昨年5月 20年以上住んでいた日本を離れ 

故国 オーストラリアに帰国していた M さん

昨日 日本に着いたその足で 我が家を訪ねてくれた

 

Mさんに初めて会ったのは もう随分昔

私が日本語ボランティアをしていた時に 学習者としてやってきた

当時彼は27歳の若者だった

今 彼は51歳だから 24年も前のことになる

 

一言で言えば とにかく真面目

何事にも真剣に取り組むし 心も優しい

 

日本ではずっと英語の講師をやっていたので

日本語を話せなくてもあまり困らないせいか

20年以上日本で暮らしたのだから 日本語も少し分かるはずなのに

あまり使おうとはしなかったね💦

 

仕事先への書類を提出する前になると

書類を持ってきて 私に相談しながら書いていた

また 私の方でも S先生に頼まれた英訳の時には

私の拙い英語を 彼がチェックしてくれていた

 

お世話していたYちゃんが 通信高校に通っていて

私が定期的に 彼女の苦手な英語を教え始めた時のこと

自分のへたな英語ではなく 

ネイティブの方の英語を耳にしてほしいと思った私は

Mさんに Y ちゃんと少し話をしてみてと お願いした

 

できるだけ 安い講師料でお願いできたら と思っていたら

  E子が無料で教えてるんだから 僕も無料でいい

と言って 日頃だったら一時間 4~5000円になるところを

何と 本当にただで 何度かYちゃんに英会話を教えてくれた

 

100歳を超えた母と同居している時には

レストランなどに出向いて会うのをやめて

母のために 我が家まで 3人分のお弁当を買って やって来た

そして 母にも分かるように できるだけ日本語を使って話してくれた

なんだ それだけ日本語話せるんだ と驚いたくらいだった

 

私が乳癌の手術を受けた後には

時々来て 高い所の物を取ってくれたり 重い物を運んでくれたり

まるで本当の息子のように 様々な手助けをしてくれた

 

そんな彼も 私と同年代のご両親が 病弱になってきたからと

昨年 長年の日本での仕事をすべて終えて 故国に帰って行ったのだ

 

 

昨日久しぶりに会った彼は 少しも変わっていなかった

彼の大好きなチキンをメインに使った 料理を出すと

嬉しそうに食べてくれた

そろそろデザートにかかるころ

娘と二人の孫たちが 彼に会いにやって来た

 

M さんは元々娘と同年代だし

彼がアメリカに旅した時には 娘の家にも一晩泊まったりしたので

もうほとんど親戚同士のようなものだ

 

アメリカ生まれで ミドルネームも持っている二人の孫娘たちだけど

1歳で帰国した A ちゃんは ほとんど英語は分からない

一応英会話教室に通ってはいるものの あまり積極的には見えなかった

それなのに お土産のチョコクッキーを手にすると 

即座に大きな声で ”Thank  you!”と言っていた(笑)

 

それでも ママと M さんが普通のスピードで話し始めると

  ねぇねぇ 今何て言ってるの? 

を連発していた

一応キンダーまで過ごした姉の  N ちゃんは

時折 M さんの問いかけにも ゆっくりだけどきちんと答えていた

そんな彼女も 嬉しそうだった

とにかく 和やかでとても楽しい時間だった

 

そして にぎやかな娘たちが帰って行ったあと

私はパソコンを取り出して スカイプを立ち上げた

コールすると そこに出て来たのは あの Y ちゃん

9年ぶりに Y ちゃんを見た M さんは 

その成長した姿に とても驚いていた

何より当時よりずっと明るい感じになって 

英語も随分上手になっていると  感心していた

二人は 片づけをする私の向こうで とっても楽しく話していた

時折 Mさんから質問が来る

  あ、それは日本語で「永住権」って言うのよ 

などと 私が間で答えたりしながら 二人の会話が続く

画面の向こうから聞こえる Yちゃんの明るい笑い声に 私の心もはずむ

 

もう10時に近くなったころ M さんはその夜滞在するホテルに 戻って行った

本当に 心から 楽しんでくれた

 

  毎年日本に来たいから 来年にも3月には来るよ

と言いながら 靴を履いた

彼の国では 今は秋の始めくらいの暖かさだから 

外に出たとたんに 寒そうに 少し身を縮めながら

でも はじけるような笑顔で去っていった

 

楽しかったね

来年また会いましょうね

娘や孫たちも そしてY ちゃんも 待っていますよ

 

わざわざ来てくれて 本当にありがとう

宴のあとのテーブルを見ながら 私の心は ずっと温かかった