こんなに静かでゆったりとした旅
想像したことさえ なかった
海辺のホテルは 予想していた以上に美しく
もてなし感あふれる 心地よいものだった
青い空の色を受けて輝く海は
澄んだペールブルーの穏やかな色が広がり
それらの水色の景色全体が 心の奥の澱みを拭い去っていく
‐‐‐‐‐‐
つい最近まで 複雑な人間関係の中
人生の旅を終えた 兄のことをゆっくりと忍ぶ暇もなく
様々な雑事に追われて 気の休まることのない日々を過ごした
葬儀を終えてしばらくして
ようやく心が落ち着いてきた頃 急に発熱
37~38度前後の熱が しばらく続いた
その間に 腰に痛みが走り 身動きするのも辛い日々だった
これは 睡眠不足 緊張感と過度な気遣いによる疲れだと
容易に想像できた
何も考えまいと 好きな音楽を聞き 横になって
ひたすら休んだ
しばらくして ようやく平熱になり 同時に腰痛も緩和した
そんな私を気遣って
さらにまた 乳癌であると診断されながら
何も処置しないことを決めている私の 想い出づくりにと
娘たちが 私との旅を計画してくれた
それも何と 子供たち抜きで…
そこに子供たちがいないなんて
どんな旅になるのか なかなか想像できなかった
本当にそんなことができるのだろうか……
様々なことに 自分でも頑張れたかな
そんな思いだったから 少しは甘えてもいいかなと
遠慮がちな気持ちと 少しワクワクする思いで
娘たちに従った
長女の Y 子が 本来苦手なのに 頑張って運転してくれた
次女の K 子が 色々調べて計画してくれたお蔭て
思いがけず 船に乗って海の洞窟を見学できた
波が長い年月によって 彫っていった洞窟
自然が創り出す造形美に 心打たれた
下船してみると
それ以降の2回の船は もう満席で乗れなくなっていて
迷ったあげく 先に船に乗ろうと決めて 正解だったことが分かった
そういえば 車を駐車場に入れる時も
入場に随分時間がかかると 覚悟していたけれど
運よく10分くらいで入れた
私達の後の車は 随分時間がかかっていたのに
その後も 滝を見に行く道は
まるで人払いでもされたかのように
連休のさ中の観光地とは思えないくらい 人も車もまばらで
三人で 色づいた木々の風景を堪能しながら 坂道を上がっていった
近くの石仏には 他に誰もいない
素朴な石の彫刻を 遠い昔 どんな思いで彫りだしたのだろうと
様々な思いを巡らせながら ゆっくり歩いた
不思議と 何事も 順調に進んで行く
きっと お父さんが一緒に来てるんだね
色々と手伝ってくれてるよ……
誰もが 今はいない夫の存在を感じ取っていた
ホテルに着くと 最近改築された様子で
オフホワイトのきれいなホテルになっていた
チェックインの時に ふと後ろを振り向くと
「お一人様1個ずつお取りください」と美味しそうなショートケーキ![]()
娘たちの顔には満面の笑顔![]()
お得感いっぱいのホテルだ
夕食前に 三人で 長く続く松林を歩く
いったい何本の松があるのだろう
夕暮れの潮風を受けて 松たちは同じ方向に幹を傾けながら
みごとな景色を織りなしていた
おいしい夕食を ゆったりと楽しみ
岩盤浴 低温サウナ 温泉プールなどを経験した
そんな中 会話の端々に 子供たち こんなの喜ぶだろうな
と思わず 言葉を交わしていた
客室も これまで実家に行く毎に泊まっていたビジネスホテルと違い
落ち着いたきれいな部屋だった
三人でたくさん話した
翌朝 まだ眠っている娘たちを見ながら そっとバルコニーに出て
水色に輝く 穏やかな海を眺めた
娘が起きて 次に砂浜に降りてみると
砂のあちこちに 小さな穴が ……
マテ貝だろうなと 思っていると 何と顔を覗かせている貝が見えた
よく見ると あれ そこにも あそこにも
多くの貝たちが 雲の切れ目から顔を覗かせた朝日を浴びて
おはよう!
と首をかしげている![]()
何と可愛い!! こんな貝の様子 初めて見た!!
年老いて経験した とっても可愛い光景だった
そのあとは やさしい風に吹かれて 砂浜を散歩
水色の海の向こうに見える島々を見ながら
ふつふつと湧き出る 幸せな気持ちを噛みしめていた
…………
リトリートという言葉がぴったりの 素敵な旅だった
数日経った今も
オフホワイトのホテルと ペールブルーの海
白い雲 緑の松 ... それらが色鮮やかに脳裏に浮かぶ
優しい娘たち お留守番してくれた孫たち
そして孫たちをお世話して下さった お父さんたち
心から …… 感謝です
お礼の言葉も見つからない💦
本当にありがとう
こんな素晴らしい思い出をいただいて…
これからも楽しい旅路を続けていきます