菅総理の時代に日本学術会議の人選で承認しなかった委員が6人いました。そのうちの一人に東大教授の加藤陽子という人がいました。
彼女は自分が承認されなかった時、「日本学術会議が政府機関でなくなれば、いうことを聞かなくなる」と文句を言っていましたが、日本政府にはタテ付いて反対するが中国の言い分は全て丸飲みするような団体は反政府団体そのものと思います。
その加藤氏が書いた「それでも日本人は戦争を選んだ」を読んでみました。
これは神奈川県にある栄光学園で中高生を相手に行った明治期から太平洋戦争までの日本の近代史の講義を書籍化したものです。
巷には良書だ、よく書けているという書評もありますが、そういう感想を見るにつけ愕然とする。さすがにコミンテルン思想の立場で記述されてはいませんが、最後の章に当時の軍部や政治指導部の戦争責任があると思うか という質問のアンケート結果が出ていて、この講義、本の目的はこれだったのだろうと思いました。
この書籍の大きな欠陥は、世界支配に暗躍していたコミンテルンの策謀、スターリンや毛沢東が行った数千万人規模の虐殺、欧米人がいまだに持っている人種的優越主義、植民地化による容赦のない富の収奪、中国大陸での数千年規模で続く戦乱と殺戮の歴史といった観点が全くないというか意図的に避けている点です。
幕末期にはすでに西力東漸の世界にあることは幕府にも認識されていましたし、日露戦以降は英米では黄禍論が言われるようになり、特に日本人を忌み嫌って差別するようになり、アメリカは排日法まで作って収容所送りにもした。
また中東、イスラエル・アラブ、インド、パキスタンやミャンマー、アフリカなどの植民地で行ってきた英国の蛮行もきちんと理解しないと、日本が戦うことになった列強国というのがどんなやつらだったのか正しく理解できないでしょう。
軍人による政権になっていったのは、21世紀の今日のように政党政治がクソ状態になり、当時国民の約半数を占めた農民の利害
を軍部以外誰も顧みなくなったからでしょう。政治家も軍人も帝大や陸大などの試験エリートが占めるようになっていたため、大きな組織体を取りまわすだけの力量もなかったし、法律のあやをたてにとって自らの立場、権益に執着する存在になりさがっていたのが日本の悲劇の一つだったと思います。
中高生に「あなたであればどうすればよかったと思いますか」と質問し、考えさせるのであれば、上記のようなことも含めた深い洞察を促すものであるべきと思います。