よく「芝居で食べていく」ということを平気で目標にしている人がいます。
心がけは立派です。
それだけプロフェッショナルな仕事をしていきたいという思いがあることでしょう。
しかし、「食べていく」ということを目標にするのは間違っています。
「食べていく」ためであれば、他に適した職業はたくさんあります。
俳優は最も困難な職業の一つです。
あえて「芝居で」「演技で」と付け足したところで、
困難なものにチャレンジする格好良さでもあるのでしょうか?
迷惑な話です。
エゴです。
もっと違う目的があるはずです。それを目標にしてください。
なんのために、演技をやるのでしょうか?
なんのために、芝居をやるのでしょうか?
なんのために俳優という職業を選ぼうとしているのでしょうか?
人を感動させること。
勇気づけること。
お金には変えられない価値を届けることに意味があるというなら、
お金を求めることは、もう違うベクトルにエネルギーが向いています。
ギャラがもらえる仕事がいいですか?
確かに、もらえないよりはもらえるほうがいいでしょう。
しかし、それを最優先するなら、あなたは芸術家としての魂を売っています。
価値の高いものに比例して金額が与えられると勘違いしてはいけません。
世の中の多くのものは、価値がないものに高い金額が与えられています。
価値がないどころか人を堕落させるものや死に追いやるものに高い金額が与えられています。
価値の高いものに比例して金額が与えられるのは
きわめて物質的な領域の話です。
洋服や車や宝石など、目に見えて、形として触れる領域の話であれば、
この比例はほぼほぼ当てはまります。
しかし、芸術という非物質的な領域に関しては、まったく当てはまりません。
当てはまらない領域に、お金の価値観を無理強い当てはめようとしても無駄です。
お金がもらえることこそが素晴らしいと勘違いしないようにしてください。
非物質的な領域の場合、お金にならない代価のほうが素晴らしいのです。
それは、お客さんの笑顔だったり拍手だったり、人生を変える衝撃だったりします。
もう一度、あなたの目標はなんなのか、見つめ直してみてください。