忘れえぬ人 | 石田マネジメント事務所

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技術やものづくりに関する最近の話題と気づき、ちょっとした備忘録を書いています。

忘れえぬ人として自分が真っ先に思い出すのが、コンサルを志した20代後半の時分に指導してもらった某先生です。この方は、徳川家康の四天王の一人の直系の子孫なのですが、カミソリのように切れる洞察力と人間味に溢れ、我が生涯で最も尊敬している人物です。

 

仕事のあと近くのバーで一杯やることも多かったですが、その時に厳しい家庭環境に育った自身の体験なども語っていただきました。

 

高校生時代、部活で弓道をしていて、練習後に同じ部員と一緒に歩いて帰路についていて、その人とは家の方角が違うの途中で別れ、自分の家に向かってあるいていたら、前の方から血相を変えてこっちにむかって走ってくる人がいる。

 

誰かと思ったら、自分の母親。何事かと思ったら、とにかく正面玄関から入ってはならぬ。裏の勝手口に回れ という。

何故だと思いながら、勝手口に回ると、鬼の形相をした父親が仁王立ちで待ち構え、そこへなおれ!と土間に正座させられるや、猛烈に怒鳴られ激しい叱責が始まった。

 

何で怒られているのか全く分からなかったが、どうやら今日部活で一緒に帰宅した部員が、女子部員だったことが原因らしい ということがわかった。「貴様はそれでも武士のはしくれか!」ということで、叱責されたという。

 

こんなことがあってしばらく後、この類のことが何度かあり、ある時ついにたまりかね、「何かといえば、武士だ、武士だというが、何を言っているのか。20世紀のこの時代に、武士だからといって何の意味があるのか」と猛烈に父親にくってかかった。

すると、父親は何やら喚き奥座敷に駆け込んでゆく。それを見た母親と姉はすぐに察し、「おまえはともかく今すぐここから出ろ!」という。

 

奥座敷にはよく手入れされた先祖伝来の本物の日本刀が何振も床の間に置いてある。おまえのような不埒な輩は、斬って捨てる ということで、母親とお姉さんが日本刀を持った父親をなんとか抑えてくれ、その隙に遁走できた。あの時、そのままいたら間違いなく斬り殺されていたと思うとのことだった。

 

この方は、今は現役を退かれたのかとも思うが、もう一度お会いして一献傾けたいものだと思っています。