「アイアンマン2」のNEED的分析 | 行雲流水

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薬剤師が役者になり、気づいたらNYで武者修行! 帰国後も役者をしながら俳優を続けている内に、翻訳したり、教えることになりました。さらには、49歳手前で息子が生まれ、2児のパパに。来年には岐阜県に移住予定。人生って面白い♪

こんばんは。

 

青山治です。

数あるブログの中からご訪問頂きありがとうございます。

 

「あなたが真実に気づくお手伝いをします!」

ということで、【Compass】という

自己理解を深めて、自己愛を高める講座を来年よりスタートします!

 

その準備として【Compass”0”~旅の支度~】を開催します。

 

人が無意識に着けている仮面「ペルソナ」と気づかないけど、

私たちを動かしている「NEED」という力について色々とお話します。

 

自分の「ペルソナ」は?

自分の「NEED」は?

 

知りたいと思われる方、ぜひぜひご参加ください。

 

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お待たせしました。

「アイアンマン2」のNEED的に分析、考察してみました。

あくまで、NEEDという概念を学んだ個人の見解です。

ご容赦ください。

 

 

 

 

あらすじです。

自らアイアンマンであることを告白した大企業スターク・インダストリーのCEO、トニー・スターク。そんな彼に新たな危機が迫っていた。まず、米国政府がパワードスーツの没収を命令。そして、彼に恨みを抱く謎の男“ウィップラッシュ”が一撃で車を真っ二つにする電流ムチを携えて現れ、ライバルの武器商人ハマーも独自のパワードスーツを開発する。そんな中、胸に埋め込んだエネルギー源“リアクター”の影響でトニーの体は蝕まれていき・・・。(DVDより)

 

アイアンマンシリーズはマーベルの中でもシリーズとしての構成が素晴らしくできている作品だと思います。

一部では、大きな事件に巻き込まれる中で内なる自分、本当の自分の求めていること「NEED」に気づき、NEEDに従って生きることを学び、「アイアンマン」という新たな「ペルソナ」を自らの意志で着けて終わります。

新しい「ヒーロー」が誕生して、次へつながる終わり方をしています。

二部:NEEDに従いつつも新たなペルソナを着ける中での葛藤について描いています。

 

ここからはネタバレを大いに含みます!

 

物語の描写が人間の成長に深くかかわりつつ、エンタメ性も確保しているというのが凄いところです。

良くできていると思う理由をいくつか挙げておきます。

①     テーマがしっかりしている。テーマはずばり「父と子の物語」です。

「次に何を伝えていくのか?」ということを、トニーに起きる事件を通して描いています。

②     主人公トニーの“Hero’s journey”(ヒーローの旅路)の物語。先ほど述べた、トニーの成長の物語です。

ピンチを乗り越えて成長していくというひな型にしっかりとあてはまっています。

③     トニーの魅力。破天荒で自信過剰と思われるトニーの苦悩を描くことで、人間として同じなんだな~と「NEED」を抱えつつ、生きていることがしっかり描かれています。ここに「父と子」というテーマが大きく関わっています。

④     アヴェンジャーズを見ている人には、どうアイアンマンが関わっていくのか? 前作よりも深くつながってきています。

 

さて、分析に入ります。

冒頭でいきなり宿敵の登場です!アークリアクターの共同開発者が息子イワンに「不遇の原因は『スターク』だ」と伝えて死んでいきます。明らかに怪しい風貌の男が何かを作り始めます。

 

 

一方、トニーは「アイアンマン」として脚光を浴びて、「時代の人」として活躍をします。

「自分は戦争の抑止力」として機能しているといつもの自信満々にいます。

そんなトニーが、スタークEXPOの開催をアナウンスしています。テクノロジーによる平和の実現がテーマのスターク・インダストリーによる祭典を行うと。ここで「次の世代へ何を遺すのか?」というテーマが語られます。

 

一方、一人になったトニーは自分の血液をチェックしてパラジウム中毒で自分の命が少しずつ削られていることに苦悩しています。自分の命を助け、更には「アイアンマン」としてのエネルギー源である小型のアークリアクターが自分の命を蝕んでいる。しかし、彼には解決策が見つからない。自分のアイデンティティ、存在価値を示すものと自分の命の天秤で揺れるトニー。自分の開発したパワードスーツで世界を平和にしていくことは、彼のNEEDと繋がっています。

 

取り巻く状況は芳しくありません。

アメリカ政府はアイアンマンを脅威と感じ、兵器として没収しようと委員会を開きます。そこにはライバル武器商人のハマーがいます。政府の要求に対して、「アイアンマンは自分の体の一部だから、これを提供するのは売春になる」と人を食ったような回答するトニー。「自分の保有するテクノロジーは、今後20年他は追いつけない」と豪語し、更にはハマーを笑いのタネにしながら自分への攻撃を回避します。この辺の、傲慢さは弱さの裏返しのような気もします。元々、トニーをライバル視しているハマーはさらに恥をかかされ、敵意を抱きます。

 

トニーは、自分の命を蝕むパラジウム中毒に悩みます。自分の命には限界がある。それでも平和の鍵としてのアイアンマンの存在価値の間で苦悩します。それが垣間見える一瞬の孤独な状況はプチ・プライベートモーメントともいえる状況です。トニーが他人に見せない弱さを見せる瞬間。他人に弱さを見せないというところが非常にポイントですが、そのアイデンティティにはNEEDが深く関わっています。そんな状態に政府がいちゃもんつけてくる煩わしい状況から、自分のことに専念するためにペッパーを会社のCEOに任命します。

 

そして、スターク・インダストリーが保有するチームが出場するレースにおいて、自らがオーナーからドライバーになって出場するトニー。自暴自棄の極みですね。自分の命の限界を感じた時に、やりたいことをやる! どうなっても構わいないなど、色々と破壊的な衝動が湧いたのでしょうか? そこに復讐を目論むイワンに襲われます。電流ムチを持った“ウィップラッシュ”イワンは、一撃で車を真っ二つにし、トニーをピンチに陥れます。最終的にはパワードスーツを着て「アイアンマン」になったトニーによって、イワンは倒され逮捕されますが、このインパクトは大きなものでした。「20年作れないはずの技術がトニーを危機に陥れた」ということは、「アイアンマンは米国を守れるのか?」という危機感を政府、主に軍部に抱かせます。ハマーは、この“ウィップラッシュ”は使えると考え、金と権力で脱獄を企て、仲間にしようとします。「トニーは共通の敵」として、手を組もう。現実的には、「国防総省と25年の契約を手に入れる」ために、アイアンマンすら骨董品の技術にしたい!その代わりに、自由は与えたし設備など必要なものは提供すると。すでに金と権力を手に入れながらも力を手に入れようとするハマーのNEEDは根深いものがあります。この二人は、お互いを利用し合うという形でスタークEXPOに向けて水面下で着々と準備を進めていくのです。

 

トニーの自暴自棄は留まるところを知らず、自身の誕生日パーティーではパワードスーツを着た「アイアンマン」として泥酔します。エスカレートしないようとどめようとするペッパーを尻目に、羽目を外しすぎて、堪忍袋の緒が切れた盟友ローズがパワードスーツを着て、止めに入ります。ローズとスーツ同士のバトルの果てに、スーツを政府へと持ち帰られます。トニーの中では、「これが最後のBDパーティーなのか・・・」などの思いもある中でのバカ騒ぎのような気もします。飲まなきゃやってられない中での羽目を外した醜態かも知れませんが、何となく意図的にパーティーのお客の前でスーツを着てバトルをしたり、ローズがスーツを奪えるようにしたりしているような雰囲気も見えます。少しうがった見方かもしれませんが・・・

 

パワードスーツ2体がバトルを繰り広げた自宅は半壊状態・・・トニーは、SHIELDS(アヴェンジャーズの組織)の長官フューリーと会い、パラジウム中毒の治療で二酸化リチウムの処置を受けます。しかし、それは単なる対症療法で一時しのぎに過ぎないと。そして、亡き父からのメッセージを受け取ります。「息子のトニーだけが、自分の仕事を完成させる!」父親のエネルギー構想は遥かに壮大で、しかしテクノロジーの問題で完成を見ないうちに父親は亡くなってしまった。それを解決することが胸の問題を解決することに繋がるとフューリーより言われます。

 

ここで、テーマである「父と子」が大きくクローズアップされます。トニーの内面が露わになります。「父は自分を認めていなかった。冷たくて、計算づくで、好きとは言ったが『愛している』とは伝えてくれなかった」と。自分のことが邪魔で寄宿学校に送ったとショックを受けていた過去のトニー。もちろん、NEEDは「To be respected,認めてもらいたい」、「To be loved、愛して貰いたい」です。もちろん、才能を受け継いだこともあるのでしょうが、彼の技術は父親から愛されたいという思いで学び習得したものも大きいのでしょう。

この物語のもう一つのテーマ「次の世代に何を遺すのか?」ということにおいて、トニーは父ハワードから「夢と希望、そして愛」を受け取ります。一方、イワンは父親から怒りと憎悪を遺されましたイワンの人生自体も才能を持ちながらもそれを活かせず、不遇の中で他者を責め、罪人として生きていました。すべてを失った男の息子として、すべてを手に入れた男の息子にリベンジを試みる彼のNEEDもまた、「認められたい」というのが大きくあると思います。それは父親からでもあり、世間からも認められたいという深いものです。それは、トニー・スタークという天才を打ち破ることで果たせると考えたのでしょう。

 

さて、戻ります。

 

父の残したものは、過去に行われたスタークEXPOの準備のために父親が残していた映像でした。「必要なものは全てここにある」という謎。映像には未来の息子に託すメッセージがありました。「未来への鍵となるライフワークは、今のテクノロジーでは限界があるが、お前の時代ならできる。その時、お前は世界を変えるだろう!」と。さらに、メッセージの最後には「私が生み出したもので最も素晴らしいものは、お前だ(My greatest creation is you.)」と息子への愛が込められていました。

 

ペッパーがトニーの尻ぬぐいに奔走する中、トニーは父の残したEXPOの模型の謎を解き、アークリアクターの中心元素となるパラジウムの代替元素を発見し、地球上に存在しない新たな元素を生み出しました。そして、迫りくる死の危険を回避することになったのです。

 

ヒーローの旅路で、宿敵の登場などで徐々に窮地へと陥った英雄が自分自身と向き合い、過去と向き合い、助けを得ることで窮地を脱出し、新たな力を得て大ボスとの戦いへと臨むという展開です。

 

トニーがピンチからようやく脱出できるのか?というところで、スタークEXPOでは、ハマーが“ウィップラッシュ”イワンの協力を得て開発したドローンがお披露目されています。そして、このお披露目の時にイワンが隠していた牙を剥き、ドローンを裏から操り、トニーに対して攻撃を仕掛けます。パワーアップした「アイアンマン」は、ローズと協力してドローンを倒し、更には宿敵“ウィップラッシュ”を倒すのです。哀れなのはハマーです。彼の会社のドローンがコントロールされていたとはいえ、暴走したのですから・・・事件の責任を取らされることになるのでしょう。事件は一応の決着を迎えます。

 

ちなみに、ハマーは会社の経営者ですが、トニーのように技術的な開発などは一切しません。あまり深くは描かれていませんが、とにかくトニーをライバル視しています。恐らくは秀才肌で努力はしてきたと思います。とにかく、「注目を浴びたい」という表層から繋がる彼のNEED「To be respected,認められたい」は、トニーという一人の天才によってことごとく妨害されるのです。

 

後日談として、トニーはフューリー長官と会いますが、ペッパーの秘書として潜り込んでいたブラック・ウィドウから「衝動的行動」「自己破壊傾向」「ナルシスト」と評価を下されます。ともあれ、相談役としてアヴェンジャーズに参加することになり、エンディングロールの後には・・・『マイティ・ソー』につながるハンマーがみつかるところで終わります。

 

どうやら、アイアンマンシリーズの中では2は比較的評価が低いようですが、物語の要素、構成、そしてマーベルの展開を考えつつも要素として上手く取り入れている点では上出来だと思いました。

 

”ウィップラッシュ”を演じたミッキー・ロークは個人的に好きな俳優です❣

 

長文、お付き合いいただきありがとうございました^^

 

お休みなさいませzzz

 

 

 

 

 

また次の記事でお目にかかれるのを楽しみにしています♪