映画『若き日は悲し』
1954年の松竹の美空ひばりの主演作品である。
歌謡映画の趣があり、美空ひばりが登場しショーを開き、美空ひばり演じるところの恵子と会話するシーンがある。「そっくり」「瓜二つ」ということにはならない。
美空ひばりはひばりとしても歌うが、恵子としても歌う。
静岡県清水市の牛乳店を営む兄(石浜朗)妹を中心としてストーリーは展開するのだが、戦争の陰がある。
兄は中国引き上げの一家の子どもでその家で引き取ることになったので恵子との血の繋がりはない。それを恵子だけが知らない。そして、お互い魅かれあっている。
しかし戦後民主主義の息吹を感じる。
若い人たちが「若草会」という会を作っていて、その中の規約に「大人の干渉を受けない」とあるのだ。そこで男女がリクリエーションをして山に登ったり、ミーティングを開いたりするが、その当時としては刺激的だったのではないか?
牛乳店で冷蔵庫を導入する経済的問題と、恵子が東京の音楽学校に行きたいという思いから、恵子の婚約話がでるが、それは恵子の兄妹問題で全く予期せぬ展開となる。
結末は悲劇的である。
歌謡スターを使った娯楽映画とはなかなか思えない。
私がこの作品を観たかったひとつの理由は芦川いづみが出ているからだ。
出演者ロールの3枚目の5番目に出てきて(S・K・D)となっている。
そしてストーリーには関与しないものの、登場するとセリフが必ずあり、チョイ役ではない。
赤ん坊をおぶって下駄を履きこうもり傘を持っている姿はなかなかキュートである。
その後日活に引き抜かれブレイクするので、松竹出演の貴重な一作であるということが言えよう。
また始めのほうで「ロバパン」が出てくる。
ロバではなく馬が引いていたが…動画として貴重だろう。
監督:岩間鶴夫、脚本:中村定郎、岩間鶴男、音楽:万城目正
出演:水原眞知子、山田眞二、菅佐原英一