、そこでシャッターを切る。そしてまたテーブルまで歩いて移動し座って膝をついて人形を動かす。」

という運動を10時間連続で続けるからです。立って座ってという作業を10時間続けるというのはそれだけでもかなり大変です。

もう一人のアニメーターのミヤケアツコさんは、撮影の翌日から3日間くらいは筋肉痛で大変だったと言っていました。それぐらいのかなりの肉体労働です。以下の写真がミヤケアツコさんがアニメートをしているところです。人形の動きをノートPCで確認しながら撮影していきます。

船本恵太のサンドアートとクレイアニメの世界

カメラマンは船本恵太が担当しました。望遠レンズ、接写レンズ、ノーマルレンズと3つのレンズを使用しました。撮影ソフトはドラゴンフレームです。カメラはキャノンEOS KISS X4で、レンズはいずれにもニコンのアナログレンズです。

照明も用意したのですが、あえて使いませんでした。実写のパートも照明を使わず、そのままの状況で撮影していたので、実写パートとできるだけ同じ環境で撮影したほうが、整合性が保てると判断したからです。

ぜひ注目していただきたいのは、部屋の全景のカットです。テーブルの上でポツンと小さなジップとキャンディの人形が動いています。普通ならブルーバックで撮影して合成するカットですが、そうではありません。スタジオではなく、本物の家をそのまま使って撮影しているからこその、「日常の中の非日常」という不思議さが出ています。

ストップモーションパートの撮影は3日間。西野監督に、カットごとに人形の動きの指示を受けながらの撮影でした。撮影している合間、西野監督は隣の書斎で今月幻冬舎から出版される小説「グッドコマーシャル」の表紙のイラストレーションを描かれていました。2ヶ月くらいかかっているというそのイラストが、ちょうど撮影の最終日の途中に完成しました。その完成した絵を、一番最初に見せていただけたのは本当に幸運です。以前に、大阪で開催された西野監督の絵本の原画展を見ていましたが、今回のイラストはその2倍以上の大きなサイズで、物凄い迫力でした。額装もまだされていない生の絵を本当に間近の距離で見て、そのあまりの美しさに感動して思わず涙がこぼれました。本当に尊敬します。

これまでの仕事で、こんなに楽しい仕事は過去にありませんでした。物凄い充実感がありました。西野監督は、人を楽しませる、人を幸せにする魅力を持っていらっしゃる、そう感じています。考え方の柔軟性、行動力、教えられることが沢山あり、刺激的です。

漫才(その台本も西野さんが執筆)、絵本、イラストレーション、小説、舞台、落語、セルアニメーション、実写映画、そしてクレイアニメと、そのクリエイティビティはあらゆる芸事の中でいかんなく発揮されています。「何者になりたいのか?」そう揶揄する人もいますが、逆にえば、これだけ多岐に渡り活躍できる者がいるのか?そう思いますし、それらは全て芸事の世界だという一貫性があるじゃないかとも思います。

そしてそれら全ての作品で西野監督が必ず大切にしているのが「ハッピーエンドであること」です。それはつまり、「芸事で人を楽しませる、人を幸せにする。」という西野監督の人柄からくるポリシーでしょう。

「日本のウォルト・ディズニーになりたい。」それが西野監督の目指すところです。私はクレイアニメの分野で、これからもそのお手伝いをさせていただけたらと願っています。

どうぞ西野監督の次なる大きな挑戦にご期待くださいませ。