僕の両親は89と86で二人暮らしだが、二人一緒には
死なないだろうという前提でそれをしている。もし
偶然に二人一緒に死んでしまったら、発見までには
時間がかかるかもしれない。僕も妹も電話は週に
一回くらいだ。カナダの姪も十三の姪もたまには
電話するだろうがせいぜい一月に一回だろう。
僕の馬鹿息子は、しろといわない限りしないから論外。
そして、もし電話に出ないとしても、たぶん病院に
行っているのだろうということで片付ける可能性が
非常に高い。ただ、両親の場合は地域に友達が
多いのでその点で安心はしている。突然死はあるかも
しれないがそれが発見されないということはないと
思っている。

僕の場合、可能性は低いが妻が先に死んだ場合、
まず自分の家を売り払って、親の家も売り払ってマンションに
住むのは間違いないと思う。一人暮らしならどうしても
簡便さを優先したくなる。
そうなると、もう孤独死が約束されたようなものだ。
息子や妹に、電話に出ないからといって探しにくるような
親切心はない。二人ともたぶん「女と遊んでいる」と
思うに違いない。ふん。そういうやつらなんだ。
肉親でさえそうなのだから、友人にマンションの鍵を
壊して僕の安否を確認してくれる人はいない。

そして突然死した僕はそのまま静かに腐敗を始める。
3日が限度らしい。生前の姿をとどめるのは。あとは
発見した人がショックを受けるような姿になる。
誰でも、自分も腐敗して発見される可能性が
けっこうあることに気がつき、愕然とするのだ。
彼女どころか、僕ももう半身どろどろになって畳に
めり込んでいる自分の姿が見えるようだ。ああ嫌。

じゃあどうするかと考えようというのが、老後の
最初の眼目。もうお金を払うしかないじゃないですか。
モーニングコールとナイトコールをしてくれる会社が
あって、もし両方ともに出ない(携帯も含めて)場合には
そこの社員が探しに来てくれる。危険もあるが合鍵も
渡す場合もあるかもしれない。もしマンションに一人
住まいなら間違いなくそういうサービスを利用する.